特集 2023年12月20日

餅をつくのに、臼も杵も餅つき器も要らなかった

秋田のマタギが食べるという、バター餅を作る

ある漫画で、マタギをやっていた兵士が作った「バター餅」という食べ物が出てきます。東北では今も広く食べられているものだそうで、とても美味しそうなので食べてみたいと思っていました。ならば、作るしかあるまいよ。

なお、作り方をネットで調べてしまうと、失敗もせず面白くないので、作り方も分量も適当です。こういう初めてやる事は失敗するから面白いんです。完璧に調べすぎて成功してもつまんない。

もち米をバターと一緒についていく。

水がやや多かったかバターのせいか、少し柔らかい感じで餅になっていきます。なるほど、適当な餅をつくのは簡単だけど、毎回同じ感じの餅をつくのは難しい。でも、僕はプロじゃないので適当でいいのです。 

バターはおそらく、室温にしておくか溶かしておいたほうが作りやすい。

たぶん少し甘い方が美味しいので、砂糖を適当にぶち込みます。 

多いのか少ないのか分からない。

「ゆべし」も餅みたいな食べ物なんだけど、醤油っぽい味わいがあるので倣って隠し味程度に醤油も入れてみました。 

醤油、バター、餅ときたらすでに美味しそうで食べたいが我慢。

本当はバターとか砂糖だけでいいらしいのですが、漫画ではくるみも入れてたので入れてみました。ますますゆべしっぽくなっていきますね。寒い雪山でエネルギー源として食べるものだそうなので、くるみくらい入っていてもよいでしょう。

一部はくるみ無し、半分くらいをくるみ入りとした。くるみにはビタミンやミネラルも含まれていて栄養価が高い。

くるみを潰しながら餅に混ぜ込んでいきます。 プンとくるみの香りがして 勝利を確信しました。これは美味いね。

勝利が約束されたくるみ入りのバター餅。

柔らかすぎて上手く切り離せない雰囲気だったので、フライパンで焼いてみました。もう本来の製法とは全く違うところに来てると思うけど、これがノンリサーチの面白さです。

適当に分けたのだけど、徐々にコングロマリッっていく。
結局一つになりました。パンゲア餅とでも呼んだら良さそうな一体感。

焦げてない方に裏返し、下の写真の右側がクルミ入り、左がくるみ無しです。大きいままでは食べにくいので、一口大に切って餅とり粉を振ります。 

焼いて水分を飛ばしたので、多少扱いやすくなりました。

ってことで完成、バター餅。バターと餅の香りが良い。バニラエッセンスとか入れてもよかった気がします。 

耳たぶのような柔らかさ。

翌日、ちょうど登山の予定があったので行動食として山に持っていきました。行ったのは奥多摩の川苔山。好きすぎて25回くらい登ってる山です。

山頂からの眺望。正面の奥のほうが東京都の最高峰、雲取山(2017m)。川苔山から尾根を繋いで歩いていくことも可能で、以前歩きましたが誰もいなくて楽しいコースでした。

バター餅は寒い山でも固くならず、柔らかいまま。餅(遅効性エネルギー源)と砂糖(即効性エネルギー源)の糖質とバターの脂質(高密度エネルギー)がいっぺんに摂れて効率がいい食べ物ですね。くるみも入ってるので余計に栄養価が高い。

なるほど、マタギが山に持っていくのも納得の性能。

更に翌日でも固くならず美味しく食べられました。

作ってから2日経ってもプニプニと柔らかいので、本当にこれは良いぞ?

ふむふむ、バター餅は良いぞとなって、ならば現代の登山用にもう少し栄養を足したいと思って、ヘンテコ餅を作りました。

次のページへつづく。

⏩ プロテインバターくるみ餅、爆誕

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