方向音痴伝言ゲームをしよう
そういったわけで今回は”我こそは方向音痴”という方々を4名募り、『方向音痴伝言ゲーム』なるものを開催した。
今日の方向音痴たち ※全員仮名です
◼️ルール説明
・2人1組でタッグを組んで、目的地を目指す。
・2人の役割は以下の通り。
案内係は、マップ制作には携われない。マップ制作係は地図を読むことができない。
このタッグで、前半組と後半組に分かれ、地図をバトンにしてつなぐ。この先は図にしたほうがわかりやすいだろうか。
1人ずつ巡ってたほうが伝言ゲームらしさは増すかな、と思ったけれど、今回の2人組のルールにしてよかった。1人じゃたぶん一生みんなゴールにたどり着かなかったから。
道案内役は正しく地図を読むことができるか、マップづくり役は地図をうまく描けるか、そして全員目的地にたどりつけるのか!という具合だ。
舞台は、迷いの都、自由が丘。
さて、前半組の道案内役に渡した今回の地図がこちら(実際にはもう少し店舗名などが記されたマップを渡している)。
スタート地点から、「チェック1.見つけづらい寺」「チェック2.花屋」を経由して、ゴールの「カフェ」に向かう。スムーズに歩けば20分弱ほどの道のりだ。
正直、このゲームが未知数すぎてルートの難易度がわからない。もしかしたら簡単にクリアできてしまうかもしれない、難しすぎてルールが破綻するかもしれない…。
ワクワク感と同時にフタを開けないとわからない今回の旅、主催者もドキドキしながらのスタートである。
コンパスからはじまる方向音痴の旅
コンパスからはじまるの、方向音痴の旅にちょうどいいなと思い、ここを選んだ。
なお、応募いただいた方は10名ほどいたのだけど、全員が女性だった。
よく女性に方向音痴が多いなんて言われるけど、実際は「自分は方向音痴だ」と認識しているひとが女性に多い、ということらしい。
前半組、スタート!〜それは方向音痴の玉手箱〜
制限時間は30分に設定、さっそく歩いていこう。
九品仏(くほんぶつ)は、隣町であるおしゃれな雰囲気の自由が丘とはまた違った空気が流れる穏やかなエリアだ。
駅の踏切を越えると、間もなくして左手に「浄真寺」が現れる。
お寺を少し通り過ぎたあたりでマップ制作係の駒井さんが尋ねる。停まっていた車を地図に記すか迷っていたのだ。危ないと思うな。
でもすごいわかる、なんでか我々方向音痴は動くものを目印にしてしまう。
それでもいくつか動かなそうなものを地図に記したら、10分近く直進したところで藍さんが曲がることを決心したようだ。
我々にとって道案内のアプリは生命線だ。自分の位置がわかるし、指示された道順を追えばいい、もうアプリのない時代には戻れないよなあ。
藍さんも地図を見るのは久々だという。そういや最近地図を持って歩いている人って見かけなくなったな。
地図はぐるぐる回すもの
「古そうな門」を背にしてしばらく直進していた藍さんが立ち止まり、ここで曲がりたいですと告げる。
お、ここを左に曲がって直進すればチェックポイントの寺へたどり着くはず。なんと順調だ!
今回同行していて改めて気づいたのだけど、前半組も後半組も進行方向が常に上になるように地図や自分の書くマップをグルグルと回していた。
こういった具合なので、あまり彼女たちの現在地や地図の向きに捉われず、「方向音痴なひとたちってこうなるよね」とじんわり見守っていただきたい、というのが今回の企画の主旨である。
さて、ずんずん書いていた駒井さんの地図だが、ここで用紙の端まで書き切ってしまった。
左端まで行ったら右から出てくる地図なんて見たことない。方向音痴の我々に地図の常識なんて通じないのだ。
※このあと紙を繋げて地図を広げました
寺、見つからない。
ここまで順調に進んだ前半組だったが、寺に向かう道中でついに歯車が狂い始めた。
一般的にイメージされる見た目とは異なるこのお寺。そうとは気づかず「もうすぐ寺があると思うのですが…」と二人は直進を続ける。
こんな歩くかな…?という空気の中、交差点で左を向いた藍さんがあるものを見つける。
頷きながらたぶん自分は悪い顔をしていたと思う。その寺は目的地ではない。
自分の感覚よりも、不確実なヒントに頼ってしまうのも方向音痴の習性である。
というわけで、一行は道案内に従い究竟寺へ到着。いくつかの電信柱に案内があったのですでに地図から目を離しているが大丈夫だろうか。
二人:なんで!?
一度道を見失うと一気に方向感覚を失うようだ。マップをぐるんぐるん回している。
再び目指せ、本当のチェックポイント!
渡したマップにここの寺が表記されていたので、どうにかリカバリーして再出発することができた。
電柱なくなってないです。
というわけでいったん来た道を戻ることに。この時点で制限時間の30分が経過。いいや、制限時間なんてナシだ!
道を何度か引き返し、「もう1区画あっちへ行こうと思います!」と息巻く藍さんをストップさせたりしながら、
やあやあ、第1チェックポイントの龍昌寺だ。
こっからはわりとスムーズ
ここまでは苦戦したがここから先はわりと円滑に進み、第2チェックポイントのお花屋さんは慎重に無事到着。
だんだんとおしゃれな店が増え、自由が丘の気配が強くなってきた。道を引き返し、駅に向かって直進だ。
自由が丘の駅前はカフェだらけ。少し奥まった場所にあるカフェをゴールに設定したのだけど…いつもと様子が違う。
期間限定の激ムズポイントが発生してしまった。
当然、一度道に気づかず通り過ぎてしまうも、なんとか目的地のパームスカフェへ到着。
後半組、スタート!〜意外な健闘の理由〜
駒井さんの書いた地図を持ち帰り、後半組の待つスタート地点へ。
前半組より確実にふわっとした地図をもとにゴールまでたどり着けるのか…?
限られたヒントを頼りにそろそろと進む。
ひとつ解釈違いや目印を見逃すと大惨事になる後半組のチャレンジだ。
本当だ、前半組とはまったく違う種目になった。曲がらない道は自分には関係のない道なのだ。
来た道を引き返せないのわかるなー。帰りは逆に曲がらないといけないのがどうにも難しい。
地図に書かれた「ピアノの音がする店」
予想に反して順調に進む一向。目印の学校を右手に進む。
看板な、むずかしいよな。
前半組が大苦戦したチェックポイントの寺。
最初はやはり前を通り過ぎ少し迷う様子も見られたが、なんと無事正解にたどり着いた。
というのも、近くをうろうろしていたところ、袈裟を着た住職さんがドアを開け寺に入っていく姿に奇跡的に鉢合わせたからだ。なんなんだ、そんな絶妙なタイミングがあるものか。
とはいえ「だいたいこの辺のはず…」とアタリをつけていたからこそのハプニングだったことも事実。後半組の快進撃だ。
最難所をクリアした二人はこのまま花屋を経て、ゴールのカフェへ到着することができた。
前半組より25分ほど早いタイム。なんと、「方向音痴な人が書いた地図」のほうが普通の地図よりスムーズに人を誘導できたのだ!
少しみんなで振り返ってみよう。
最後に、ゴールのカフェで今日の道中を振り返った。
わかる。高校の学校説明会でそれっぽいひとたちについて行ったら、同じ日に説明会を開催していた違う高校にたどり着いて遅刻したことがある。
オフィス街のビルはオシャレすぎて文字が小さい。本当にそう。
全員:カラオケ!!
カラオケの話には全員同意していた。不安なのでできる限りトイレに行きたくないのだ。
方向音痴が道に迷う理由とは
道わかる人って、間違えても「多分あっちの方角だから…」って感覚があったりするじゃないですか。
東西南北で構築できないので、目の前にある道に対してどう進むか、しか考えられない。俯瞰で見ることがむずかしいのだ。
そう、不完全に思われた”方向音痴のひとが作った地図”だけど、むしろ情報が研ぎ澄まされた結果、方向音痴のひとにとっては逆に受け止めやすい地図になったのだ。
ちょっとこの辺りは面白い結果になった。
初対面の方向音痴同士の会話は思いのほか盛り上がったので、蛇足ながら話に出てきた我らの苦悩を置いてこの記事を締めたい。
・昼と夜で景色が変わるのでわからなくなる
・いったん建物に入るとリセットされる
・am/pmがファミリーマートに買収されたときに目印がわからなくなった
・なんとなくで道を選ぶと必ず逆
・新宿の西口の地下から地上に出られない
・上野御徒町駅と上野広小路駅が苦手。駅が繋がっていてそれぞれに「A1」出口などがある
・ずっと工事している下北沢も苦手
簡単に解決できそうなものではない
あわよくばこれを機に迷わなくなったらいいなぁなんて思っていたが、理屈がわかってもそう簡単に解決するものでもないよなあ。一応こうすればいいかも!?とその場で盛り上がった点をいくつか記す。
・風景(ランドマーク)ばかりで覚えようとしない
・俯瞰で見るクセをつける
・ためらわずに人に尋ねる
・目印が少なそうな道は避ける。遠回りでも、わかりやすい道を選ぶ