特集 2019年11月30日

たまたま乗らない相鉄線だから乗りに行く

相鉄線に縁のない人生を送ってきた。

これまでに2回ぐらいしか乗ったことがない。相鉄線は他の鉄道と乗り入れてないから「たまたま乗る」ということがないのだ。

関東の私鉄でありながら、オーストラリアのようにどことも交わらずに残ってきた相鉄線。しかしそんな独立した国、相鉄線が11月30日からJRに乗り入れる。
そんな聖域が聖域であるうちに、相鉄線に乗ってきた。
 

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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相鉄線はこのあたりを走ってます

横浜から西に伸びて海老名・湘南台につながる。横浜から終点の海老名まで特急だと25分、各駅停車でも29分と短い。

きしめん店が相鉄になっている(登記上)

相鉄に乗りたい。その気持はどんどん大きくなりこの2週間は相鉄のことをずっと調べていた。
そこで気になったのが相鉄が相鉄ホールディングスになるときの流れだ。

相模鉄道は2009年、鉄道事業を切り離して相鉄ホールディングスとなった。そのとき切り離された鉄道事業を受け継いだのが休眠状態にあった子会社 大関。

大関は相鉄グループのきしめん店。だが、2006年にきしめん事業は他社に売却していた。
参考文献:
相州そば 関内本店 - 本店の旅 | 飲食チェーン店本店と発祥の1号店
祝!相模鉄道50周年!……えっ…。 | 路傍実記

 

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参考文献を元に図にしてみた

他社に売却されたきしめん店はいまでも横浜の地下街で営業中である。相鉄を満喫するにはまずここからだろう。
 

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そういえば関東できしめんを店で食べるのってはじめてかも

鰹節が別容器でついてきてテンションがあがる。さすが相鉄の血を引くきしめん店である。元きしめん店の店員が電車を運転してたりしないだろうか。ないだろう。

きしめんはしっかりした醤油味であぶらあげが甘い。体が温まる。後のせ鰹節はうまかった。家でもやろう。

ありがとう相模鉄道(になる会社から売却されたきしめん店)。

毎朝新聞っぽさ

そして相鉄である。相鉄沿線に住んでいる人はこういうやつもいるだなと笑ってもらえれば幸いである。もしくは東武東上線や京成千原線など縁がない電車を想像して読んでください。
 

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東京メトロのようだけど顔つきが違う

もっとローカル私鉄になるとメジャー私鉄の払い下げ車両を使っているので、見たことある車両が走っている。でも相鉄はオリジナルなのだ。とはいえ車両を作っているのは東急やJRと同じ会社なのでアメリカの鉄道のような異国感もない。

このちょっと違う感じ!最高!
 

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「特急」だけの表示、ちょっと違う!
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ホームのベンチが妙に幅広い(座面65センチ!測った!)
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横浜といえば幹線道路沿いのきぬた歯科の看板。それが車内にも!
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窓が自動、すげえ違う!
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「緑園都市」「ゆめが丘」。馴染みがない土地だけど、響きに既知感がある

このするっと入り込んでくる知らなさ。ドラマに登場する「毎朝新聞」のようである。相鉄線の興奮は毎朝新聞の世界だからだ。

向かいに停まっていた車両には鏡がついていた。写真は撮れなかったがネットに転載可能な写真があった。
 

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Thirteen-fri さんによる写真

鏡についてははまれぽに記事があった。横浜に着く前に身だしなみを整えるためだそうだ。
「相鉄線車内の鏡はなんのためにある?(はまれぽ.com)」

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すいてる知らん電車に乗る
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緑園都市で降りてみる

イヤッホー!相鉄だ!とただ乗っているだけなのでどこでかで降りよう。

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やっぱりここだろう。緑園都市。

田園都市はよく耳にする言葉だが、緑園都市。だがウィキペディアには緑園都市を名乗っている街が3つ載っていた。

「田園都市」はイギリスのハワードという人が提唱した都市計画 "Garden City"の日本語訳である。超ざっくり言うと「便利な郊外ぐらし」という感じの意味だ。
でも日本語だと田園の「田」のイメージが強くて、田んぼのある地域と思われがちである。僕も最初に田園都市線に乗ったときに窓から田んぼを探した。

その米どころイメージのある「田」を緑に置き換えたのだろうか。

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車と歩行者を分けた計画された町並み

街は邸宅がならぶ町並みで、シダックスと見まがうようなような豪邸もあった。豪邸を見るとシダックスみたい!という僕の感覚もなにかに毒されている。

ハワードに影響を受けた建築家が作った町(ラドバーン)と姉妹関係にあるそうだ。
 

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高台にピラミッド!?と思ったら教会だった

ゆめが丘

まだ時間があるのでもうひと駅行こう。ゆめが丘にした。~ヶ丘、~野というニュータウン地名だけど、「ゆめ」というところに惹かれた。

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ゆめが丘・未来かね

ゆめが丘は1999年開業。かなり新しい。

新幹線は1964年「こだま」(音速)と「ひかり」(光速)といううまい比喩で開業した。

でも1992年に登場した「ひかり」(光速)より速い列車は「のぞみ」だった。概念になった。

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ゆめが丘駅を出たところ

ゆめが丘ものぞみに似ている。

ニュータウンの地名も最初は「めじろ」「つくし」「ユーカリ」など、世の中にあるものだった。「ゆめ」はその後の世代っぽい。後世になるほど抽象的な名前になるパターンだ。

実家の近所に光が丘という地名が1969年に生まれているがそれは見なかったことにする。

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ゆめが丘駅を遠くから

駅の周りは開発されておらず、「ここはむかし一面の原っぱでなんでそんなところに駅を作ったんだとよく言われたものだ」という証拠写真のような景色だった。

しかし、こういう縁のない郊外を歩く楽しさはなんだろう。


新宿に相鉄線がやってくる

という相鉄が新宿にやってくる。新宿にくるのは乗り入れを見越した新しい車両らしいが、やっぱり鏡がついている。

相鉄線のサイトに「相鉄線の象徴である鏡を設置しました。」と書いてあった。(相鉄デザインブランドアッププロジェクト|相鉄グループ

あの鏡は相鉄にとっての八咫鏡なのかもしれない。三種の神器だ。

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車両の真ん中にボックスシートがあるのも最高

 

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