特集 2023年12月15日

煮魚から骨格標本をつくる

手順その3  まずはブロックをつくろう

いきなり本体に骨を付けようとしても途方にくれるだけなので、まずは大まかな部位ごとの塊をつくろう。

おぼろげな記憶と写真、ネットを頼りにすすめていく

骨を調べるに当たりとても参考になったのがこちらのWEBサイト

 迷路のような複雑な作りのページだが、骨の名前、ひとまとまりの構成、どの骨とどの骨が関節で繋がっているかなどめちゃめちゃに詳しく書かれている、熱意あふれる素敵なサイトなのでぜひご一読いただきたい。

よーーく表面を観察すると、凹凸や剥がれたときの境目など、カチッとハマるヒントが見つかることもある。
まずは肋骨
手軽に標本作ってる感を高められるのは口周り
カッコイー!
これはどの部分でしょう
目のサイズぴったり!(当たり前っちゃ当たり前なんだけど、でもうれしいんだこれが)
うまい肉ポケットこと肩の部分は

5つのパーツから成り立っている
結構複雑なしくみだったのが鰓(エラ)と口の部分
土器の欠片をつなぎ合わせていたときとはまた別の、構造物という難しさがある
小さな骨が集まってどんどん大きなまとまりになってきた!
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手順その4  関節にご注目

ブロックができあがったら、今度こそ本体に接着していく。

この骨は…
ここ!
そしてこう!パーツが次々に連鎖して形になっていくのがかなり興奮する
スライド7.JPG
舌顎骨はいくつものブロックを繋げる橋渡し役だ。
スライド24.JPG
こちらの突起には
鰓蓋が
スライド15.JPG
先端には先ほどの顎が合体!
鰓条骨をつけて
まさに鰓を蓋するように鰓蓋部を置き、全部合わさるとしっかり頭の骨格が復元された!(実は間違っている箇所もあるのですが、あとで気づきます)
バラバラになった鰭(ヒレ)も、よーく見れば形が合うものがある
鰭はワイヤーに固定することでバラバラに外れるのを防ぎつつ、形も整える
そしてそして、
とうとう……
できたー!!
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完成!

できた!できた!なかなか格好良く仕上がった!博物館に並んでたって不思議じゃないかも。

漂ういいモノ感・そしてふんわり香る魚の匂い!
今回は右半身だけを作ったので、裏から見ると骨の構造がよくわかる

近くで見れば、それはもう恐竜顔負けの大迫力だ。

目はしょぼしょぼ、背中はバキバキで満身創痍だが、すごいことを成したぞという達成感がすごい。あれだけバラバラだった骨がまたひとつの生きものの姿にもどって、眼前に鎮座している。


食べながら答え合わせ

完成した日の夜は、骨格標本を眺めながらもういちど煮魚を食べた。

答え合わせだ。

おお、骨の場所がわかるから食べるのが楽だ。

そこは骨が少ないから食べやすい、ここに隠れた肉はうまい、とすいすいおいしく食べていく。

おや……、これは顎、ここは肩、と骨を外すうち、気がついた

なんか飛び出てる!

あぶないあぶない、慌てて骨を剥がして貼り直す。危うく今までにないかたちの鯛を生み出すところだった。世の古生物学者はこんなまちがいはしないんだろうか。それとももしかしたら、あの恐竜も実はちがう姿だったのかも……!ますますロマンが膨らむのであった。

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