のたまごのまとめ
ということで、各地の「のたまご」を見た。共通点としては「三層」と「甘い」ということになるけれど、黄身餡やカステラ生地を使われる傾向もあるようだ。今回紹介した以外にも「のたまご」は存在する。ただ多くは先の共通点を持つ。ちなみに最大の例外がありまして、「すずめの卵」は醤油ベースで甘くない豆菓子です。
「●●のたまご」というお土産がある。有名なところでは「かもめの玉子」ではないだろうか。岩手に旅行に出かけたらお土産で「かもめの玉子」を買うこともあるはずだ。食べてみると実に美味しい。
調べてみると「かめもの玉子」だけではなく、全国に「●●のたまご」というお土産が存在する。それぞれにどんな特長があるのか調べてみたいと思う。
どこかに旅に出るとお土産を買う。行った先で買うこともあれば、行った先で渡すために、いま自分が住んでいる街のお土産を買うこともあるだろう。駅などのお土産屋に行くと実に多くのお土産が並んでいることがわかる。
私も旅に出ると必ずお土産屋を訪れる。その地域の特色を生かしたお土産が並んでいて面白いからだ。やがて「●●のたまご」というネーミングのお土産を全国的に見かけることに気がついた。私は「のたまご」と呼んでいる。
「のたまご」で有名なのは岩手のお土産「かもめの玉子」ではないだろか。有名すぎるのか、東京に住む私の近所のスーパーで売っているのを見かけたこともある。食べるとわかるのだけれど、非常に美味しい。
かもめの玉子は1952年に販売が始まった。しっとりした黄身餡をカステラ生地で包み、さらにホワイトチョコでコーティングしている。カモメの母の愛情に包まれているような優しい味だ。どこまでも甘いのだけれど、その甘さが心地よいし、しっとりした餡が実によくカステラ生地に馴染んでいる。
重さを測ってみた。湿度などにより多少前後すると思うけれど49gだった。実際のかもめ(鳥)のたまごの重さは知らないけれど、ニワトリのたまごで考えるとSサイズくらいになると思う。
かもめの玉子が「のたまご」界では有名だけれど、全国に「のたまご」は存在する。今回はそれを集めてみたのでどのような違いがあるのか調べてみたいと思う。
富山のお土産である「雷鳥のたまご」。私の感覚的には「かもめの玉子」と同じくらい有名な「のたまご」ではないかと思う。富山県の県の鳥が「ライチョウ」なのでお土産には最適と言える。
基本的な構成は「かもめの玉子」と一緒だ。黄身餡をカステラ生地で包み、ホワイトチョコでコーティング。ただホワイトチョコが薄いのだろう、カステラ生地の茶色が少し見えている。
これが実に素敵な工夫に思える。雷鳥(鳥)のたまごは茶色く、不規則に模様もあるので似ているのだ。またサイズもいい。測ると19グラムだったけれど、実際の雷鳥のたまごも小さいだ。
食べるとやはり美味しい。小ぶりなので一口サイズ。黄身餡とカステラ生地の比率もいい気がする。しっとりしたカステラ生地と黄身餡の相性もいい。
北海道・釧路のお土産「丹頂鶴の卵」。釧路は丹頂鶴で有名な地域なので、お土産として作られたのだろう。釧路に行くと割と普通に丹頂鶴がいて驚く。季節関係なく見ることができる。
こちらも黄身餡をカステラ生地で包み、ホワイトチョコでコーティングされている。「のたまご」の基本的な構成は黄身餡、カステラ生地、ホワイトチョコということになる。鳥のたまごを模しているので同じようになるのだろう。
ただし外観は少しずつ異なる。ホワイトチョコでコーティングされているけれど、白くはないのだ。カステラ生地が透けているのか「茶色」という印象を受ける。これが素敵なのだ。丹頂鶴のたまごは茶色なのだ。特長をよく捉えている。
重さは20グラムだった。これも素敵と言える。なぜなら丹頂鶴(鳥)のたまごは200グラムほど。お土産に適したサイズにするためなのか、ちょうど1/10なのだ。狙ったかはわからないけれど、個人的には拍手を送りたい。
食べると当然美味しい。私は見かけたことがないのだけれど、今回紹介したプレーンのもの以外にイチゴ味もあるそうだ。確かにカステラ生地にイチゴ餡はよく合いそうな気がする。
イチゴ味もいいかもしれない、と先に書いたけれど、イチゴ味の「のたまご」もきちんと存在した。福岡県のお土産に「博多あまおうひよ子のたまご」があるのだ。ひよ子がたまごを産むのかという問題は考えないとして、福岡土産のひよ子の派生商品だ。
福岡だけに使われているのは「あまおう」だ。私は福岡に住んでいたこともあるので、イチゴと言えばあまおうを思い浮かべる。少しお高めなのだけれど、そのあまおうのジュレを使った「のたまご」だ。
あまおうのジュレをソフトガレットで包み、あまおうと使ったフォンダンをコーティングしている。今までの「のたまご」とは異なる構成だ。ソフトガレットはカステラ生地と変わらないけれど、何よりあまおうのジュレなのだ。きちんと美味しい。
あまおうを包んであまおうでコーティング。福岡土産には最適な一品と言える。味に品がある。重さは28グラムなのだけれど、ヒヨコ(鳥)はたまごを産まないので、最適な重さがわからない。食べやすいサイズと言えるとは思う。
ここまでは鳥のたまごを模したものだった。鳥はたまごを産むので「のたまご」と言われても別に不思議は感じない。かわいい感じもするからいいネーミングだと思うのだけれど、広島のお土産に「ヒバゴンのたまご」があった。
1970年の広島で猿とも人間とも判断できない生き物が目撃された。当時の西城町では役場に「類人猿係」まで設置されたそうだ。類人猿ということはタマゴから生まれたとは考えにくいが「ヒバゴンのたまご」というお土産になっている。
西遊記の孫悟空はタマゴから生まれたはずなので、サルに似たものがタマゴから生まれてもいいのかもしれない。ヒバゴンもきっとそういう生き物なのだ。ヒバゴンのたまごは大國堂で販売されており、大國堂70周年を記念したお菓子だ。
さつまいも入り黄身餡を練乳入り白餡で包み、ココア風味の生地で包む。今までの「のたまご」にはなかった「のたまご」だ。黄身餡というのは先述の「のたまご」と共通と言えるけど。
ヒバゴンは未だに捕獲されていないのでその生態はわからないし、タマゴについても詳しくわからないので、実はこんな感じなのかもしれない。重さは32グラムだけれど、本当のヒバゴンのタマゴの重さも謎なので、これはこれでいいのかもしれない。味は素朴で美味しかった。
かもめの玉子を販売している「さいとう製菓」には「のたまご」がもう一つある。それが「翼竜の玉子」だ。もともとは2021年に行われた「恐竜科学博」のコラボ商品だったけれど、2023年から販売が再開された。
チョコクリームをチョコ餡で包み、さらにココア味のカステラ生地を包んでいる。「のたまご」にもバリエーションがあるのだ。共通点は三層ということかもしれない。基本的にどれも三層なのだ。
この商品は純粋に「たまご」を模しているわけではない。「たまごの化石」を模しているのだ。そのためにココア味のカステラで包みこのような色をしている。
本当の翼竜のタマゴの重さを知らないので、これが重いのか、軽いのかわからない。わかるのは美味しいということだ。チョコがベース味のため、かもめの玉子と比べるといい意味でファンキーな味わいになっている。
ここまで紹介してきた「のたまご」は生き物だった。ヒバゴンのたまごは実在するか謎だけれど、カモノハシが哺乳類なのにタマゴを産むように可能性としてはある。そもそもヒバゴンが存在するかの問題はあるけれど。私はいると言いたい。
山梨で見かけた「のたまご」は「シャインマスカットのたまご」だった。植物なのにたまごなのだ。今までにないアプローチだ。植物だと種なのではないかと思うけれどたまご。そのような点が「のたまご」が好きな私には愛おしく感じる。
例外もあったけれど、鳥類の「のたまご」と同じようにホワイトチョコでコーティングされている。中もカステラ生地だ。「のたまご」の王道のような感じだ。餡が異なりシャインマスカット果汁が練り込まれている。
重さは29グラム。シャインマスカットのたまごの重さを知らないので、このくらいの数字なのかもしれない。食べてみるとかなり美味しくて、甘みの中にしっかりとシャインマスカットを感じることができる。後味が完全にシャインマスカットなのだ。好きな味だった。
最後に紹介するのは宮崎県の「のたまご」である「マンゴーのたまご」。シャインマスカットのたまごととても似ているけれど、こちらはマンゴーだ。宮崎といえばマンゴーだしね。
構成もシャインマスカットとほぼ一緒なのだけれど、違いは餡に宮崎産のマンゴーピューレが使われていることだ。甘みは上品でマンゴーの甘みを十分に感じとることができる。やっぱり美味しかった。
重さは31グラムだった。シャインマスカットのたまごよりマンゴーのたまごの方が重いのだ。実在するのか知らないので、そうなんですね、としか言えないけれど、果実の一粒を見えればマンゴーの方が大きいから2グラム重いのかもしれない。
ということで、各地の「のたまご」を見た。共通点としては「三層」と「甘い」ということになるけれど、黄身餡やカステラ生地を使われる傾向もあるようだ。今回紹介した以外にも「のたまご」は存在する。ただ多くは先の共通点を持つ。ちなみに最大の例外がありまして、「すずめの卵」は醤油ベースで甘くない豆菓子です。
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