終わってしばらくしてから、「これはなんという名前でしょう?」と参加者に聞いてみた。
あんなに盛り上がったのに全然覚えられていなかった。名前はやっぱり、使わないとどんどん忘れてしまうのである。
よく見かけるが、名前をきかれると答えられない…というものがけっこうある。こういう「名前がよくわからない」ものだけを集めたかるたを作ってみた。
突然だが、これの名前をご存知だろうか。
こんな感じで、そのあたりでよく見るが実は名前がわからないものは多い。
普段「あれ」とか「これ」とか呼んでいるものだけを集めたかるたができた。
いざ、このかるたをやってみよう!
まずは友人を集めてみる。
説明するのが面倒だったので、詳しいことは説明せずにとりあえず「かるたをやろう!」といって集まってもらった。
並べた時点ですでに「これに本当に名前があるのか」「聞いてもわかる気がしない」などなど参加者から不安の声があがる。
取れるかどうかわからないまま、見切り発車のかるた大会がスタートした。
まずはこちらのかるたから。
読み札を堂々と読み上げたものの、誰もかるたを取ろうとしない。
「ぼんてん」は、耳かきについているフワフワのこと。狐につままれた空気のまま大会はどんどん進行する。
と、ここで
バラストは線路の下にひかれている砂利のこと。
あまりにも迷いがなかったので、なんでわかったのか聞いたら「普段、会社の仕事で電車を買ったりしているから」らしい。世の中いろんな仕事があるものだ。
次はこちら。
オリフィスは「砂時計の細くなっているところ」。
本当に聞いたことがない言葉だが、ものすごい自信満々にオリフィスのカードを取られてしまった。
そんなかるたのつもりはなかったのだが、いろんな人の仕事の知識が炸裂する大会になった。専門知識というのは意外なところで役に立つものだ。
続いてはこちら。
カードの中に、ケチャップとマスタードを同時にかけられる容器(パキッテという)があったのだが、これがあまりにも「ダブルダレ」すぎて全員をひっかけるという自体に。
また、物議をかもしたのがこちら。
オムニバスとは「抱き合わせ」という意味で、この略語がおなじみの「バス」の由来になっている。
これは本当に本当の話なのだが、なんだかいまいち納得のいかない参加者たちから「正式名称ではなく語源ではないか」と抗議をうけた。
逆に全員がスッキリしたのがこれだ。
「同じ」「繰り返し」という意味の記号、『々』。
これの名前が「ノマ」なのだが、言われてみれば完全に「ノマ」と書いてある。
毎回「おなじ」と書いて変換していたのだが、これからは「ノマ」で変換していこうと思う。
残りのかるたが少なくなると、だんだん「かるたあるある」が出てくる。
それから、かるたが少なくなってもなお誰も取ろうとしなかったのがこちら。
「こんなくぼみに本当に名前があるのか?」という顔をされて、誰も取ってくれなかった。ディンプルにみんなちょっと失礼だ。
それから無意味に私が恥をかいてしまったのがこちら。
聞いたことがなかったので「これは難しいよ〜!」と前置きしてから読み上げたら、私以外の参加者全員が知っていた。
「聞いたことない」と反論したら「それは料理をしていないからでは?」とバッサリ言われた。
かるたで人の教養を試すとき、私もまた人に教養を試されているのである。
参加者には「思ってたより楽しめた」「でも二度とこのかるたでは遊べなくなってしまった」と言われた。1回限りとはいえ楽しんでもらえて何よりだ。
終わってしばらくしてから、「これはなんという名前でしょう?」と参加者に聞いてみた。
あんなに盛り上がったのに全然覚えられていなかった。名前はやっぱり、使わないとどんどん忘れてしまうのである。
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