影絵はひとり遊びの王様じゃないかと思う
みなさんはひとりで時間をもてあましている時、どんなことをしてヒマをつぶしているでしょうか。
目の中に浮かんでいる謎の模様を追いかけてみる、さけるチーズを必要以上に細くする、ラーメンのスープに浮いている脂をつなげて天下統一する……等々、いろいろなヒマつぶしがありますが、ボクがよくやっていたのは影絵遊びです。手の影を壁や地面に映して色んな形を作るという……まあ非常にネクラ感の高い遊びですよね。
さすがに最近はヒマをつぶすにもインターネットはあるし、携帯電話もあるしで、影なんかで遊ぶ機会は全然なくなりましたが、受験生の頃なんかは特に勉強するのがイヤでイヤで現実逃避して、勉強机の電気スタンドを使って影絵遊びをしていました。
そんなモン今考えると、とても面白いとは思えないんですが、当時のボクは何を考えていたんでしょうか? 勉強しすぎて頭がバカになっちゃってたんですかねぇ。
……ということで今回は久々に影絵遊びをやってみて、楽しいのかどうか、そして当時のボクは大丈夫だったのかを検証してみたいと思います。
まずは何はなくとも影を浮き上がらせるための光源が必要ということで、500Wの強力なハロゲンライトを購入!
調べてみたら過去に小野法師丸さんが「フィジカル影あそび~江戸VS現代」という記事で使用していたライトと同じタイプでした。
直視したら目がつぶれそうなくらい強力に発光するのにお値段1000円以下というお手軽さ、もはや影絵に最適な定番ライトといってもいいでしょう(?)。
影を映すスクリーン代わりに白いシーツを天井から吊り下げました。シワッシワに見えますけど、ちゃんと新品を使用してますからね!
そして、スクリーンを挟んでライトと逆側に三脚をセッティングしてタイマーで影絵を撮ることにします。
さっきから著しく生活感のあふれる写真が続いていますが、コレ寝室なんですよね……。真っ暗に出来る部屋がここしかなかったもんで。
そんじゃ早速はじめてみましょう。まずは影絵の定番中の定番、犬。ワンッワンッ!
さすが強力ハロゲンライト! 結構キレイに影が映りますね。
こちらも定番、キツネ。コンコン! この辺はよく見る影絵です。
しかし、ここまでやっての感想は
そこまで爆発的に面白くなるとは思ってなかったですが、誰に見せるでもない影絵をひとりでやってる虚しさときたら……。電気スタンドで勉強部屋の壁に影を映してた時はすごく楽しかった記憶があるんですけどね。
しかも、ものすごーく地味な作業のわりに、その影絵を写真に撮るのは結構難しいんです。
こんな感じで、影絵を作りながらカメラの液晶をのぞき込んでポジションを決定、それからシャッターボタンを押し、タイマーでシャッターが切れるまでの間に急いで再び影絵を作る……。
慌ただしいわポジションが決まらないわで、なかな大変なんです。
なので、このように……。
超真剣な顔。ギャーッ! こんな真顔で影絵やってる大人、イヤだよー。
少しハイレベルな影絵に挑戦
さて、「影絵なんかやってもつまらない」という結論で記事を終わるワケにもいかないので、影絵のマニュアル本(そんなのあるんですね)というのを買ってきて、そこに載っている影絵に挑戦してみることに。
さっきまでの定番影絵と違い、その本にはかなり複雑なものも沢山載っていました。
はい、猫!
おおっ、それっぽい! 上手いこと両手を使って頭部分と胴体部分を役割分担しているので、慣れると尻尾や後ろ足をリアルに動かすことも出来ます。
こちらはウサギ。
コレなんかは影だけ見ると、手で作っているということは分かるものの、どうやってこんな形にしているのやらサッパリ。
実は、こんなことになっているのです。見えない部分でも指を絡ませてたりしていて、上手いことウサギっぽい形にするまでにかなり時間がかかってしまいました。
しかし、そんなこんなで試行錯誤をしていたらちょっと楽しくなってきましたよ!
……ということではなく、難易度が上がってやりがいが出てきたってことでしょう。そりゃ、犬とかキツネ作っても何の達成感もないですからね。
それではさらにドンドン影絵を作っていきましょう。
新しい影絵を作ってみよう
さて、影絵本に載っていた複雑な影絵を作ってみたところ結構楽しくなってきたのですが、やはりその手の本に載ってるのって動物とかばっかりなんですよね。
もうちょっとヤング層にアピールするカッコイイ影絵はないもんでしょうか。……と思い、自作影絵に挑戦してみました。
もしかしたらここからテン年代(このダサイ呼び方どうにかならないですかね)の新しい定番影絵が生まれるかもしれないですよ!
はい!
バッファローマン……。
ほいっ!
映画「スターウォーズ」より、ヨーダ……。
分かってます、分かってます……こんなテキトーな影絵じゃ企画的に許されないということは。
でもね、でもね、新しい影絵を作るのって意外と難しかったんですよ。スクリーンに影を映して、手をわしわし動かして「この影、○○っぽいかなー」と思ったら、そこからブラッシュアップしていったのですが、痛感したのが思った以上に指の可動範囲が狭いということ。
いざ、こういう形を作りたいな……と思って、それに近づけようと思うと思っても、上手いこと指が動かないんです。
そうこうしているウチに、スクリーンの方を凝視して手を動かしてるもんで、右手と左手の位置関係もワケわからなくなっちゃって、手がつりそうになっちゃったりして……。
そんな感じなんですが、もうちょっとがんばった影絵を見てもらいましょう。
「ドラえもん」に出てくる骨川スネ夫! ……ど、どうでしょうか?
ひとつだけいわせてもらうとすれば、口の部分の指を交差させることによって、口先のシャープさを出しているのがポイントです。
しかしこの口、藤子不二夫漫画ではよく出てくるタイプの口ですよね。ということは……
コレも出来ました。「まんが道」より才野茂! グーで頭部の丸を表現できると思ってたんですが、意外と人の手って丸くないモンで、なんだかゴツゴツした……パンチパーマをあてた才野茂みたいになっちゃいましたね。
そして、そろそろお気づきの方もいるでしょうけど、いちいちイラストを入れているのは、イラストくらいないと影だけじゃ本気に何がなんなのか分からないからです。
まあ、もともとが影絵って
コレが犬だとか、
コレがキツネだとかいうのも相当ムリがあるじゃないですか……。だから広い広い心の目で、想像力をふくらませながら見て頂ければと思います。
ホントにお願いします。
つづいてこちらは……。
ノッポン! おなじみの東京タワーのキャラクターですね。東京スカイツリーが完成したらノッポンはどうなっちゃうんでしょうか? コレはコレって感じなんですかね。
そしてこちらは……。
楳図かずおの「14歳」より、体が人間、顔が鳥という科学者・チキンジョージ!
もうここまでくるとかなりの人がついて来れてないと思いますので、昨年のM-1で笑い飯が披露して話題となった「鳥人」ということにしておいてもいいです……というか普通にニワトリということでもいいような気がしてきました。
さて、上のチキンジョージを作ってる課程で偶然出来たのがこちら。
ペガサス!
なぜ突然、これまでと全然傾向が違うものが出てきたのかというと……。ネタに困ったんだろうな、とお察し頂ければと思います。でもコレはちょっと絵画っぽい美しい影絵ですよね。
次は、腕まで駆使した大作(?)。これは何だか分かりますでしょうか。
目を描き入れると分かりやすいのではないかと……。
そう、この手の企画でよく参考キャラクターとして登場しがちな宮城くん。ホント、絵で描くにしても何にしても簡単なパーツで構成されているので作りやすいです。
ほい、最後はこちら! コレは結構よく出来てると思うんですけど……。2010年代定番影絵として認定したいくらいです。
「ヱヴァンゲリヲン」より、エヴァ初号機! なるべく横長になるように作って、 グイッと首を前に伸ばした感じにするとそれっぽく見えるのではないかと思います。
どうでしょ、コレよく出来てないですか!? 完成した時、ウオッって思いましたもん。合コンとかで披露して自慢してもいいですよ! 多分、全員ポカーンでしょうけどね。
ホントは、角の位置が納得いってないですし、口もウオーッと開けるようにしたかったんですけど、やはり人間の指は自由には動かないようです。その辺は今後の課題として、徐々にブラッシュアップしていきたいですね。
それでは今回はこの辺でっ!
もーちょっとがんばれそうな気もするんですが……
影絵作りは、やりはじめると結構ハマッちゃうもんで、スクリーンの前で何時間も「ああでもない、こうでもない」とやっていました。いかんせん、影絵作りのセオリーみたいなものをわからないままテキトーにはじめちゃったので、もうすこし勉強してからやったらもっとクオリティの高いものが作れそうな機がするんですけどね……。
しかし、指先をものすごく動かして、曖昧な形をした影から何かを想像していくというのは、ものすごくボケ対策にはいいような気がしました。みなさんも影絵で脳トレ、いかがでしょうか? 他人に見られたら、早くもおかしくなっちゃったのかと思われるかもしれませんが……。