唯一無二の生物オオサンショウウオと、唯一無二の人物こーだいさん
こうして楽しんだ成都の街だったが、われわれの目的はやっぱりオオサンショウウオだった。
散々探し回って見つからずに意気消沈していたが、最土壇場でオオサンショウウオを出すレストランが見つかったのだった。終日に訪れたパンダセンターでパンダを見ているあいだのことだったが、オオサンショウウオのためにすぐ引き返すことになった。
パンダそっちのけで昆虫を観察するこーだいさんとフクダさん。とにかく生き物が大好きすぎる人たちだが
こーだいさんはオオサンショウウオが見つからず落胆していた。
しかし土壇場で、オオサンショウウオを出す店が2つも見つかった! 安い店に行くか、高い店に行くか……という議論は白熱した(こーだいさんの記事参照)。結局、高いほうの店の予約を取り、こーだいさんにも笑顔が戻った。
それでやって来たのが高級なレストランである。
昼すぎの微妙な時間に予約したこともあって私たちのほかには客がおらず、5,6人いるホールスタッフが全員で接客してくれてなんだか恐縮してしまう。こーだいさんの顔は激辛の麻婆豆腐を食べたときよりも赤く、興奮していることがわかる。
フルサービスというんだろうか、食べるものの用意を全部やってくれるので恐縮する。あとウエットティッシュがすごく分厚いところに高級さを感じた。
ビールを飲んで待っていると、お待ちかねのオオサンショウウオがやってきた。
魚でいうとヒラメやマゴチのようなゴツゴツ感・ヌメヌメ感があるが、ヘビやカエルのような溢れんばかりのヌラヌラ感も持ち合わせている。それが四本脚で歩き回るのだ。
これは唯一無二な感じの生き物だ。
食べる前に生きている姿が見たいとオーダーしたところ、給仕のチーフが力強く頷いて、こいつが運ばれてきた
そして、それに対面したこーだいさんも負けじとオンリーワンな人物だった。
ウオオオすごいすごいすごい、かわいい! と次々に口走りながら、オオサンショウウオと触れ合っている。あまりに喜んでいるので店員さんたちがちょっと戸惑っていた。
大興奮である
彼はオオサンショウウオを触った手のにおいを嗅いだり、粘液のネチネチの確かめたりして「時間が経つと固まってきますよ!」と興奮を隠しきれない。オオサンショウウオの何もかもを知りたい、という一心に見える。
においを嗅いでいる
この姿を見ていると、DPZライターって本当に自分が好きなものに貪欲なんだな、と感心してしまった。大好きなものを見て興奮しているすがたというのは、それだけで見ていておもしろい。
しばらく興奮状態を保ったまま、エビをつついてビールを飲んだりしているうちにオオサンショウウオは調理され、こちらに運ばれてきた。
そしてそれを食べたこーだいさんは涙を流したのだった。



な、泣いてる…!
まさか泣くとは思わなかった。
こーだいさんの記事で私は「オオサンショウウオを単なる高級珍味としてとらえているまこっちゃん」として紹介されていたが、本当にそのとおりだった。
なので私は比較的冷静だったのだが、こーだいさんは肩を震わせて泣いているのである。本当に涙を流し始めたので私はびっくりした。
おいしいです……と肩を震わせたあと、これまた震える声で「ありがとう」とその場にいるみんなに感謝を表明していた
実は、やっぱり安い店に行ってもよかったのではないかとこのときまで思っていたが、私の気持ちも変わってきた。
そんなに感動したならこっちに来てよかったのである。小賢しいことを言って申し訳なかった。
高級店は盛り付けも豪華だった
オオサンショウウオ自体にはそんなに特別な思いはなかったが、こんなに感動している人を間近で見ると、こちらも素直に感動した。オオサンショウウオも食べられがいがあったのではないかと思う。
3人で1匹は非常に量が多かったが、旅の締めくくりとしてはたいへんなクライマックスになった。
こーだいさんは会計をしながらアツい感謝を伝えていた
食の幅が広がる旅だった
ところで肝心のオオサンショウウオの味はというと魚のような獣のような味で、ウミガメの肉にちょっと似ていた。
なんでウミガメの味を知っていたかというと、これもこーだいさんに誘われて食べたのであった。
こーだいさんの誘いに乗っかっていると、いろんなものの味を知ることになるのかもしれない。普段は食に対してわりと保守的なので助かっている。
辛い四川料理もすごくおいしくて、これを書きながらまた本場の麻婆豆腐が食べたくなってきている。
オオサンショウウオまっしぐらの旅行でも、思い返すといろんな寄り道もありつつで楽しかった。こーだいさんまた行きましょう!
こーだいさんからの最初の誘いを見返すと、オオサンショウウオは要素のひとつかのような誘い方だった。モチベーションに差があったことはご容赦いただきたい!
編集部からのみどころを読む
編集部からのみどころ
耳かきのくだりとか圧倒的に異文化でエピソードとしてかなり面白いんですけど、こーだいさんの記事を振り返ってみると、こんな大ネタを1行も書いてないんですよね。いかにオオサンショウウオで頭がいっぱいだったかというのがわかりますよね。 そして思ったより行程中でこーだいさんが落胆してる時間が長く、ちょっと気の毒になりました。そして最後、あの泣き。 いろんなシーンで、同じエピソードを別視点で読めることの醍醐味を感じる記事でした。(石川)