特集 2021年2月17日

足場に囲まれて発光しているマンションがかっこいいからミニチュアをつくる

発光マンションよ永遠に

去年の暮れ、住んでいるマンションの外装工事が始まった。

なにやら部材が積まれているなと思ったら、あれよあれよという間にマンションの周りにぐるりと足場が組まれ、シートが張られ、気がついたらマンションが発光しているではないか。

その姿がかっこいいので、工事が終わって見られなくなってしまう前に、ミニチュアを作ることにした。

まちを歩くのと建物が好きで不動産会社に入りました。
休日は山を登り川を渡り海で石を拾います。

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発光しているマンションとは

発光といったって、マンションが特別にライトアップされているわけではない。共用廊下の電灯の光に、張り巡らされたシートが電気傘の役割を果たし、マンション全体が発光して見えているのだ。

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日中はただただ白い工事中のマンション
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夜になるとガラッと表情が変わる。初めて目にしたときの感動といったら!

まずこの真っ暗な空に定規を当ててスッと切り抜いたようなシルエットがいい。
垂直と平行、足場がガッチリと組まれ、シートがピンと張られている、鳶さんの丁寧な仕事の証だ。

それからこの薄く柔らかい光具合、なんとも言えぬ生命感。
どことなく羽化したてのセミの羽に似ている。

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一昨年道で拾って羽化するまで見届けたセミ
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伝わりますでしょうか

構造物としてのかっこよさと生命感があわさって、遠くから眺めると大きな繭のようだ。

帰り道、交差点の向こうでマンションが光っているのを見つけるのが一日を締めくくる楽しみだったのだが、どうやら工事はあと数ヶ月で終わってしまうらしい。

工事が終われば足場は解体され、普段のマンションの姿に戻る。
初めてマンションが発光しているのを見たときの感慨など、あっさり忘れてしまうのだろう。いかんいかん、そんなの寂しいぞ!

つまりこういうことです

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これを
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こうして
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こうして
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こう!
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こんな
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かんじで
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so coolな
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手乗りサイズのマンション!
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記念写真

なんとか工事が終わる前につくることができた。これで未来永劫、いつでも発光マンションを愛でられるというわけだ。

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ここから先はダイジェストでミニチュア作成の手順をお送りします

まずは足場づくりだ。

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システマティック!

足場は人が何人も乗れる強度を持ち、かつその場で組立て・分解をしなければならないだけあって、考え抜かれた構造だ。

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シンプルなパーツがいくつも連結して重なって、大きな構造物へと成長していく迫力よ。

足場の部材そのものの良さについては、過去にライターの伊藤さんたちが深淵を覗きに行っている

この「はかなき名脇役」を永遠に手元に残すことができる、素晴らしいプロダクトがこの世にはあるんですよ。

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“ASHIBA”

足場のプラモデル。こんな地味(滋味)なモチーフがあるのか!!と見つけたときは衝撃を受けた。

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本体が爪の先の白いとこくらい細い。
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プラモデル初心者でも組み立てに迷うことはない。パチ、パチと順番にはめて
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組んでいくだけで
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じゃん!

小さくたって一人前だよ!と声がどこからか聞こえてくるようだ。

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ごらん、これが君の目指す姿だよ

さて問題なく組み立てられることを確認したあとは、

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ひたすら組む!

最小単位の組み方さえわかれば、おなじことの繰り返しである。スポティファイで落語百選を延々と聞きながら、半日がかりで足場を組んだ。

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噺家さんの表情はわからなくても、挨拶の小咄から本題に入っていく瞬間の空気の変わるあの瞬間、耳元がゾワゾワゾワ!!とするのがおもしろい。(落語の話)

骨組みが出来たところで、次はシェードとなるシート張りである。
運良く足場は市販品を見つけたが、ここからはおそらく前人未到の地。

とりあえず実物をよく観察しようと外へ出た。

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実物はおばあちゃんちによくある、ビニールコーティングされたレースのテーブルクロスみたいな生地
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肘から指先ぐらいの間隔で蝶結びされているのが縦にも横にも続いている
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真似してちまちまくくりつけていくが、気の遠くなる作業だ!

作業中、開け放していた窓の外でガチャンと音がして鳶さんと目があった。

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なんだろうこのマトリョーシカ感。

作業中のマンションの住人がまさにそのマンションの模型を作っているのを目撃したらさぞ気味が悪かろう。慌ててカーテンを閉めたが、一層あやしかったかもしれない。

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完成まであと少し!

最後に明かり部分を作ったら完成だ。

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ワイヤーライトを調達
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いい感じの間隔になるよう通す
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工作ボードで作った枠に貼り付けたら
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電源スイッチがしっぽに見えて、子たぬきが化けたかのような、なんだか頼りない見た目になってしまった
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見た目に反し力強く光るマンション!

足場セットと組み合わせてみよう。

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ボワ
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ドローンで撮ったみたい
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蛍の光窓の雪ならぬ、マンションの足場の光、文讀む月日重ねつつ、だ(足場に囲まれたマンションの光で書物を読み勉学に励むという故事)。直接光源が目に入らないので目にも優しい。

小見出し

マンション本体はかなり簡易的なつくりだったが、それでも十分に発光マンションを目の当たりにしたときのオオ……!!という感激を、ぎゅぎゅっと凝縮できた。

……つまりシートが張られた足場と光さえあればなんでもいい感じになるのでは?

余ったパーツで石のための小さな足場セットもこしらえてみる。

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ドォン……
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ズン……
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期せずして惑星の建築現場に立ち会うことになってしまった
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