特集 2019年12月5日

トリックないアート

トリックアートと撮った自分は陽気だ。

口と目が大きく開いていて大きなポーズをとっている。

トリックアートもおもしろいんだけど、そこで自分が浮かれている自分もおかしい。

トリックアートからトリックを取り除いてみたらそのおかしさを浮かび上がらせることができるかもしれない。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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トリックアートがあるかのように暮らしたい

この写真を見て欲しい。

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蔵前の街角にあったトリックアートだ

掛け軸から武将が出てきていて、僕はそれから逃げるふりをしている。今年の夏のできごとだ。

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わかりやすく浮かれている。どこの国の人が見ても楽しそうだと思うだろう

トリックアートはさておき、僕はふだん写真に撮られるとき、こんな表情をしているだろうか。
 

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いや、できていない

ならば、まるでそこにトリックアートがあるように振る舞うことで、明るい表情を手に入れることができるのではないだろうか。

さっきのトリックアートをトリックなしで再現してみよう。

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トリックなしアート、それは近所

トリックアートを体験しているときのように浮かれている。トリックがないにもかかわらず、だ。

おもしろい。ふだんからこうありたいと思う。

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トリックアートとトリックなしアート

トリックアートから、トリックを取り除いてみたいと思う。純粋なアート。そこに残るのは明るい自分であるはずだ。

トリックアートをお手本に、ないところで再現する

これはお台場の東京トリックアート迷宮館で撮った写真だ。

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ただ立体に見えるだけではなく、投げられる力士の表情も素晴らしい。おかげで僕もノリノリだ

さて、トリックなしでやってみよう。

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高架下

何をしているのかわからないが、明るさは伝わる。わけもなく明るい人である。

僕がただポーズをとっているので、通りかかった人がなにがあるのかと周囲を見回すほどだった。でもなにもない。
なにかあると思わせたならばそれは新しいトリックアートかもしれない。

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これもお台場で撮った

まわりの忍者に負けない表情を出している。

たまに取材してもらうことがあるのだが、ああいうときにうまく笑顔ができずにはにかんだような顔をしてしまう。これぐらい表情を頑張りたい。
 

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こういうことか

こういうことだろうか?これでインタビューを答えればいいのか。いい気がする。
トリックアートが突然なくなると、夢からさめたような写真になる。つまり現実だ。元から現実だった。

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トリックアートの王道、生首である

今年の花園神社の見世物小屋でも生首を見た。歌をうたっていた。

あれを見て「おれもやりたい。むしろ鏡なしでやったほうがおもしろいんじゃない?」と思ったのだ。
 

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そうでもなかった

鏡のトリックなしの生首はただのうんこ座りだった。しかし、冬の夕方のアンニュイさはよく出ている。言われてみればたいていの生首はアンニュイである。
 

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引くともっとアコースティックな感じになった
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顔ハメだってそうだ

顔ハメは顔を出すだけではない。おどけた顔をするためのものだ。大事なのは穴じゃない、穴を抜けて出てくる顔だ。
顔ハメなしであの顔ができれば表情筋も鍛えられて小顔になるはずだ。
 

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うかれすぎ

なめ猫の顔ハメがあったが小さかったので手を出した。

しかしなめ猫は猫がヤンキーの格好をしているからかわいいのだが、顔ハメになると猫部分がなくなってただの毛深いヤンキーの顔ハメになっている。

そんな冗談を言いながら撮った。ではこれを顔ハメなしでやってみよう。
 

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うむ

なかなか住宅地にフィットした適度な浮かれではないだろうか。許容範囲のひょうきんさがある。
 

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BigFaceBox

僕が作ったこれも一種のトリックアートというか顔ハメである。ただ大きくなるだけではなくて、みなこの中でひょうきんな顔をするのだ。それもまたこの作品の効能だと思っている。

では箱なしでやってみよう。
 

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BigFaceBox・箱なしバージョン

このソリッドさ、寿司におけるわさび巻、そろばんを使わないそろばん有段者のような上級者の風格が漂う。子どもの頃、こんな親戚のおじさんいた。その親戚のおじさんの役割はいま僕に回ってきている。輪廻。

トリックなしアートの旅も最後に近づいてきた。これはどうだろう。

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ブラックホールに吸い込まれる!

この写真には元になるトリックアートがない。ブラックホールのトリックアートを想像してポーズを撮った。無から無が生まれた。

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ポーズをとる前

なにをしているのか、という疑念は残る写真である。


見えないトリックアー

写真に撮られるとき、どんな顔をしていいのかわからないとき、馬がこっちに向かってきたり力士を投げている自分を想像すればいい。

僕は取材で写真を撮る側でもあるので「笑顔をお願いします!」ではなく「白鵬をうっちゃっている感じで!」とリクエストすればいいこともわかった。もっと困った顔になりそうな気もするが優しく応じてもらえれば幸いである。
 

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複数人でトリックないアートやると、フリー素材写真のようなポーズになる

 

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