これぞ「道の駅」三浦半島
三浦半島を車で走っていると、道の脇にお店が出ていることがよくある。
これこそが道の駅の本来の姿なんじゃないかと思うのだ。
僕はこの辺りはいつも自転車で通るのでがまんしていたのだけれど、今回はこの取材のために車で来たのでようやく立ち寄ることができた。
お店の番をしていたお兄さんに聞いた。毎日やっているんですか?
「ほとんど毎日いますよ。夏の間だけですけどねー。夏の、しかも天気のいい日だけ。8時に天気予報見てその日に持ってくる野菜の量とかを決めてます。」
いまも次々とお客さんが来てましたが、だいたいどんな人が買っていくんでしょう。
「午前中は地元の人が、夕方は仕事帰りの人が寄ってくれますね。毎日話だけしに寄ってくれる70歳くらいのお姉さんがたもいますよ。」
暑い中一日中ここにいるのたいへんじゃないですか?
「いつもたいへんでしょうって言われるんだけど、お客さんがいないときは隣で畑仕事してますから。ここに座ってるときは休憩みたいな感じで、別にそんなたいへんでもないんですよ。」
この売店、すぐ隣が畑なので、たとえば枝豆が売切れたらさっと行って引っこ抜いてきて、土を落としてすぐに並べられるのだとか。これ以上新鮮な野菜はない。
毎日売切れるんですか?
「なかなか狙い通りにはいかないですけどね。スイカなんかは朝のうちに売れちゃうとありがたいです、持って帰るの重いから。あとは野菜が余ったら帰りに近所に配って回ったりしちゃいます。」
それで商売として大丈夫なのか、と勝手に不安になったが、近所の家に野菜を持っていくと喜ばれるし、逆に別の野菜をいただいたりもするのだとか。お金に頼らない経済ができている。
もう一軒、近くにスイカを専門に売っている「道の駅」を見つけたので寄ってみた。
こちらの「道の駅」はスイカを専門に販売していた。小屋の裏手がかんたんな事務所になっていて、買ったスイカをそのまま発送することもできる。
お店の前ではまさにいまトラックで運んできたスイカを並べて販売していた。この立派なスイカがなんと1個1000円だという。
「本当は信号待ちの車に売ると叱られちゃうんだけどね、後ろの人に迷惑にならないようにさっと入れちゃうこともあるね。」
おとうさんによるとスイカの販売は8月の3週目くらいまでらしいので、このドライブスルー方式も時効ということで。
ちなみにこの1個1000円のスイカは完熟のもの。ここから発送する場合、届いたときに完熟になるように3日くらい前に収穫するので、すでに完熟のものは安く売っちゃうのだとか。
このスイカの販売所は夏限定。そのあとは本業である三浦大根の生産に集中するのだとか。
「スイカはさ、収穫できる時期がものすごいせばい(狭い)のよ。だからばーっと収穫してばーっと出荷しちゃって、なんだけど、取り切れなかったやつなんかをこうやって売ってるの。味は美味しいからさ、ダメにしちゃうより食べてもらった方がいいわけ。」
道の駅にもいろいろな事情があるのだ。
コンビニも道の駅
道の駅ではないけれど、道中にあるとつい寄っちゃうという点ではコンビニも広義の道の駅なのかもしれない。
知らない土地に取材にでかけて緊張して動き回っているとき、コンビニに寄ると妙に落ち着くというか、いったん呼吸を整えることができる。電池とか足りないものがあってもコンビニでだいたいのことはなんとかなるし。
日本中どこにでもあるコンビニを道の駅と考えると、アイスを買うにもコーヒー買うにも旅気分になれて最高ですよ。
逗子海岸ロードオアシス
鎌倉から葉山、三浦の方へと向かう途中にある「逗子海岸ロードオアシス」はバイカーがよく利用している印象の道の駅である。ここも僕は自転車でよく通りかかるのだけれど、立ち寄るのは初めてだった。
このあたりはコンビニも少ないので、車やバイクを停めてちょっと休みたいときにはちょうどいい場所なんだろう。
地元の野菜が売られていたり、オーガニックカフェがあったりして、これまでの道の駅にはなかったオシャレな空気が流れている。「トイレに行きたいから止まって!」とは言い出せない付き合い始めのカップルでも、ここならリクエストできるだろう。
夕方の時間帯ということで、目の前の道では渋滞が発生していた。いま帰るとこの渋滞に巻き込まれることになるのだ。
だったらもうちょっとここでぼんやりしてよう。遠くに海も見えるし、今日はこのあと急がないし、いいだろう。
道の駅を転々としながらリモートワークなんてのもアリだなと思いました。
次はこれぞ道の駅!という場所を3か所。