特集 2023年6月26日

神社にネオン? 穴守稲荷神社「無窮の鳥居ネオン」奉納はこうして実現した

当事者たちにも話を聞いた

さて、次はネオンの鳥居を奉納したアオイネオン株式会社事業企画部長である荻野隆さん、ネオンの鳥居の奉納を受ける形となった穴守稲荷神社宮司の井上直洋さんに、今回の奉納について感想を伺った。

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左:穴守稲荷神社 宮司の井上さん 右:アオイネオン株式会社 荻野さん

井上 最初にお話をいただいた時の率直な感想は、「神社にネオン鳥居? こんなの置いたらまた怒られるなぁ」でした(笑)。

ーー(笑)。まぁ、そうなりますよね。一見結びつかな過ぎて。

荻野 私は逆に、「ネオンを勝手に作って、お寺や神社に設置してもらえば?」みたいな提案をいただくことはこれまでもあったんです。でも、そうやって実現出来たとしても独りよがりで面白くない。良い意味での〝面白さ〟という点で食指が動かなかったんですよね。

ネオンは当社が誇る最上級の技術であるという自負はありますが、実際にどうしたら双方納得できる形で神様に奉納できるかわかりませんでした。

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アオイネオンさんは普段からネオンを絡めた攻めたイベントを企画している。
この背負いネオンもアオイネオンさんの作品

井上 そうですね。私も今回のお話を伺い、奉納や御灯の本義や歴史をこちらでも改めて調べた結果、不思議とネオン鳥居の奉納をお断りする方向には考えませんでしたね。あとは、どうやったら恙無く実現できるかを頭をひねって、エクスキューズを用意しました。

ーー私も奉納について調べるほど、点と点が繋がるようにアオイネオンさんが穴守稲荷神社にネオンを奉納する意義を感じて震えました。

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鳥居の奉納は私も以前した(おすすめ)

荻野 奉納を通じてネオンを正式に穴守稲荷の神様に受け入れてもらえる。神聖なモノとして祀られ、信仰対象にまで昇華されるような、今回の「無窮の鳥居ネオン」奉納奉告祭では〝奉納〟という神道における行事として実現しました。

後世にこの出来事とネオンを伝え残せることも含めて、最高に〝面白い〟と思いましたし、感謝の気持ちと同時に身が引き締まる思いがしました。

ーーまた、御神穴にまるで用意していたかのように、ネオンをつなぐコンセントがある空間がぽっかり空いていたのも運命的でした。はじめは別の場所の設置を考えてたんですよね。場所見て「そんなことある!?」 と思いました。

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試しに置いてみたらしっくり来すぎた時の写真

井上 そもそも今の御神穴が竣工したのは令和二年のこと。そうした偶然も含めまして、今回の一連の奉納劇は、天の時・地の利・人の和、すべてがタイミングよく重なり実現したものであります。これは穴守大神様のアカシックレコードに刻まれた、必然であったのかもしれません。

話が壮大なことになってきたが、今回の奉納が必然であるということには私も完全に同意である。以前の仮奥之宮であれば、今のような形になることは決してなかっただろう。

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以前の仮奥之宮

本当にこのタイミングで、アオイネオン株式会社が穴守稲荷神社に奉納するという形でしか実現しなかっただろうと思うとまさに、奇跡のネオン鳥居!

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奇跡のネオン鳥居だ(断言)

最後になったが、宮司さんが『日本書紀』から引用して、「あかき(朱き/明かき)とりゐ(鳥居)のつらなること、まさにあめつち(天壌)ときわまりなかるべし」と詠んでくれた。

「朱色の、そしてネオンの明かりの鳥居が連なる様は、まさしく天地が永遠に続くがごとく雄大で美しい」の意味の通り、無窮の鳥居ネオンを眺めていると、まるでそれが異世界への入り口のような気分になる。千本鳥居の向こうを眺める時も、そんな気持ちになる。

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千本鳥居の向こうを眺めると不思議な気持ちになる……ならない?

日常の中で体験できる非日常。穴守稲荷は羽田空港から電車を使えば10分程でたどり着く。


みんなも鳥居を奉納してみないか

ネオンの鳥居は素人には難しいが、普通の鳥居は意外と気軽にできる。穴守稲荷神社では小さいもので3000円から奉納できるのだ。なんて気軽!

また、人がくぐれるような大きな鳥居の奉納もできるので、社務所にて相談してみてはどうだろう。

鳥居の奉納はハードルが高く感じる人もいるかもしれないが皆さんもぜひ、勇気を出して奉納してみて欲しい。

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