ルートビアは沖縄の味
商店街まで戻って、沖縄物産を扱う沢志商店に立ち寄った。
沖縄ゆかりの品々が並ぶ沢志商店。
パイン味のハイチューだ!
懐かしいものをみつけた。パイナップル、マンゴー、シークワーサーという沖縄フレーバーのハイチュー。
小学生の頃は、このパイン味のハイチューは家の近くでは買えないそれはそれは貴重なもので、沖縄旅行に行った友達からもらったものを大事に食べたりしていたものだ。
今なら好きなだけ買えるし、なんならAmazonにも売っている。大人になったことと、世の中の進歩のありがたみを噛みしめることができるお菓子だ。
ルートビアもあった。これも売ってるところはほとんど見ないな。
ルートビアはコーラに似た茶色い炭酸飲料なのだが、匂いが独特というか、言ってしまえばサロンパスっぽい香りがするのだ。ちっとも美味しそうに聞こえないと思う。実際、初めて飲んだ時は、なんだこのふざけた飲み物は、と思ったものだが、不思議なことに何回か飲むと癖になる。
一般受けのしない味だからなのか、本州で売っているところはほぼ見たことがない。アメリカ文化の影響が濃い沖縄でしか飲んだことはない。
買った。
珍妙な味!
久しぶりに飲んでみたら案外普通の味だった、なんてことはなくて、やっぱりサロンパスだった。でも私は好きですよ。
サーターアンダギーも。
ふんわりとゴマの香りがたっていて美味しい。
ソーキそばだけでなくて、以前沖縄に行ったときに食べたアレコレを拾い集めることができて、かなり沖縄気分に浸れた一日だった。一応、船で海(川)を渡ったことでもあるし。縮写版の沖縄旅行と言えないこともない。
食堂には戎神社の福笹があり、すれ違う小学生の会話のノリも大阪のそれなのだが、そこにはたしかに沖縄があった。今後大正区がどう変わっていくのか、目が離せない。
かつて、沖縄料理屋は移住者のオアシスだった
沖縄関連の本が集まる文庫があるというから寄ってみた。
とくに興味を引いたのが、沖縄出身者で構成される団体「がじゅまるの会」が発行していた機関紙「がじゅまる」のバックナンバーだ。
移住というものの多くがそうであるように、本土へ渡ってきた沖縄出身者も日本社会の中でたいへん弱い立場に置かれていた。互助と団結のために結成されたのが「がじゅまるの会」である。
その機関紙である「がじゅまる」には、若い移住者たちが差別に苦しんだり、理想と現実のギャップに悶える様子が綴られている。機関紙の内容は、そういう若い感受性とホームシックが混ぜこぜになった切実なものも多いのだが、中には明るい話題もある。【琉球料理食べある記】というコラムもその一つだ。
***(以下引用)
【琉球料理食べある記】
びっくり!大阪でヒージャー料理が食える
一人でも多くの、がじゅまるの仲間達へここ大阪でも「なつかしき故里沖縄の料理が食える」そんな「いい例」を紹介し実際に行って「ゴーヤーチャンプルー」「沖縄そば」「ソーキ汁る」などを食べ、沖縄の良さを味わってもらう。それがここのコーナーのねらいとする所です。
***(引用終わり)
ほかにも「ここに行けばゴーヤがある!」という記事が手書きの地図とともに載っていたり、食べ物がいかに人の拠り所になるかが生き生きと伝わってくる。
「沖縄に行かなくても沖縄料理が食べられる店」には、単なるグルメを越えた価値があるようだ。これが今回の一番大きな発見です。
編集部からのみどころを読む
編集部からのみどころ
休みの日に行きたい、いい感じの小旅行のモデルコースのような記事です。
渡し船で渡るというのがさっそく旅情。ソーキそば定食の充実ぶりもどことなく沖縄的サービス精神に思えてきて、子供が起き出すシーンでは「まさに沖縄!」という感じがします。いやほんとの沖縄がそうかはわからないけど、旅気分が乗っちゃってるから。しかし飲み食いして終わりではなく、最後にしっかり資料にあたっているところがこーだいさんだなと思いました。(石川)