特集 2022年5月16日

自分で買ってきたくせに、なにひとつわからないプレートランチ

輸入食材専門のスーパーマーケットで、「なるべく正体がわからないもの」というテーマで買ってきた食材あれこれ。

今日のお昼は、それらを一堂に会させたプレートランチとしゃれこもうかと思います。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:「たこ焼き蒸しパン」を作る


きっかけはトルコの「なすのごはん詰め」

最近、立て続けに、ハラルフード専門店、タイ&アジア食材専門店と、輸入食材専門のスーパーマーケットに行く機会がありました。

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こんなお店とか

陳列棚に所狭しと並ぶ、見たこともない異国の食品たちを眺めていると、どんな味なんだろう? と気になり、かたっぱしから買ってみたくなります。が、もちろんそんなことは現実的に不可能。

そこで思いつきました。お店にある商品のなかでも特によくわからないもの、なるべく正体不明のものを買ってみて、しかもそれをランチプレートに盛り合わせてみよう! と。たまにはそんなランチも刺激的で楽しそうじゃないですか。

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というわけで買ってきたものたち

今回は、計9品の謎食品を買ってきてみました。さっそくひとつひとつ見ていってみましょう。

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「Patlican Dolma」(原産国:トルコ 税抜き価格 ¥450)

実は今回の企画を思いついたきっかけがこの缶詰でした。パッケージ写真を見てもなんだかよくわからない。そこで裏面を見てみると、

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「なすのご飯詰め」と書いてある

缶詰はトルコ産なので、きっとトルコの名物料理とかなんでしょう。確証はないけれど。

これはとにかく気になるぞと。ごはんものであるならば、昼食にもいいんじゃないかしら、と。しかも同じシリーズがあと2種類あったので、そちらも購入。

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「Biber Dolma」(原産国:トルコ ¥450)
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「Yaprak Sarma」(原産国:トルコ ¥490)

ふたつめのはまだわかる、ピーマンのごはん詰め。3つめは未知すぎる、ぶどうの葉で包んだごはんとのこと。「Biber」「Yaprak」がそれぞれ、ピーマン、ぶどうの葉っぱで、「Dolma」「Sarma」がごはん詰め、ごはん包み、みたいな意味なのかな。重ね重ね、確証はないですけれども。

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「BANANA BLOSSOM IN BRINE」(原産国:タイ ¥265)

説明によると「バナナの花の水煮」だそうです。バナナの花がどんなのかも知らなかったし、食べられることも知らなかったし、それを「水煮」にしたと言われてもまったく味の想像ができない、この楽しさ!

加えて、こんなにもよくわからないものが、こんなにもリーズナブルに手に入ってしまっていいのだろうかという、謎の興奮!

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「天津冬菜」(原産国:タイ ¥580)

裏の説明によると「天津冬菜」という商品名らしく、一見中華惣菜っぽいのにタイ産。

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しかも横には「五香冬菜」と、違うことが書いてある

で、「五香」ってくらいだからいろいろと香辛料が入ってるのかと思いきや、

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原材料かなりシンプル

保存方法に「直射日光、常温または冷蔵で保存し、」とだけ書いてあるも、けっきょくどうしていいのかわかりませんし。

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「深海小魚」(原産国:中国 ¥25)

どうも「カタクチイワシ」をどうにかこうにかした小袋の商品らしいのですが、お値段なんと25円! 中国の駄菓子的なものなのかな……?

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「ドリアンようかん」(原産国:タイ ¥480)

パッケージの表記がひとつも読めないので、商品名は店頭の表記より。っていうか「ドリアンようかん」って語感の違和感! 小学生がふざけて考えた料理名みたいだ。

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「Sanest Bird's Nest Drink」(原産国:タイ ¥178)

これまた想像がつかなすぎる、なんと「ツバメの巣」のジュース!(?) ツバメの巣って高級食材のイメージあるけど、こんなにお手頃でいいんでしょうか?

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しかも裏面に「すごい苦労してとってきました」感まで出しておいて
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「???」(原産国:??? ¥975)

そしてラストがこれ! アジアスーパーの冷蔵ケースに陳列されていたものですが、なぜかこの商品だけ店頭POPがなく、しかもパッケージにも詳細がなにも書いてありません。

練りもの? 植物? それともこういう生物? 本気でなにひとつわからない! さすがにこわいぞこれは……。

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情報は唯一「975円である」ということのみ
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すべてをプレートに盛りつけて

それではいよいよ、これらの食材をプレートに盛っていきましょう。

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こんなプレートに

ちなみにこちら、タブラ奏者のユザーンさんがプロデュースした「仕切りが取れるカレー皿」。めちゃくちゃかわいい上に機能的で、僕のお気に入りです。せっかくの謎の料理たちを盛りつけるだから、気分の上がるプレートを使いたいですもんね。

それではまず「ごはん詰め」軍団から。

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なす

ほほ〜、こんな感じか。ひとつひとつがかなりでかいな。これひと缶食べきったら、もう満腹になりそうなボリュームだ。

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どすん!

続いてピーマンもどすん!

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ピーマン、さらにでっかい!
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ぶどうの葉包みごはん

かしわ餅とか、大葉でみそを巻いた東北料理「しそ巻き」を連想するような見た目。

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どすどすっ!

よしよし、すでにいい感じにプレート上が混沌としてきたぞ。

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続いてバナナの花
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わはは! なんなんだこれは

パッケージからの予想に反し、色味は薄めで、たけのこに近いようなものなのかもしれない……?

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「天津冬菜」は見た目に安心感ありますね
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「深海小魚」は、駄菓子ってよりはちゃんと魚料理っぽかった
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そして最後に「謎」を盛りつけ
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ツバメの巣のジュースをコップに注げば

ついに完成!

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「自分で買ってきたくせに、なにひとつわからないプレートランチ」!

いや〜楽しいですよこれは。上下左右どの角度からでも、見れば見るほど、

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なにがなんだかわからない

当然、「いっただっきま〜す!」なんてテンションで挑めるはずもなく、

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「い、いってみるか……」

って顔で食べはじめます。

いざランチタイム!

まずはツバメの巣ジュースからですかね。

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う〜ん……

透明で、なんというかこう、とろとろっとしたものがぷかぷか浮かんでいて……これがいわゆるその、ツバメの巣なんだろうか。

さて、意を決して飲んでみましょう……ごくり……。え、え〜と、なんだろう、特に香りとかはなくて、ただただ薄甘いべっこう飴味の液体。そここに謎のとろとろ感。個人的には決して「うまい!」と感じる飲み物ではないけれど、ありがたいもんなんだと思えば、飲めないわけでもないというか。

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なすごはん

ナイフでカットしてみると、驚くほど柔らかくとろとろに煮込まれてますね。切ったひとかけをぱくりと食べてみる。……あ、そうだった! 見た目からすっかり「肉詰め」っぽいものをイメージしてしまってたけど、これ中身はごはんだったんだ!

シンプルな塩味+ほんのりスパイス+しっかりとした油っぽさ。お米の穀物感ととろとろのなすの相性もよく、うん、美味しいじゃないですか。

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ピーマンごはん

ど〜れ、さっきのなすとどう違うのかな〜? なんて思いながら食べてみると……う、うまっ! なすのとは味つけがぜんぜん違って、トマトソースっぽい甘酸っぱさがベースの華やかな味。肉厚で柔らかいピーマンの甘さとほんのりとした苦味のアクセントもいい具合ですよ。これ、大好きだ。

よし、これから人に「好きな食べものはなんですか?」と聞かれたら、「Biber Dolma」と答えることにしようっと。

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食べたものがうまいとびっくりするランチ
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ぶどうの葉ごはん

なるほど、あくまで野菜ではなく「葉っぱ」ジャンルの、ぱりっとした食感ですね。エゴマの葉とか、ああいうのに近い。そして、なんだかものすごく爽やかな香りがします。それこそ、まさにぶどうを思わせるような。ぶどうの葉っぱだからかな? とはいえ、実じゃなくて葉っぱだもんなぁ。勘違いかなぁ。

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「天津冬菜」

うへぇ! こりゃ強烈にしょっぱいな! 相当な長期保存が可能そうな味。そしてなんだろう、いわゆるシンプルな大根のお漬物のはずなのに、たとえるならば「パン酵母」を思わせるような、独特のクセがあります。う〜む、変わってる。

そのまま食べるってよりは、チャーハンや炒めもの、スープなんかの味つけ兼アクセントなどに向いている気がしますね。そうやって消費するのに5年くらいかかりそうだけど。

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「深海小魚」

おぉ〜、かなり容赦なく辛い! 食感はジャーキーとかに近いですね。複雑な香辛料による中華っぽさもあり、ごはんのおかずとして普通にいけると思いますよこれは。今日はシンプルな白メシがなく、ごはんはすべてなにかに包まれてしまっていて、検証はできませんが。

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バナナの花

なんだろう、こう、クセもなければ香りも味も薄く、強いて言えばシャキシャキの食感が特徴なんだけど、それもなんだか頼りない。「やる気のないたけのこ」って感じというか……。

ただ、缶詰なので保存は効くし、お値段もリーズナブル。中華風の炒めものなんかに入れたらばっちり合うと思うので、いざというときの常備野菜として、いくつかストックしておいてもいい気はします。

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そしていよいよ、「謎」を食す

まずはフォークで刺してまじまじと眺めてみますが、それでもなにがなんだかわからない。いや〜、現代の日本において、こんな食体験、なかなかできないですよ。

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わかんね〜……
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いいやもう、食ってみりゃわかんべ
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わっかんね〜!

こいつも味にぜんぜん特徴がなくて、ほんのりと甘いんだけど、それが食材本来の味なのか、それとも砂糖などでつけられたものなんかがまずわからない。このギザギザのポテトのような形状も、もともとこういう形なのか、カットされたものなのかがわからない。

繊維っぽくてシャキッとした食感があるので、たぶんだけど、野菜かフルーツなんじゃないかとは思います。いや、そうであってくれ! だってやだもん。これがもし、南米の奥地にだけ生息するカラフルな鳥の、トサカの部分とかだったら……。

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デザートに「ドリアンようかん」をば

ドリアンようかんは究極に甘く、カラスミにも近いにちゃにちゃ感があり、そして後味に強烈なクセがありました。あんまりちゃんと食べたことないんだけど、それがたぶん「世界一くさい」とも言われるドリアン独特の香りなんだろうな。一度食べてみて損はない味と言えるような、そうでもないような。


というわけで、なんだかわからないものだらけのプレートランチ。今回はあえて、事前のネット検索などでの予備知識を入れずに挑んでみたのですが、それでもいろんな新発見があったし、脳が活性化されるような楽しさもありました。

まぁ、一度にここまでやらなくてもいいとは思うけど、引き続きよくわからない食材を見つけたらチャレンジしてみようかな〜と。

それにしても、あの黄色い、ギザギザの、食べてみてもいまだに謎の食材は一体なんだったんでしょうか!? ご存知の方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください!

※2022/05/16 編集部より追記
上記のようにお願いしたところ、読者の方から「未熟なマンゴーをカットしたものだと思います。 タイでは、熟していない固い果物を食べやすい大きさに切って、Nam Pla Wanという甘辛いディップにつけて食べます。」と教えていただきました!ありがとうございます!

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