特集 2020年2月19日

遊び方のわからない外国製ボードゲームを遊ぶ

遊び方がわからないボードゲームを解読しながらあそんだ

香港に行ったさい、港鉄(香港の地下鉄)をモチーフにしたボードゲームをお土産に買ってしまった。

ただ、遊び方の説明書が英語と中国語の2種類しかなく、英語も中国語もさっぱりわからないため、遊び方がまったくわからない。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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とりあえず集まってやってみた

港鉄のボードゲームは、「PMQ元創方」という、警察の寮を改装したクリエイターのためのスタジオやシェアオフィスの集まった施設で売っているものを見つけた。
日本円で4000円近くするうえに、箱がけっこうデカかったのだが、路線図好きとしては、なかば義務感にかられて購入するに至った。

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「港鉄沿途有礼」

「港鉄沿途有礼」というタイトルらしい。漢字のわかり具合が中途半端なので、意味が掴めそうでなかなかつかめない。礼ってマナーのことだろうか。

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折りたたまれたボードを広げるとこんなかんじ

中にはいっているボードをひろげると、たたみ半畳分ほどの香港の地下鉄路線図が展開される。
鉄道路線図が好きで、鉄道路線図が描かれたものをあつめている身としては、買わざるをえないデザインだ。

ちなみに、香港の地下鉄構内で見かける路線図はこんな感じである。

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海がちゃんと描かれている

地下鉄で実際に使われている路線図には、香港島と九龍のあいだにあるビクトリア・ハーバーなどの海があるが、ボードゲームの路線図に海はえがかれていない。純粋に路線図の造形だけである。

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海はえがかれていない

さて、こうやって、ただ路線図をながめるだけでもかまわないのだが、まったく遊ばないというのも、この路線図にもうしわけない。そこで、路線図マニアであるライターの井上マサキさんと、編集部の林さん、古賀さんを呼びつけて、あそび方を解読しつつ、試しにプレイしてみることにした。

遊びかたを解読する

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この三名にきてもらいました

西村:というわけで、英語と中国語の説明書しかないんですが……、みなさん大卒ですから、英語力と漢字の知識でなんとか、説明書を解読してプレイしましょう。

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英語の説明書を読むインテリゲンチャ

井上:まずは、どういうゲームかの説明じゃないですかね、これは……素早く目的地についたもの勝ちみたいなことが書いてあるんじゃないかな。

林:ここas quickiy as possible……。

井上:できるだけ素早く、ですね。

林:both safely and courteously? 安全……と紳士的? 協力的?

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最後の方なんて書いてあるかわからない

古賀:これ、協力してってことですか?

林:結構(そこを読み間違えると)根幹にかかわりますよね……。

古賀:そちらが英語を解読しているうちに、こっちは漢字を解読しましょう。西村さん、漢字得意ですよね。

西村:いや、漢字わかっても中国語はわかんないですよ……。

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中国語の最初のページ

西村:「關於遊戯」かんおいてゆうぎ? 「ゲームに関係すること」かな。でも、なんか見たふんいきだと、このページには、具体的な遊び方は書いてないんじゃないですか?

西村:とりあえず、コマとかカード出しますか。

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ボードの上にカードとコマを並べる

古賀:わー、かわいい。

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コマはかわいい

井上:ディズニーランドありますね。

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ディズニーランド

古賀:あ、ほんとだ! でも、なんか見たことない字ですね、アブラ……。

西村:アブラじゃないです。これ(迪)は「ディ」みたいに読む漢字ですね。士尼は「ズニー」でしょうね。

古賀:あー、尼僧(にそう)の尼(に)ですね。

ボディランゲージ

西村:カードが複数ありますけども……。どのカードがなにをするのかがわからないですね……。

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カードは何につかうのか

西村:手のマークが付いてるやつは、35張客務中心卡。35ハリってのは35枚ってことかな。お客様センターカード35枚? もう一つは「34張命運站卡」命運駅カード34枚。

林:これは? 置き石?

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アイテムカード

西村:置き石するなってこと? なんかハードすぎません?

古賀:え、置き石で人の邪魔ができるってこと?

井上:アイテムカードって書いてありますよ。……なんか、目的地っぽいんですよ。このミッションカード……。

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ミッションカード

西村:「11張任務卡」はミッションカードのことか。これ、下に駅が3つありますけど、それに行けってことじゃないですか?

井上:ミッションごとに目的があるみたいですね……。

林:これ(スピン)を回して、進む駅数を決める……そこでチャンスカードや、カスタマーセンターカードが出たらそれを引く……Customer Service Center Card to other players and within a 1-minutes time limit, use words or body language to allow other players to guess the object or subject……他のプレイヤーにボディランゲージで当てさせる?

西村:え、ボディランゲージですか? 謎だな。確かに漢字でも「身體言語」って書いてありますよ。

古賀:でも、ボディランゲージで表現するものに「FREE Wi-Fi」とかありますよ。どうやって表現するんだ。

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ボディランゲージで表現しなければいけないもの

4人が持ちうる限りの知識を総動員し、侃々諤々したおかげで、なんとなく大まかなルールがわかってきた。

わかったルールをまとめてみたい。

①    各プレイヤーは、ミッションカードを引く。ミッションカードには、スタートの駅、アイテムカードのある駅、ゴールの駅が記されている。
 
②    順番にスピンを回し、でた目の数だけ駅を進める。
 
③    スピンで、カスタマーセンターカードが出たら、カスタマーセンターカードを場から1枚引き、書かれている内容をボディランゲージで表現する。他のプレイヤーは、それがなにかを当てる。当たったら、カスタマーセンターカードを引いた人と、当てた人が2マス進める。
 
④    スピンで、チャンスカードが出たら、チャンスカードを場から1枚引き、その指示に従う。
 
⑤    スタート駅を出発し、アイテムカードのある駅でアイテムを回収し、ゴールに戻るのが、一番早かった人が勝ち。

以上である。細かな部分は間違っているかも知れないが、やり方が根本的に間違ってることもないのではないか。

ひとまず、以上のルールに基づいてプレイしてみることになった。

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一番最初に誰がボディランゲージすんのか

そんなわけで、全員がルールをふわっとしか理解してない状態でスタート。それぞれがミッションカードを引き、スタート地点の駅に自分のコマを置き、スピンを回す。

井上:まずはこの、ボディランゲージのところをだれが最初にやるかですね……。

林:これ、知ってる駅ならもっと盛り上がるだろうなぁー「王子かーみたいに」アイテムカードなんかも、香港の人にとったら「あー、はいはいあれね!」みたいな感じなんでしょうね。

西村:うぁー、方南町の方にはいっちゃった! みたいな。

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おっかなびっくりゲームをはじめる

古賀:(スピンをまわす)(カスタマーセンターカードが)でた! テッテレー! じゃ、やります!

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西村:え、なんだろ。

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井上:お、電車待ってる。

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西村:え、なになにこれ?

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一同:えー、ちょっとまってください。これ、なんなんですか?

古賀:それを当てるんですよ!

西村:マナーが書いてあるんですよね?

古賀:いえ、駅の設備ですね。

西村:え、なんだろう。

林:整列乗車?

古賀:林さん正解!

井上:当たった人と、ジェスチャーした人が、2個すすめるんですよ。

西村:あーなるほど。そういうしくみなんですね。(まだよくわかってない)

林:次、僕ですね、チャンスカード。

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どんな内容でしょうか!

井上:林さんが引いたチャンスカードはもう一回スピンが回せるというカードですね。

西村:チャンスカードにはそれぞれ、良いマナーと悪いマナーが書いてあって、良いマナーのカードを引くと、コマを進めることができたり、ちょっといいことがあるわけか。

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降りる客がおりてから乗ろう、ということだろうか

古賀:マナーをまもろうねという、啓発になってるわけか。

西村:なんとなくわかってきた! おもしろくなってきた。

そうこうするうちに、またもや古賀さんがジェスチャーをすることに。

古賀:わかるかな、これ……ちょっとやらさせていただきます。

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西村:見て納得?

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井上:んー? え? なになに? 四角柱?

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井上:花が咲いた。

林:空気ばね?

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井上:ほっとするわー

古賀:終了ぉー。

一同:えぇー!

西村:花みてほっとするわーって駅の設備?

林:あ、わかったー、駅の改札にある生花?

古賀:正解―!

西村:ちょっとまって! そんなのあるの?

古賀:だって、コミュニティーアートギャラリーですよ。

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コミュニティーアートギャラリー

古賀:コミュニティーアートギャラリー、意訳して改札の生花ですよ。

西村:たしかにそうだ、反論できない。しかし、これをジェスチャーで当てろと、むずかしいなー。

古賀:私と林さんは2マス進めるんですね。

林:あ、香港駅と中環駅だ。これ、つながってるのかな。

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香港駅と中環駅

西村:香港駅と中環駅は地下でつながってて、歩いて行けますね。

古賀:梅田駅と大阪駅みたいなもんですかね。

西村:その例えが出てくるのなかなかですね。

よくわからないもののジェスチャー

4人とも、一進一退を続けつつ、進めていると、今度は林さんがジェスチャーを行うことになった。

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林:えぇ、これジェスチャーなのかな……。やってみます。

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西村:ん? なんだろう、耳?

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井上:動物? 動物園? 

西村:動かなくなっちゃった。銅像?

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古賀:待ち合わせだ。

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西村:えー、さっぱりわからない? まちあわせの銅像だ?

井上:わかんない……ギブアップだ。

林:これちょっとわからないんですよ。正解。

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港鐵車站藝術建築?

井上:え、こんなのあるの?

西村:これって東京の民芸品の犬に似てません? なんなんだ? 謎すぎますね。流石にこれはちょっとネットで検索してみます……。

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日本人アーティスト、吉田朗さんの作品でした

古賀:あー、あった。吉田朗の作品だって。

井上:なるほど、駅の中にあるオブジェですね、名古屋のナナちゃんみたいなやつだ。

西村:香港の人なら「あー」ってわかるんでしょうね……。

「人生における人間」みたいなジェスチャー

さらに、井上さんのジェスチャーもなかなか難しいものがあった。

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井上:えー、わかるかなこれ……。

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古賀:え? 運転手?

西村:施設とかだよね?

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西村:え、アクションがでかくておもしろいけどわからない。なんだこれ。

井上:んーっ。ギブアップでいいですかこれ。正解、電車そのものなんですよ。

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西村:うわー、当てづらい! それそのものだ。

井上:人間に人間のジェスチャーしろって言ってるようなもんですよ。

古賀:人生ゲームで人間を当てろみたいな。

西村:意外とこういうの難しいんだな……。


ほぼジェスチャーゲームとなった

ゲームの方は、ジェスチャークイズで連勝した林さんが、最終的にいちばん早くゴールに到着し、優勝となった。

ボードゲームの、すごろく的な面白さもさることながら、このゲームはジェスチャークイズの面白さを再発見させてくれたような気がする。

ジェスチャーをみんなであてるの、意外とおもしろい。

できることならば、東京の地下鉄路線図を使って、このゲームの東京版を作りたい……。

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優勝おめでとうございます!
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