特集 2024年4月3日

私が選んだデイリーポータルZベスト盤:ヨシタケシンスケさん

すごいなー。痩せ我慢じゃないですか

ヨシタケ:
昨日思い出したのが、むかずに食べるのも好きなんです。あれも誰がやっても面白いわけじゃないですか。

安藤:
続けることがおかしいかなと思っていて。10年やってる。続けることのおかしさが。

撮影係として安藤さんがいました

林:
メタに考えるとなんでやってるんだろう、この人って思いますね。
ヨシタケ:
10年は続けられないですからね。
安藤:
その10年はけっこう根性でしたね。
ヨシタケ:
根性ですよね。なんだかんだ言って、根性がないとやっていけない。
安藤:
「大変でしょう」って言われたときは「大変じゃない」って言ってました。
ヨシタケ:
えらいなー。
林:
歯が欠けたのに。
ヨシタケ:
すごいなー。痩せ我慢じゃないですか。
安藤:
そうですね。大変なんですよって言ったら、じゃあやめればってなるじゃないですか。
ヨシタケ:
えー! なるかな。
安藤:
なんで辞めないのってなるから。そこは辞めないためにも。好きでやってるんですよって言い続けてますね。
ヨシタケ:
続けるためにどういう言葉が必要かって気になっていて。なんだかんだ言ってどの世界でも生きていくうえで努力が必要で、諦めるなって言われたほうが頑張れる人と、いつ辞めてもいいんだよって言われたほうが頑張れる人といる。僕はいいんだよって言われないとできないタイプだから。 

安藤:
辞める怖さみたいなものが僕はあって。ライターも辞めると怖いんですよ。書かなくなるのが怖い。そういう気の小ささで続いてるのはありますね。
ヨシタケ:
すごくわかります。止まると死ぬみたいな。
安藤:
何が起きるわけでもないんですけどね。
ヨシタケ:
あれはなんでむかないになったんですか?
安藤:
なんとかしない安藤というのをいくつかやったんですよ。その中の一個がむかないで、それだけ残って。
林:
その人類だけ生き残ったんだ。いろんな種がいるなかで。
安藤:
駆逐していった。ほかの人類を。なぜか。

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10年20年でやっとわかること

ヨシタケ:
時間の中にしか出てこないものはありますよね。
安藤:
ポジティブにやるぞ! ってやったのではないのに、それが自分になってしまった。
ヨシタケ:
荒俣宏さんが何かのインタビューで、集めないと数の中にしか見えてこないものがあるって言ってて、一個一個はわかるんだけど、それが100個200個集まると別のものが立ち上がってくる。それが面白いからコレクターは集めるんだって。
林:
勇気づけられますね。それは。
ヨシタケ:
僕もずっとちょこちょこずっとやってますけど、そこで10年20年でやっとわかることってありますしね。それが役に立つかどうかは別問題なんですけど。ありはする。
林:
ありはしますね。
ヨシタケ:
存在だけで儲かればいいのにって思います。打ち合わせとか、打ち合わせが一番楽しかったりするから。打ち合わせだけしてお金もらえたらいいのにって、すごい思いますよね。

林:
打ち合わせだけやりたいですよね。
ヨシタケ:
プロのブレスト師みたいなね。
林:
僕もこういうイベントどうだろうってよく言うんですけど、実際に体動かしてセッティングするとほんとに大変ですもんね。準備の荷物重いし。
ヨシタケ:
最初のミーティングでこんな本作りたいんですよねって夢みたいなこと言ってる瞬間が一番楽しかったりする。本を書き始めるといろいろ大変だから。
林:
なんでこんなこと自分で言っちゃったんだろうってたいていなりますよね。
ヨシタケ:
わかりますわかります。打ち合わせの前にすっごく行きたくなる感じってありますね。そういう価値観を見えるようにしている大事なメディアだなって僕は思います。
林:
ありがとうございます。
ヨシタケ:
ものづくりしている方は間違いなくゲッて思うメディアだと思うので。
ヨシタケ:
すごく毎回怖いなって、自分がやってもいないのにドキドキしながら見てます。
林:
デイリーポータルのライターはもれなく全員ヨシタケさん好きなんですよ。
ヨシタケ:
僕はイラストレーターもまだ始めたか始めてないぐらいで、会社員時代に書いていたスケッチをまとめた自費出版のやつをネットで売ってたら乙幡さんが買ってくれて、乙幡さんだ、嬉しいってなったりそんなこともあり。
お仕事しながらライターやってたりいろいろな立ち位置の方が、価値観でひとつになれる場所があるというのはすごく大事なことだだし、救われてる人がいっぱいいるだろうなっていつも思ってます。私もそうですけど。
林:
ありがたいお言葉、ありがとうございます。


デイリーポータルZがやっていることが分かった

「存在しているけど誰も名前を付けたことがないし、まとめたこともないけど、でもある」

自分たちがわからないままに意識していたものをうまく説明してもらえた。それだ、そういうことだっんですよ。縦動画で100万再生を目指すためにダンスの練習とかしなくていいのかもしれない。そんなことを話したら

ヨシタケ:
結局試し試しでいろいろぶれてぶれてぶれることは変わらない。その格好良さがあるから。

と優しい言葉をもらいました。これからもブレブレでいきます。

林が文章、ヨシタケさんがイラストを担当した本が出ています。

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