特集 2022年10月10日

東北と北陸、中四国、九州にある会社は大きく出がち

鳥取県を中心に読まれている「日本海新聞」。

日本海新聞は、主な商圏である鳥取県に対して日本海を名乗っている。面積で換算すると300倍近くも大きく出ているとも言える。

逆に東京電力は東京と名乗っているが、関東地方と山梨と静岡県の一部を管轄するので実際のエリアよりおよそ18分の1も名前が小さい。

いろいろな事情や経緯はいったん置いておいて、会社の名前がどれくらい大きく出ているかを、新聞社、テレビ局、地方銀行で調べると地域ごとの傾向が見えてきた。

1984年生まれ岡山のど田舎在住。技術的な事を探求するのが趣味。お皿を作って売っていたりもする。思い付いた事はやってみないと気がすまない性格。(動画インタビュー)

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商圏を持つ会社

決まったエリアで事業をおこなう会社がある。

例えば地方新聞社や民放テレビ局、大手電力会社、地方銀行などがそれだ。

それらの会社は社名に事業を行う地域の名前を冠していることが多い。

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エリア名と会社名が一致するイメージ。

たいていの場合、社名と事業を行う地域の名前は一致する。

しかし実際に事業を行っている範囲よりも大きな地名(あるいは小さな地名)を名乗っているケースがあり、以前から気になっていた。

それらの会社がそう名乗っている、名乗らざるを得ない事情や経緯はいったん置いておいてどれだけ大きく出ているか、小さく名乗っているかを調べてみようと思う。

そして会社名が大きく名乗っているか、小さく名乗っているかには地域的なかたよりがあるとにらんでいるのだ。

大きく出ている新聞、小さく出ている新聞

どういう事か分かりにくいと思うので、まずは地方新聞社を例に説明したい。大手新聞社と違って地方新聞は配達エリアが限られるので、事業をおこなう範囲が限られる会社である。

下に都道府県ごとの新聞のシェアを3位まで示したグラフを作った。そのうえで、実際のシェアを持つ地域名よりも大きな地名を名乗っていると思われる場合はで、小さい地名を名乗っている場合はで色分けした。

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五大全国紙は別にしている。間違っているところがあったら教えてください。

地方新聞社はかつて多く乱立したため、戦時中に一つの県ごとに一つの県紙に統合された。その影響は今なお残り特に地方では都道府県ごとによく読まれる独自の新聞がある。

そしてご覧の通り、新聞社の名乗る名前は必ずしもその都道府県名(や旧国名)とは限らない。大きく名乗っていたり、小さく名乗っていたりする。そして大きく名乗る新聞社がある地域はかたよっている。

判定が難しい場合は独断と偏見で

宮城県の河北新報(白の関よりの意味=東北)と広島県の中国新聞は、各県の県紙と同時に東北地方と中国各地方のブロック紙の側面も併せもつので、大きく出ていないという判定にした。

他細かいところは(正直難しい部分もあったが)、なるべく公平になるように僕の独断で決めさせてもらった。 

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四国新聞の本社。

例えば、香川県の四国新聞は四国のブロック紙ではなく、香川県の県紙なので香川県面積1,877平方キロメートルに対し四国面積18,800平方キロメートルで、約10倍大きく出ている。

新聞社においては、

東北地方、北陸地方、中国地方、四国地方、九州地方では大きく出ることが多い

ようだ。

近畿の新聞社は小さく名乗りがち

逆に近畿地方は小さく名乗っている新聞社が多い。 

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先ほどのグラフをズーム。

まず京都新聞は滋賀県でも3位のシェアを持っているが、包括する広い地名を名乗るのではなく、京都新聞を名乗っているので実際より小さく名乗っている。

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神戸新聞本社。近くを通る機会があったので寄ってきた。

また、兵庫県の県紙である神戸新聞は兵庫県全体を取材と配布対象にしているにもかかわらず、県庁所在地の神戸を名乗る。

都道府県名と県庁所在地名が同じ場合を除き、県庁所在地を名乗る新聞社は神戸新聞のみだ。

兵庫県面積8,396平方キロメートルに対して神戸市552平方キロメートルであるため、15分の1くらい名前が小さい。

まだ新聞だけしか調べていないが、

近畿地方は小さく名乗る傾向がある

かもしれない。

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民放テレビ局も同じ傾向

更に民放テレビ局についても調べることにした。

テレビ局も放送法による対象地域があるので、事業をおこなうエリアが限られた会社のひとつであり、それぞれの都道府県ごとに独自の会社がある業態だ。

↓の一覧は対象地域と社名の一覧で、同じように大きく出ていると、小さく出ているとに色分けした。

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各都道府県の民放放送局。分かりやすくなるように都道府県の順番を調整している。

やはり東北地方と北陸地方、中国地方、四国地方、九州地方で赤色がめだつ。

新聞社とテレビ局は資本関係にある場合も多く、その場合は名前が似ているので、大きく出るか小さく出るかの傾向は似る。

しかし細かく見ていくとそれだけでもないようだ。

例えば、さきほどの新聞の四国新聞香川県だったが、テレビの四国放送徳島県だ。

四国放送の対象エリアである徳島県は面積が4,147平方キロメートルと香川県より2倍以上広いので、同じ四国を名乗っても、大きく名乗る比率は4.5倍くらいとなり少し小さい。

岡山県と香川県はテレビ局が相互に乗り入れているため、瀬戸内海、西日本など包括する広い地域名を名乗りがちだ。

また、滋賀県のびわ湖放送は、滋賀県面積が4,017平方キロメートルに対し、琵琶湖の面積が670.4平方キロメートルなのでほぼ6分の1小さく名乗っている。

地方銀行も調べてみた

みずほ銀行の「みずほ」が日本の別名だということはよく知られているように、地名を冠する銀行は多い。

配達域がある新聞社や、放送法の制約があるテレビ局に比べると銀行は県を跨いで支店があったり、どの銀行も東京と大阪には支店があったりするので更に判定が難しい。しかし同様に独断で支店やATMが集まる主な商圏に対して大きく出ていると、小さく出ているとで色分けた。

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各都道府県でシェアが大きい順に3位まで。これも間違っていたら教えてください。

銀行業界も特に地方では独自のシェアを持つ。やはり銀行名においても赤い文字が集まるのは同じような地域だ。

特に銀行で興味深いのは、北日本新聞と北日本放送は富山県だったが、北日本銀行は岩手県になっていることと、四国新聞は香川県で、四国放送は徳島県だったのに四国銀行は高知県となっていることだ(なお徳島県でも3位)。

大きく名乗る場合、地名は取り合いの様相になってくる。

福岡県「西日本」、富山県「北日本」、鹿児島県「南日本」

目立つのは西日本、北日本、南日本の「方角+日本」という表記だ。

先ほどの福岡県の西日本シティ銀行やテレビ西日本以外にも、私鉄の西日本鉄道(西鉄)など福岡県では「西日本」を名乗る会社が多い。 

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「東日本」と名乗る会社はあまり地域が限定していない印象だ。

また富山県には「北日本」を名乗る会社が上述以外にも多くあり、鹿児島県には「南日本」を名乗る会社が多く見受けられた。

これらが大きく名乗りがちな地域性にも関係しているかもしれない。

面積比では圧勝の日本海新聞

続いて「どのくらい大きく名乗っているか」についても見ていこう。

実際のエリアと名乗っている地名の面積比で計算したところ、調べた中で圧勝だったのは日本海新聞だ。

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鳥取駅からほど近くにある日本海新聞の本社。用事のついでに寄ってきた。

鳥取県だけではなく島根県や兵庫県の北部地域も販売エリアになっているが、主な販売エリアとなっている鳥取県の面積は3,507平方キロメートルに対して、日本海は103万平方キロメートルもあるので300倍近く大きく名乗っていることになる。

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一番小さく名乗っていた会社は東京電力

また今回調べた限りで一番小さく名乗っていたのは東京電力だった。 

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東京電力本店ビル

電力自由化によって大手電力会社のエリアはあまり意味がないものになりつつあるが、ここは元々のエリアで考えてみる。

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東京電力のエリア。

東京電力は東京都のみならず、関東地方と山梨県、静岡県の50Hz地域を対象エリアとする。

そのエリアの面積は約39,575平方キロメートル。東京都面積が2,194平方キロメートルなので18分の1と、とても小さく名乗っている。

今回調べた限りではこれより小さく名乗った会社は見つけられなかった。他に電力会社では東北電力が東北地方に加えて新潟県も対象エリアなのでやや小さく名乗っている。

 

これらの業界を調べた結果、やはり

東北地方、北陸地方、中国地方、四国地方、九州地方では大きく出がち

と言えるのではないだろうか。

元々、僕は中国地方や四国地方の会社が大きく名乗っていると感じていたが、調べていくうち東北地方や北陸地方、九州地方でも大きく名乗る傾向が見られた。


帰属意識と経済的つながりの強さ

結局のところ、大きく出るのと小さく出る地域性の違いは何なのか。

ハッキリとした事はわからなかったし、おそらく理由はひとつではないだろう。

しかし、どの地域に帰属意識を持つかは理由の一つだと思う。

今年の夏の高校野球では仙台育英高校が東北勢として初めて優勝したが、優勝旗が白河の関を越えたと盛んに報道されたのも記憶に新しい。

もう1つは経済的なつながりの強い地域があるかだ。

Aという地域とつながりが強いBという地域がある場合、AとBを両方を商売の対象エリアにしたいと考えることが多い。その場合はAとBを包括するCというちょっと大きな地名を会社に付けることが往々にしてあるんじゃないか。

福岡県と佐賀県と山口県や、岡山県と香川県は経済的な結びつきが強いが九州地方と中国地方、中国地方と四国地方に分かれている。それら複数地域で事業を行う会社は両方を包括する大きな地名を名乗るのかもしれない。

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