特集 2019年10月9日

猫とIoT

うちにある3台の自動給餌器。どれもちょっとずつポンコツです。

うちでは猫を2匹飼っています。どっちも野良出身で、子猫の時に拾ってうちの飼い猫になりました。

当然ですが、猫はご飯を食べます。

普段は僕か妻がご飯をあげてるけど、泊まりで出かける時は自動給餌器をセットしていきます。自動給餌器がちゃんと動けば人間がいなくても猫が飢えることはありません。

と思って、帰ってきてみたら途中でご飯が出なくなっていたりすることがありました。設定を間違えたこともあったし、機械の不具合で止まっていたこともありました。

今回は長年に渡る我が家での自動給餌器との戦いについて書いていきます。

あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

前の記事:真空断熱タンブラーが好きでたまらず保温性能を研究した

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初代自動給餌器

この丸いのが最初に買った自動給餌器です。買ってから10年以上は経つはずです。

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4回分のご飯をセットしておくと、定時ごとに回転してカバーが開きます。

中に仕切りがあって、4回分のご飯をセットしておけます。

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それぞれに適量のご飯をセットできます。

セットした時間になると黒い部分が90°回ってご飯が現れる仕組みになっています。

保冷剤を入れる場所もあって、1食分はウェットフード(猫缶みたいなやつ)を入れられますが、うちでは全区画にドライフード(カリカリ)をセットしています。だって、ウェットは食べ残したらコバエとか湧きそうじゃないですか。実際、帰ってくると食べ残しのカリカリが残っている区画があります。

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保冷剤を入れておけば生のご飯でも安心って寸法らしい。使ったことないけど。

これは割と安定して動くのだけど、4回分しかセットできないので2泊3日で出かけると、1日目の夜、2日目の朝と夜、3日目の朝で打ち止めになってしまいます。

だから3日目の帰りが遅いと猫の抗議が激しくなります。たぶん、

『どこ行ってた!お腹すいた!トイレキレイにして!』とか言ってるんだと思います。片付けをしている我々の足元を、ずっとニャーニャーと鳴きながらついて回ります。

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若かりし頃のなつめ氏。ご飯を食べてご満悦。

じゃんけんの台頭

うちの猫は黒猫のなつめ氏が先にいて、後からじゃんけんが加わりました。じゃんけんは僕の出身地である鴨川市の小湊にいた猫で、駐車場で遊んでいたのをかまっていたらテコテコとついてきたので東京に連れて帰ってきました。

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野良時代のじゃんけん。手に噛み付く。

ちなみに『じゃんけん』という名前は僕がつけました。

じゃんけんを飼うかどうかで、妻と1分ほど話し合ったのですが、すでになつめ氏がいたので2匹飼うのは大変そうだなぁと僕は反対しました。しかし、じゃんけんの可愛さは尋常ではなく、妻は連れて帰りたいと主張したのでした。

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最初から妻になついていた。

そこで、「じゃあ、じゃんけんで決めよう」と僕が言い、じゃんけんをしたらあっさり負けてしまい、「よ、よし、3回勝負だ」と急に3回勝負だったことを主張してじゃんけんを続けたのだけど、更に続けて2回負けて3連敗となったので飼うことになりました。

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ということで、じゃんけんの勝敗で勝手に運命を決められたじゃんけん。普通、子猫の周りには親猫がいたりするものだけどこいつはいつも一匹でいたので親に捨てられたのかもしれません。

名前は僕に付けさせろと要求し、半分腹いせで「じゃんけん」と名付けました。

その時のことを覚えているのか、じゃんけんは僕には懐かず妻にべったり懐いています。やれやれ。

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僕がだっこすると手足を突っ張り、目を合わせない。

なつめ氏とも仲が悪く、なつめ氏はじゃんけんの事が気に入らないらしく、よく喧嘩をしています。

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近くにいてもなんとなく顔はそむける。

じゃんけんの妻への愛は尋常ではなく、一日中後をついてまわっています。だから、妻が出かけてしまうと無気力になります。 

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妻が出かけてしまうと抜け殻になります。

妻が帰ってくると歓喜の声で出迎えます。なんなんだ、お前は。

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僕になにか言いたい時は、こういう顔をします。かわいくないw。上の無気力猫と同じ猫とは思えないですね。
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2代目自動給餌器を購入

じゃんけんが来てしばらくは、2匹のオス猫を残して出かけるのが不安で、泊まりの時はじゃんけんだけ動物病院に預けていました。

(預けた時のじゃんけんは家にいる時の暴れん坊ぶりと違って大人しくしているらしく、病院で可愛がられていたそうな)

それからある程度時間が経って、なつめ氏とじゃんけんの棲み分けも出来たっぽいので自動給餌器を追加しました。

それがコレ。

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なんか可愛いし、4回分とかではなくカリカリをタンクに入れておけば何日でも自動給餌してくれる。

回転式の4回分ではなく、給餌時刻と量をセットするとタンクから一定量が受け皿に落ちてくる方式です。なので、極端な話日々の給餌をこれに任せることも出来ます。

(うちは人間がご飯を出す方針なので普段は自動給餌器は使ってないけど)

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猫用として使うなら2週間分くらい入るんじゃないかな。ただし、湿気るし香りも飛んでしまうと思うので猫的には嫌がりそう。

で、どっちもたまに動かない

この2台、たまにちゃんと給餌しないことがありました。

僕らが使い方を間違えたのかも知れないし、機械の問題だとしても個体差かもしれないのだけど、どちらの給餌器もたまに給餌できないことがありました。

なつめ氏の方は、1回目と2回目のご飯まではちゃんと出たのだけど、なぜかそこで給餌をやめてしまったことがありました。

あと、一度スタートボタンを押し忘れて出かけてしまい、1泊して帰ってきてからなつめ氏に超怒られました。(しばらくニャー!ニャー!と力強く鳴いてた)

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おい、どうなってんだよ!って感じでしょうか。

じゃんけん用の方は内部の配線に接触不良があるのか、じゃんけんが本体を揺さぶって電池がズレたのか、途中で本体がリセットされて給餌をやめてしまった事があり、これも帰ってきてからじゃんけんに大変怒られました。

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詫びちゅーる。
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じゃんけんは引くくらいチャオちゅーるが好きで、どんどん迫ってくる。
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とても「猫と楽しいおやつ」って雰囲気ではない、じゃんけんとのちゅーる地獄。

どちらも設定が難しい

これを見て、どうやって給餌時刻や量を設定するのか直感で分かる人がいたら、まちがいなくアムロです。

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マジでわからない設定方法。

少なくとも僕にはさっぱり分かりません。弄っているとイライラして尾てい骨の辺りがムズムズしてきます。

今でもわからないので、設定は自動給餌設定職人の妻に任せています。妻も未だに説明書を読みながら設定しています(職人とは?)。

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すごく簡易的な、手作り感あふれる説明書。

そして、設定のボタンがすごく固い。設定するには何十回も押さなければいけないのだけど、押していると指が痛くなってくるくらい固いんです。固くないと猫が押して設定を変更してしまうんでしょうか?

じゃんけん用の給餌器も設定がややこしい

こっちの方が見た目も洗練されているし、設定方法も便利になっているかと思いきや、そこは大差ないのであります。

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これもよくわからない。こういう機械に慣れている人にとっては直感的だったりするのだろうか。UIの直感性というのは文脈や定石を知ってるかどうか次第だったりしますが。

ソフトウェアと違ってハードウェアはそう簡単にリッチなUIを作るのは無理なので仕方ないとは思いますが、それでもこの難解さはどうにかならなかったのかと聞きたくなってしまいます。

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説明書。これも理解するのにちょっと時間が必要でした。

セキュリティホールがある

しかも、こいつにはセキュリティホールがあって、カリカリが出てくるところに手を突っ込むと数粒出てきてしまいます。

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再現写真。この辺をゴソゴソするとカリカリが落ちてきます。

猫たちはお腹が減ると自分で手を突っ込んでカリカリを出すということを学習してしまいました。変なとこだけ賢いな、君たち。

(一応セキュリティホールを塞ぐパッチ的な器具が同梱されていたが、本体を捨てようと決めた今の今まで気づきませんでした)

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それからカリカリの受け皿が外れ易すぎるという欠点があり、妻が梱包テープで止めていました。

ちょっと留守を任せるには不安な品質なんですよね。

(改良版が出ているようです) 

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監視カメラを設置してみた

自動給餌器の信頼性が低く、旅行中に猫のことが気になるのは精神衛生上よろしくありません。そこで、根本的な解決にはならないけどスマホでライブ映像を見られる監視カメラを家の真ん中に設置してみました。

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これまで全く見ることが出来なかった、外出中の猫の様子を見られるようになりました。それにより精神衛生は著しく改善されました。買ったのはコチラ。

賃貸なので建具に傷がつかず、それでいてちゃんと固定できるパーツを3Dプリンターで作ってカメラを据え付けました。

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3Dプリンターのいいところは、こういう自分しか使わないような部品を高精度に1個だけ作れるとこです。サイズは価値。

遠隔で映像を見られて、上下左右に視界を動かせるので猫が色んな場所にいても大丈夫。声を掛けることも出来ますし、音をモニタリングすることも出来ます。一方的なテレビ電話ですね。

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アプリから声を掛けると猫がカメラの方を見ます。これが楽しい。

このカメラの威力は絶大で、旅行中に猫の様子や給餌器の様子を見られるのですごく良いのです。

なんなら移動中とかずっと見てられます。

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暗くなると自動で赤外線カメラになります。赤外線LEDが付いてるのでよく見えます。なつめ氏がじゃんけん用の給餌器からご飯を食べているのもバレバレです。

でも、給餌器が不調の場合は、それを見てるしか出来ません。

カメラで状況を見られるようになったのはいいんですが、カメラの位置は固定されているしロボットアームや足があるわけではないので給餌器から餌が出ていなくも手も足も出ません。

そこで、自動給餌器を買い換えることにしました

IoT自動給餌器の登場

はい、こちらが新しく買った自動給餌器。Amazonのクーポンを使って14,800円でした。

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受け皿はしっかり固定できて、カメラ付き。スマホでカメラの映像も見られます。

WiFiでネットに繋がってスマホから設定できるしカメラも付いているし、定期的な給餌だけでなくアプリから給餌ボタンを押すことでご飯を出せます。

スマホに慣れている人であれば、すぐに使えるでしょう。

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ご飯はタンクに入れておけばいいので給餌回数にも縛られません。
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猫と比べると、大きさはこれくらい。なつめ氏は大きめの猫なので、自動給餌器が小さく見えますね。

角度は固定ですが、カメラも付いています。

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ここにカメラがあって、夜は赤外線カメラになります。

音声の双方向通信も出来ます。監視カメラ+自動給餌器ですね。これは良いわい、と思ってました。最初の24時間は。

通信が切れた

一泊目の夜までは良かったんですが、2日目の朝になったら給餌器がオフラインになっていました。

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オフラインになったらもう自動では復旧しませんでした。天井の監視カメラは使えているのでネットワークの問題ではない。

以降はどれだけ待っても通信が復旧せず、結局家に帰って電源プラグを抜いて挿して再起動するまで直りませんでした。

給餌は行っていたみたいで、受け皿に溜まったカリカリを監視カメラで見ることが出来ました。でも給餌器のカメラが24時間で見られなくなるのは困ります。

定時給餌の際にSDカードに録画した映像は残っていたので、給餌器のカメラ機能は正常に動いていたようです。ネット機能だけが復旧しなかったということですね。

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SDカードに残っていた、なつめ氏が吐いた瞬間。秋になると毛が抜けるので、猫はよく毛玉とかご飯とか、色々吐くんですよ。

テストしたら、24時間毎に切れてた

帰宅後しばらく様子を見ていたのですが、大体24時間くらいすると通信が切れてしまい、以降は自動では復旧しないことが分かりました。電源を切って再起動しないと直らない。

これは困りました。返品するか、どうするか。

スマートプラグを導入

機械を追加して解決していきましょう。世の中にはスマートプラグというのがあります。

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スマホから電源をオン・オフ出来る便利なやつ。スタンドライトとか扇風機のオン・オフに使うと便利そうです。自動給餌器の再起動用に使う人は少ないでしょう。ちょうどセールで安くなっていたのでこれを買いました。

ネットに繋がるコンセントで、遠隔でオンオフが出来ます。スマートスピーカーと連動することも出来ますが、今回は自動給餌器の再起動が出来ればいいのでそのへんはどうでもいい。

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こうなります。これで遠隔再起動すればOKというのは確認しました。

これを自動給餌器の電源コードに繋げば万事解決です。

自動給餌器がオフラインになってしまったらスマートプラグをオン・オフして再起動すればオンラインになります。OKです。

調子に乗ってルーターも再起動させようとして失敗

うちのWiFiルーターはたまに調子が悪くなってネットに繋がらなくなるので、ルーターもスマートプラグで遠隔再起動出来るようにしよう、おお、俺は天才か!?と一瞬錯覚したのものです。

で、テストしてみたら電源を落とすことは出来ても、機器をネットに繋いでいるルーターが死ぬとすべての機器がネットに繋がらなくなるのでスマートプラグをオンにすることが出来なくなってしまいました。

単に家のネット環境を自殺させるだけの機構を作ってしまい、この構想は失敗となりました。

どうせなのでエアコンと照明もスマートIoT化しよう

真夏に泊まりで出かける時はエアコンを入れっぱなしにしていきます。猫が熱中症になったら困るから。それから、防犯のために明かりも点けっぱなしにしていました。でも、省エネの観点からすると良くない気もします。

そこで、たまたま居間のシーリングライトがリモコン式になったこともあり、スマートリモコンを導入しました。

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赤外線リモコンで操作できる機器をスマホやスマートスピーカーから操作できるようにするやつ。4500円くらい。買ったのはコチラ。

スマホのアプリで設定できて、最初からテレビやシーリングライト、エアコンのリモコン設定が入っていました。機器を選んで登録するだけで、スマホから操作できるようになります。

温度計と照度計も入っているので、部屋の環境をモニター出来ます。

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もう物理リモコンは要らないかも。

アレクサやGoogle Homeとも連携できるので、テレビ、エアコン、照明などを声で操作できます。

音声認識も失敗ばかりだし、何を言っても「すみません、お役に立てそうにありません」とか「よくわかりません」とか平気で言い放つ非スマートスピーカーが少しは役に立つ時が来たか?!と思ったものです。

しかし、音声認識の精度は相変わらずなので、例えばテレビを見ているとかなりの確率で認識に失敗します。リモコン使った方が手っ取り早い気がします。

留守番モード、あったんかい 

スマートリモコンの設定をするためにシーリングライトのリモコンをよく見たら『留守番』というボタンがありました。

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留守番?え?

説明書を読むと、このボタンを押すと一定時間ごとに明かりのオン・オフを自動でやってくれるみたいです。

OH…。

それはともかく、これでエアコンや照明を外からオン・オフ出来るようになったので、猫のために点けっぱなしにしなくてもよくなりました。

お出かけ中、僕のうちの色んな機器が外からスマホで操作できます。とても愉快なIoTが我が家にやってきました。


期せずしてIoT、来た

猫のご飯は自動給餌器であげて、調子悪くなったらスマートプラグで再起動。カメラで監視できるし、猫のためのエアコンや照明も外から操作できる。

IoTって普通の生活と関係あんの?ピンと来ないなー、なんて思っていたら、猫の為に『スマートなんちゃら』を色々導入していくことでいつの間にか家の中がIoT化していました。

必要は発明の母と言いますが、必要は普及の母でもあるんだなーと思った次第です。しかし、自動給餌器はもう一歩アレなので、是非ファームウェアのアップデートをお願いしたいと思います。なんで24時間でネット接続切れるのよ。

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