まずは粉にする
いくら僕が色々アレだからって、麦の粒そのものであるミューズリーをそのままこねて焼いてパンになるとは思っていない。まずは麦を粉にしなくてはならない。
という事でミキサーの登場だ。なんとかネーゼとか呼ばれてる主婦が好きそうなフランスのブランド、ティファールのロンド1500ブレンダーを使う。10年くらい前にウッカリ買った。僕の人生はウッカリが多すぎる(ホントそう思う)。
こいつがまたほんとに使えネーゼ。
上の白くて丸っこい部分が本体で、モーターなどが入っている。粉々にしたい物は下のガラスの容器に入れ、刃は真ん中にセットする。それを本体のモーターで回す仕組みだ。
大体これくらい入れると動かなくなる。
これ、見た目はたしかに可愛いのだがパワーがない。材料をちょっと多めに入れてしまうと「ウィーン」ってモーターが空回りして全然動かなくなるのだ。言ってみればトルクがない。
粒が残っているがここらが限界。
だからミューズリーを少しずつ入れて粉砕したのだが、それも粉が多くなりすぎるとダメで刃が回らなくなってしまう。見ての通り、容器の1/3も入ってないがもう回らない。買ってから10年、「これを選んで良かった」と思ったことは一度も無い。家電は素直に日本製を買うのが一番だと思う。
一応粉っぽくなったのでパンを焼こう。
さて、これでパンを焼く第1段階は整った(この有様で整ったと判断するのが酷い)。が、これで焼いておしまいってのもつまんないので他のシリアルも用意してみた。
ついカッとなって買った。
地味に高くて850円。アララのデラックスミューズリー800g。
コーンフレークはパンになり得るか。
オーツ麦(エンバク)もきっとパンになるだろう。
絵に描いたような本末転倒
そもそも、ミューズリーが余ってしまったのでどうしたらいいかってのが前回の麦飯の話だったのだが、今回の為に色々買い増したので家庭内ミューズリー量は逆に増えてしまった(わかっててやっているのである)。因果なものだ。
これらもクヌスパリのミューズリーと同じように粉にした。やっぱロンド1500は何度もウィーンって止まりながら、どうにかこうにか4種類の粉が出来た。
これでようやく生地作りへ。
パン生地作りに必要な物
さて、各種粉をパンにするにはいくつか添加物が必要になる。まずイースト菌。あと塩と砂糖。砂糖はイースト菌のエサとして発酵に必要だ。塩はなんで入れるのか知らない。調べる気もない。
あと、油。あ、そういえば良い油があったんだ、と、冷凍庫からペットボトルを出した。なぜペットボトルに油が入っているのか?
パン作りに欠かせないイースト菌。主に中華まんを作るのに使ってる。
これに油が入っている訳だが。
CCレモンのボトルに入った油の出自
突然だが、話は去年の8月に遡る。去年の8月に東京カルチャーカルチャーで開催されたデイリーポータルZエキスポで、ライターの馬場吉成さんが油搾りの実演をやった。
ライターの馬場さんはこういう人です(真冬です)。
油を絞ってる様子はこの記事の途中に出てくるのだが、エキスポが終わった後、絞りたての油が結構余っていた。馬場さんにどうするのか聞くと、持って帰れないので捨てるという。
絞りたての生油(しかも馬場さんが絞った)なんてそうそう手に入らない、いや、一生で今だけのチャンスかも!と思った僕は、くださいって言ってその油を貰った。飲み終わったCCレモンのペットボトルに入れて持ち帰ったのだ。
それから10ヶ月が経った。生だから早く使えと言われていた油を冷凍庫で寝かし続けた。そういえば僕は、顔の脂も10年以上冷凍庫で寝かした事がある(コチラ)。冷凍庫は時間を止めると思っている節がある。閑話休題。
馬場油。
馬場さんからもらった油、略して馬場油(ばばゆ)をペットボトルから出して湯煎で溶かした。甘いアーモンドの香りが立ち上る。酸化したような匂いはなく、あの夏の日に馬場さんからもらった、そのままの香りだ(言うなれば馬場油香である)。
この馬場油をパンの材料にする。
コーンフレークの生地にも馬場油。
クヌスパリミューズリーの生地にも馬場油。
オートミールの生地にも馬場油。
アララのミューズリーにも馬場油をとろーり。
生地が出来た。記事はまだ終わらない
水、塩、砂糖、各種粉。イースト菌、あと馬場油(馬場さんありがとう)。それらを適当な分量で混ぜ合わせてまとめたらパン生地っぽい物が出来た。どれも結構固くて、とても発酵して膨らむようには見えない。
でも続ける。もう後戻りなんて出来ない(出来るだろ)。
これがパンになるとは到底思えない(思えないのかよ)。
オーブンレンジで生地を発酵させる。なんか発酵専用の機能があって、指定した時間指定した温度で発酵させてくれるのだ。やっぱ日本の家電は素晴らしい。
発酵を待つ。
ゲームしながら待ってたらピーピーと鳴ったので開けてみてみた。
間違い探しではない。
なにも変わらず
発酵の前後でなにが変わったか。うーん、クッキングシートが乾燥してちょっとゴワゴワした。
それだと困るので、やむを得ず小細工をすることにした。小麦粉、混ぜちゃえ☆(敗北宣言である)。
クヌスパリのミューズリーに小麦粉を混ぜることにした。
4つある生地の一つ、クヌスパリの生地に小麦粉を混ぜることにした。小麦粉と水をボールに入れて、そこでミューズリーの生地をバラバラにして混ぜ込む。
あ、粉が多かった、水入れよ、あ、水が多かった、粉追加、ってやってたら、なんか倍くらいの大きさになった(粉物あるあるネタ)。小細工のつもりがいつの間にか大細工である。
親戚の子供みたいな急成長。
発酵させたら更に大きくなった。他は変化無し。
あとは焼いたら出来上がり
オーブンレンジを180℃に設定して30分くらい焼いたら出来上がり。各種パンが出来た。パン作りって案外簡単ですね(もしこれらをパンと呼んで良いのだとしたらな)。
アララミューズリーのパン(あくまでパンと言い張る)。
麦とかフルーツの粒が残ってて、酸っぱくないドイツパンみたい。
オートミールのパン。
発酵で膨らんでないので密度が高い。これも失敗したドイツパンみたい。
コーンフレークのパン。
トウモロコシの匂いがあって、トルティーヤっぽい気がする。
そもそもの発端、クヌスパリのミューズリーパン。
小麦粉を入れただけあって、わりとパン。密度とか粒の残りっぷりがやっぱドイツパンみたい。酸っぱくないけど。
粒が残ってたり密度が高かったりモソモソしてたりすると、なんだかドイツパンっぽくなるのだな。とか書くとドイツ人とかドイツパン好きに怒られる気がシュバイン。
もしや、ドイツ人もロンド1500みたいな変なミキサーで粉を作ってるんじゃないだろうか。だから粉が残るとか。(んなわきゃない)
各種パンのスライスを拡大画像で。
桑の実のジャムとマーガリンを付けた。
そのままだと味がない(塩とか砂糖の問題か)ので、桑の実のジャムを付けた。
この桑の実ジャム、実は自家製だ。近所の遊歩道の桑の木に実がなっていたので摘んでみた。僕も妻も桑の実が好きなのだ。でもそのまま食べてみたら不味かった(甘みが薄かった)のでジャムにしたのだ。不味い果実もジャムにすれば大体美味しくなる。
穀物の粉を焼いた物は、ジャムを付ければ大体美味くなる法則。
ジャムはすごい
モソモソして味気ないパンがジャムを付けることで劇的に美味くなった。元になってる桑の実は美味しくなかったのだが、砂糖とレモン汁を加えて煮込んだら美味しくなった。魔法みたいだ。
桑の実、ミューズリー、各種シリアル出身のパン、それら全てが味としてはいまいちだった筈なのに加工して合わさったら美味しくなった。これをシナジーっていうのだろう。僕もシナジーで美味しくなりたいと思った。
ミューズリーで朝食を
パンはともかく、ミューズリーが増えてしまった。新しく買ったアララのミューズリーは800g入り(クヌスパリの倍くらい)だ。パンにするのは面倒だ。ロンド1500のご機嫌伺いも疲れた。第一、800gで850円のものを粉にするなんて贅沢だ。クッキーの生地に入れると美味いという話も聞くが、やはり正攻法で消費するのが手っ取り早いだろう。
牛乳に一晩浸けた。なぜかヌルヌルする。
なんでも、ミューズリーは一晩牛乳に浸して食べるのが正解なのらしい。カルビーのフルーツグラノーラと違って美味しくなるのに時間が掛るスローフードなのだ。実際にそうして食べてみたら、なんかヌルヌルした食感で好みが分れるなって思った。
ヨーグルトに一晩浸した。これは美味い。
一方、ヨーグルトに浸す食べ方もあるというのでやってみた。これまた一晩ヨーグルトに浸す。するとヨーグルトの水分をミューズリーが吸ってレアチーズケーキみたいになった。これは美味しかったので、今後はヨーグルトと合わせて美味しく食べようと思います。
なお、馬場油はまだ残ってます。どう使ったらいいか誰か教えてください。