「書」は新たなる次元へ
今回の記事で私は、紙の上だけを表現の場としていた「書」を、筆を振れるだけの空間さえあればどこでも表現できるフェーズに突入させてしまったのかもしれない。
言い方を変えれば「書」は二次元から三次元へ活動の場を広げたのかもしれない。
つまり、これからは、すべての空間が書道用紙となったと言えるかもしれない。
というか言えないかもしれない。
書道家が大きな筆で巨大な和紙に文字を書く、書道パフォーマンス。
筆をダイナミックに振りかざし、迫力があってかっこよく、書いてる本人も気分がいいに違いない。
やってみたい!
本格的にやるのは大変そうだけど、大きな筆で字を書くだけなら、意外と簡単にできるんじゃない?
なんといっても書道パフォーマンスは和服で大きい筆を持つところがかっこいい。
そういういでたちで「夢」とか「愛」とか「感謝」とかどこからも文句のこない前向きなことを書けばいい。これだけなら簡単にできそうだ。
ということで大きい筆はAmazonで「パフォーマンス書道モップ筆」というものを発注。
和服はコスプレ用の紋付き袴を利用。
これで書道パフォーマンスをやってみよう!
準備ができたので、さっそく「夢」とか「愛」とかなんとか一文字書いてみよう。
皆さまのご多幸をお祈り申し上げまして、一筆書かせていただきます!
ありがとうございます。人と人との縁に感謝。こうしてこの記事を読んでくれているあなたとの縁(えにし)に感謝の気持ちを込めて書き上げました。
などと思わせておいて、一文字足して未練たらしい願いを書いている可能性もあるので注意したい。
大きい文字は書けたので次は小さい文字をということで、デイリーポータルZの書類にサインを書いてみよう。
大きい筆のままだと、はみ出してしまうので細工をほどこす。
このまま提出したが、今後、記事執筆の依頼がこなくなったらどうしようとかは考えないことにする。
つづいては狭い部屋を飛び出して、広い人の目につくところで豪快に書こう。ライブこそがパフォーマンスの醍醐味だ。
で、広くて人の目につくところといえば海水浴場である。
この恰好で歩くと信号のない横断歩道でもすぐに車が止まってくれることがわかった。
では屋外での書道パフォーマンスを開始しよう。
広いところでパフォーマンス出来たものの、ギャラリーはゼロだった。
部屋と海で書道パフォーマンスをやってみてわかったことは、書くことじたいは気分がいいが、準備と後片づけがとても大変だということ。
米を研ぐとなかなか水が透き通らずに疲れるものだが、書道パフォーマンスで使用した大きい筆を洗うのは、それとはくらべものにならないほど段違いで疲れる。
書道パフォーマンスが簡単にできそうだなどと思った自分がはずかしい。
また、パフォーマンス自体も本当は墨がほとばしるように殴り書きしたいのだが、掃除のこととか、まわりの迷惑を考えてしまい、墨が飛び散らないようにそっと書いてしまうのである。
俺がやりたかったのはこれじゃない。
墨汁なんて敢えて飛び散らかすようにバサーーーーーッと、ズバーーーーーッと書きたいのだ。
どうにかもっと気軽、かつ豪快に書道パフォーマンスを楽しめないものか?
気軽に書道パフォーマンスが楽しめないのは、後片づけの大変さ、そこらが汚れないようにする配慮のためであることがわかった。
つまり原因は全て「墨」である。
ということは墨を使わずに書道が出来れば、もっと気軽、かつ豪快に書道パフォーマンスが楽しめるはずだ。
と考えて思いついたのがこちら。
大きい筆の先に黒いポリ袋を何枚も連結したものをくっつける。
で、できた筆を持ってカメラの前で大きく振って
ほらほらこうやって、周りに墨が飛び散る心配も、準備や後片づけの手間も省ける道具ができたのである。
それどころか紙がいらないので更に気軽に楽しめる。
海に紙を持っていくのは風にあおられて大変だったし。
これさえあれば屋外に限らずもちろん屋内でも使用が可能だ。
本当の墨だったらこんな真っ白い空間で自由に筆を振りまわすなんて、あとさき考えたらできないに違いない。
が、この筆なら何の問題もないのである。
今のところ画数が一画のものしか表現できないものの、この筆さえあれば、墨も、紙も、練習もいらず、いつでもどこでも気軽に書道パフォーマンスを楽しめるのだ!
ぜひ全国高校書道パフォーマンス甲子園に参加される高校生にもドシドシ使ってほしい。
今回の記事で私は、紙の上だけを表現の場としていた「書」を、筆を振れるだけの空間さえあればどこでも表現できるフェーズに突入させてしまったのかもしれない。
言い方を変えれば「書」は二次元から三次元へ活動の場を広げたのかもしれない。
つまり、これからは、すべての空間が書道用紙となったと言えるかもしれない。
というか言えないかもしれない。
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