雨天決行の花火大会がすごい
先日、秋田の大曲で開催された花火大会を見に行った。この花火大会が土砂降りの中での開催で本当に最高だった。
だいたいの花火大会は雨天中止だろう。だって雨が降ったら見に来る人がいないから。
しかし秋田はやる。そしてみんな見に来る。
河川敷で打ち上げるので川が氾濫したら延期らしいが、それ以外は雨天決行なのだ。今年は当日の天気予報でも降水確率90パーセント。まあ確実に降るとわかっていた。それでもやるとわかっていたので近所の友だちと現地に向かったのだ。
そしたら降った。すごい降った。
大曲の花火は今回が94回目ということで、過去にはきっともっと天気の悪かった年もあっただろう。でも今年のもきっと伝説回に数えられる回だったと思う。そのくらいすごかった。花火に感動したのか雨がつらかったのかわからないが、僕はもう途中からずっと泣いていた。
翌日は滝へ
明けて翌日。
秋田の雨はまだ降り続いていた。
この日やってきたのは滝である。
滝なんて晴れていてもどうせ濡れるのだから雨でいいのだ。みなさんも旅行に行くときはあらかじめ濡れるのがわかっている場所に行くのがいいと思います。天気とか関係なくなるから。
河原毛大湯滝は湯沢市にある温泉場である。
毎年大曲の花火を見に来ている友だちに聞くと、この滝は落ちてくる水が温泉なので、滝に打たれる=打たせ湯となるのだとか。
話を聞いた時にはそんな修行なのかスーパー銭湯なのかわからないようなのあってたまるかと思ったが、ここは秋田である。きのう土砂降りの中で絶好調の花火大会をやった土地だし冬には鬼が出たりもする。何が起きたって不思議ではない。
滝までは駐車場から歩いて15分ほどだった。雨の降る森の中を歩くのは太古に戻ったみたいでいい気分だった。
しかしである
森の奥から地鳴りみたいな音がしている。まさかあれが打たせ湯?もっとこう、銭湯にあるみたいなちょろちょろしたやつを想像してたんですが。
滝が鳴っている。
毎年来ている友だちいわく、例年は滝つぼに入って滝に打たれることができるらしい。僕もそのつもりで来た。
しかし今年は昨日からの大雨で水の量が爆増していた。あんな滝つぼ、入ったらまず出てこられないだろう。
出てくるマイナスイオン全部つぶす勢いだ。口をぱくぱくさせながらしばらく眺めていた。
なにしろ滝の迫力に圧倒されてしまうが、周りがほんのり硫黄くさいことでここが温泉だったことを思いだす。温泉といっても施設や管理人さんがいるわけではない、いわるゆ野湯。
あまりの水の勢いに気圧されていると、一緒に来たメンバーのひとり小林さんが果敢にも滝つぼに近づいて行った。
一緒に行った友だちは「小林という苗字のやつはだいたいああだ」と言っていた。それは言い過ぎですよ、と思ったが、そういえば僕の友だちの小林もああだなと思い当たる(非常に狭いところで話していますよ)。
小林さんだけに任せておけないので僕も滝に打たれに行った。
雨で増水したからだろうか、お湯はすこしぬるくて、長湯の苦手な僕にはちょうどいい具合だった。
ただし、滝つぼでなければ、である。
強力な水圧と風圧により、真下に行くことはかなわなかったが、ギリギリまで近づくことができた。落ちてくる水が体に当たるとデッドボールを受けたみたいに痛い。頭に当たったら危険球だろう。
痛い、怖い、だけどお湯の温かさが優しい。
この温泉の水は強酸性らしく、目に入ると痛いし口に入ると酸っぱかった。そんな強酸性のお湯が位置エネルギーをわしづかみにして襲ってくるのだ。行く前は「修行しながら打たせ湯なんて最高じゃーん」なんて言っていたが、違う。この日の滝は完全に修行寄りだった。
みなさんも晴れが続いた後に、ぜひ行ってみてください。