道の駅は目的地になる
いつもは立ち寄るだけの道の駅やサービスエリアを目的地にすることで、ちょっとくらい贅沢してもいいんじゃないかという気分になる。
おかげでいつもなら「急ぐから」とか「目的地で食べたらいいから」とがまんしていたプリンとかアイスなんかも食べることができた。
目的地は遠くじゃなくてもいいのだ。
道の駅箱根峠は、その名の通り箱根の山道にぽつんと建っている。
ここまで来て気づいたんだけど、僕はこの道の駅につい最近来たことがある気がする。
僕は山の中を走るトレイルランニングという競技をやっていて、たしか4月の週末にこのあたりを走った時、途中で雪が降ってきてここに逃げ込んだのだ。
その日は夜にふもとをスタートして、夜通し走って朝に山を下りる予定だった。それが夜中に降り出した雪のおかげで足止めされて、明け方までここで震えながら待たせてもらったのだ。
その節はたいへんお世話になりました。
緊急避難所としても道の駅はありがたい存在であることを身をもって体験した形だ。
道の駅「箱根峠」は、これまでは早朝とか夜中とか、へんな時間にトイレと水分補給のためだけに利用させてもらっていたので、営業時間に来たのは初めてだった。
あらためて来てみると、活気があって色とりどりの野菜が売られていて、こんな鮮やかな場所だったんだと気付く。青い鳥の話みたいだ。
そしてこの道の駅箱根峠は、なんといっても景色が最高なのだ。
天気のいい日には売店の裏手にあるテラス席に出てみてほしい。
なんという夏休み感。これぞ旅。
次も夏休み感満載です。
最後に紹介する道の駅「山北」は車がないと行きにくい場所にあるのだけれど、とにかく周りの環境がすばらしいので紹介させてほしい。
山の中ということで、売られているものにも山感が強かった。たとえばひのき。
どうして道の駅に野菜の種が、と思うだろう。このあたりには他に商店が少ないので、たぶん地元の人が普通に買い物に来るんだと思う。
道の駅山北には食事処が売店に併設されている。
僕が行ったときには地元の方らしき年配のご夫婦が、厨房のおとうさんと楽しそうに話しながら食事をしていた。セミの声と薄く流れるスピッツの曲がまじりあっている。
こういう食堂にこそ美味しいものがありそうでしょう。
名物の不老そばはもう少し涼しくなってから食べにくることにする。
この日は山の中でも30℃を越える暑さで、ソフトクリームがすぐにぽたぽたと溶けだしていた。急いでテラスに出て食べる。ちょっとジャリジャリとシャーベットっぽい食感があって最高に美味しかった。
いっしょに買ったカレーパンもだんごも、この環境で食べるといつもの倍うまい。夏休みが来たな!と実感した。
いつもは立ち寄るだけの道の駅やサービスエリアを目的地にすることで、ちょっとくらい贅沢してもいいんじゃないかという気分になる。
おかげでいつもなら「急ぐから」とか「目的地で食べたらいいから」とがまんしていたプリンとかアイスなんかも食べることができた。
目的地は遠くじゃなくてもいいのだ。
![]() |
||
<もどる | ▽デイリーポータルZトップへ | |
![]() |
||
![]() |
▲デイリーポータルZトップへ | ![]() |