時代が変わると修理依頼も変わる
5年くらい前はワープロの修理依頼が多かったという。
もう今はないけどな。ワープロ使ってる人たちが年取っちまってよ、一年に2台か3台。
※メカ…ここでは、信号のやり取りをする電子回路の部分ではなくて、ギアとか回転部品とかの動く部分という意味。
けっこういい値段が飛び出したので、関係ないのに思わずニヤニヤしてしまった。
基板を買うのは意外な常連客
ところで、この店にある大量の基板はどこから来たのだろうか。
なかには中古品を買って取り出したものもある。でも多くは修理を請け負うなかでお客さんが修理しなかったものを引き取るうちに、どんどんたまっていったそうだ。
もちろんこれらは修理用部品として再利用されている。しかし、これだけのストックがあったとしても、修理したい機器と同じ部品が必ずあるとは限らない。
そういう時は別の部品を流用するわけだが、同じ機器でもメーカーによって作りが違うので、流用できたりできなかったりする。メーカーAの機器Xを直すのに、メーカーBの機器Yの部品であれば使える……という今までの修理経験による部品ごとの対応関係があり、だいたい頭に入っているという。
基板はバラ売りもしている。しかしこんな基板だけ買って帰っても、使える人なんて相当レアなのでは…と思いきや。別の用途があるようだ。
男の人はあんまり買っていかない。たまに売れるけどな。
意外な常連客がいるようだ。
「この中は俺のコックピット」
「小坂井電機」で100本作ったかな。日本全国で数十本は残っとるはずだ。
ビデオデッキをよ、メーカーで買えば3万4万ってものをよ、うちで直したやつだったら1万5千円で買えたりとかよ。そらよう売れたんだ。
小坂井さんはとても気さくな人だが、特に儲かった話になるとすごいニコニコ話してくれるので、こちらも笑ってしまう。
そう自虐ギャグを飛ばす小坂井さん。現在86歳だそうだ。
でも正直、80代になってこんなお店で好きな機械いじりをしながら毎日過ごすなんて、なんて素敵なことかと思う。
コックピットというのはいいえて妙で、奥は人一人がちょうど座れる小さなスペースだが、木製のデスクと、手元を照らすライト、スタンドルーペなどがあり、ここで機械いじりをするのはさぞかし最高だろうなという趣がある。
小坂井さんは中学校の時から、学校の教科書を持たずに電気の本を持って毎日登校していたという。先生も「小坂井は学校卒業したら電気屋になれ」と言い、新聞広告をみて電気屋に丁稚奉公に出たのがすべての始まりだそうだ。
それからずっと電気製品を愛し続けてきた。その歴史がそのまま積み重なったのが、僕が思わず足を止めた、あの基板のジャングルなのだ。
憧れがそこにある
営業時間:10:00~20:00 電話番号:(052)263-1613
〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須3丁目30−86 第1アメ横ビル 1F
おしらせ
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