武甲山と千葉の山が「東京」になった
高度成長期にガンガン削られた武甲山はセメントとなり、千葉の山から採掘された砂利と混ぜられて、東京のビルになった。
東京にニョキニョキビルがそびえるたびに、武甲山や千葉の山がすこしずつ削られていくということを、肝に銘じておきたい。
ありがとう、武甲山。と、千葉の山。
さて、資料館にあった「昔の武甲山」の写真。これに近い場所から今の写真は撮れないだろうか?
ドンピシャで同じ場所はわからないけれど、地図とまわりの景色を比較しながら検討した結果、秩父ミューズパーク展望台からみると近くなるのではないか。というわけで、ミューズパーク展望台まで移動。
グーグルマップによると「駐車場から山道を10分ほで歩くと展望台に行ける」とあったので、それを信じて山の中腹の駐車場から展望台に向かう。
グーグルマップを信じて来たが、たった10分ほどの山道でも、登山が苦手なもの(わたくしです!)にとってはかなりきつい。
こないだも千葉の鋸山で山歩きさせられたし……最近どこか行くたびに山登りさせられる……。
秩父市内が見渡せるとてもいい景色だ。ここから市内を眺めると、秩父の町が河岸段丘(河成段丘)の上にできた町だということがひとめでわかるのでおもしろい。
肝心の武甲山はどうか。
あいにくの曇天と若干高めの湿度のせいで、なんだかよくわからないけれど、できるかぎりズームしてみる。
武甲山は、上の写真で見えている北側の斜面がななめに盛り上がった石灰岩層で、南側(裏側)の斜面が緑色岩とよばれる玄武岩でできている。
セメントの原料となる石灰の採掘は北側の斜面だけを削って行われているため、南側斜面から普通に登山しようと思えば登山はでき、低くなった1304メートルの山頂まで行くことも可能だ。
ただ、その形のすごさを鑑賞するためには、武甲山に登ってはダメで、こういうふうに、武甲山の周りから眺めることが必要だろう。
ということにして、登山をしない言い訳としたい。
高度成長期にガンガン削られた武甲山はセメントとなり、千葉の山から採掘された砂利と混ぜられて、東京のビルになった。
東京にニョキニョキビルがそびえるたびに、武甲山や千葉の山がすこしずつ削られていくということを、肝に銘じておきたい。
ありがとう、武甲山。と、千葉の山。
ささやかなおまけ画像
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