デジタルリマスター 2024年6月19日

無意識王者『ムイシキング』できた!(デジタルリマスター)

無意識に作品を作ってしまうことがある。喫茶店でお茶を飲みながらしゃべっていると、いつのまにかストロー袋や紙ナプキンがくるくるに丸まっていたりするあれだ。

普段はすぐに捨てられてしまう運命にある作品たちだが、こういう無意識作品を集めてみれば面白いのではないか。

しかし本当に面白いのだろうか。甲虫王者『ムシキング』くらい面白いのだろうか。カードに描かれた昆虫がド迫力のアングルからさまざまな技を繰り出す。子供のおもちゃだと舐めてはいられない面白さ、そんなムシキングの方が面白いのではないか。

無意識作品とムシキングではどちらが面白いのか、折り合いのつかぬまま、とりあえずは無意識の世界をのぞいていこう。

2007年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

ざんはわ編集部に所属するざんぎょう(写真右:石川大樹)とはわい(同左:大北栄人)は、ともに1980年生まれ。石川は岐阜、大北は大阪出身。基本的に原稿は2人で作っているが、倍早いかと思ったら倍遅い。

前の記事:UFOを呼んでみました(デジタルリマスター)


企画会議にて

まずは当サイト編集部の皆さんに、無意識作品を作ってもらうことにした。お題は「ストロー袋」。打ち合わせや会議などでよく登場する、無意識素材の代名詞だといえる。

一方、ムシキングはいまや昆虫ゲームの代名詞だが、会議の席には存在しえない。あれは面白いがここはやはり会議の邪魔にならないよう、ストロー袋での無意識工作に集中したい。

デイリーポータルZの企画会議に大量のストロー袋を持ち込み、手早く配る。会議のスタートと同時に無意識の世界も動き出す。

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ストロー袋をいじりつつ打ち合わせ
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ストロー袋片手に話し合う

作品を作る際は、何も考えずに手癖だけでやるのがポイント。意気込んでしまうと無意識ではなくなるので、ぼんやりと構えるのが良し。

二時間ほどの会議を終えると、参加者全員の机に作品が出来上がっていた。さっそく作品の数々をご紹介したい。

と、思ったのだが、よく考えたらこれはただのゴミなのではないだろうか。確かに興味深いが、他人から見たらただのくしゃくしゃになった紙くずではないだろうか。それは面白いのか。せめてムシキングのように面白くならないものか。

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差し入れのしんちゃんまんじゅう
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融合

無意識に作った作品を、ムシキングのようにカードにしてみるのはどうだろうか。無意識とムシキングとを融合させるのだ。「興味深い」無意識作品に足りなかった「面白」部分はムシキングがなんとかしてくれるはずだ。

ムシキングカードを模して無意識作品を「無意識」「格好よさ」「実用性」「耐久性」「狂気」の5軸で評価する。そして総合的な「つよさ」に数値を落とし込む。

これだ。無意識王者『ムイシキング』できた!

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ざんはわ石川の作品はこちら

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ざんはわ・石川のコメント

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この手の手癖に関しては自信がある。俺のフィールド、といっても過言ではないかもしれない。

紙をくりくりと丸めるのは指先に心地よくて、ボーっとしながらたくさん巻いていたら、いつの間にかたくさんできていた。なんだかばらばらした取り止めのないものになってしまったと思い、仕方がないので最後に紙で巻いてみた。

特にベーコン巻きのことを考えていたわけではないのだが、おなかが空いていたことは確かだ。

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ざんはわ大北の作品はこちら

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ざんはわ・大北のコメント

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ストロー袋を手に持って、まず折ろう、ではなくて、破ろうというところから入った。多分そこは破壊衝動だと思うんだけど、小さく破ったところにものすごい性格が出てるんだと思う。

無意識作品作りは自分ではあまりしないけれど、名前のつけられないようなくだらないものを作ってる人が好きだったので、そういう感じになったのでは。

この日の会議は自分的にうまくいかなかった。ダメだなあという反省の思いが形になるとこういうことなのだろうか。

編集部 林さんの作品はこちら

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編集部 林さんのコメント

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向かって左が林さん。

そういえば日常的にこういうの作っている。箸袋なんかでよく作ってる気がする。

立体であるはずの「結び」が平面になるときにグッとくる。押し花的なカタルシスなのではないだろうか。しかし押し花にはあまり興味がない。

運動会のはちまきを母親が洗濯してアイロンかけた後に5角形のホームベース形に畳んで持たせていたのを思い出した。うちの母は他の子のお母さんより10才くらい上だったから、年寄りくせえことすんなよなあと嫌だった。

女子高生の手紙の本物はもっと複雑だったような気がする。
一度開いたら元に戻らないような、暗号めいたものだったような気がする。

PA横山さんの作品はこちら

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PA横山さんのコメント

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まず僕は会議に遅れて入ってきたから、そこで何かこれでやるんですよ、って渡されて何ができるのかなってちょっと考えた節はあった。まあ会議の話には集中してたけど、喋りながらなんか作らなきゃなあっていう思いはあったかな。

ねじねじやっていくのは今思えば心地よかったのかな、ねじって硬いひものようなものができたんだけど、それをちょこちょこ動かしていくと、ピーンと来た。おみくじだ!っていうひらめきがあった。おみくじにヒントを得て、くるっとまわして「結び」にすることにした。

評価されるところはなんだろう、耐久性はすごいあると思うよ。

編集部 橋田さんの作品はこちら

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編集部・橋田さんのコメント

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これはストロー袋の片側だけを開いて長方形にしてから、カールを作ってます。普段から喫茶店で人と話しててよくやる技ですね。得意技っていうんでしょうか。多分やってて気持ちいいからやってるのだと思います。これがいっぱいあったら髪の毛みたいに固めて、かつらになるのでは。それをかぶって舞踏会に行きたいと思います。

無意識に個性が宿る

こうして並べてみると、思った以上に個性が出ている。自由奔放な大北、妙に折り慣れた石川。林さんの作品はきちんとした印象のものが多く、橋田さんは遊び心。横山さんは男らしい。

無意識なだけに自分の性格や精神状態が作品によく現れるのだろう、五者五様の無意識作品ができていて興味深い。

一人一作品ずつ紹介したが、選に漏れたものの中にも面白いものがあったので、まとめてご紹介しよう。

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大北・作『ハート』。いやらしく破廉恥である。
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石川・作『コロンブスの卵』。卵が立っている。
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林さん・作『ばね』。指で押すと跳ねる。
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橋田さん・作『毛虫』。水をたらすとジワリと伸びる。

やっぱりどれも個性的で大変興味深い。

さて、ストロー袋でここまでやってきたが、ムシキングにカブトムシとクワガタがいるように、無意識作品にもストロー袋ともうひとつ代表的な「箸袋」というものがある。

次は箸袋で無意識作品を作るべく、場所と人を変えて再び作品作りに臨んだ。

⏩ 次ページに続きます

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