君は知っているか 「BANG!」の煌めきを
「改造メンコバトル BANG!」とは、2001年にタカラ社より発売された新世代ホビーである。
当時タカラ社はビー玉やベーゴマといった伝承玩具のリメイクを推し進めており、その第一弾にあたる「ビーダマン」は大ヒット、そしてベーゴマをリメイクした「ベイブレード」と現在に続く超ロングヒットをぶちあげた。
ビー玉、ベーゴマとくれば次はメンコ。そう、あの昔ながらのメンコをリメイクしたのが「改造メンコバトル BANG!」なのだ。
しかし「ビーダマン」や「ベイブレード」と比較すると、「BANG!」は流行らなかった。いや、流行らなかったどころか、知っている人をこれまで見たことがない。
私は小学生の頃になぜだかスターターデッキを持っていたのだが、当然のように遊ぶ人がおらず、一人さみしく家の床にBANGを叩きつけていた記憶がある。
それが「改造メンコバトル BANG!」である。”元”次世代ホビーかつ個人的な悲しき思い出の塊、「BANG!」。
懐かしすぎて泣きそう
さっそく対戦セットを開けてみよう。
これはBANGのフレームである。いわゆるメンコの本体部分だ。
フレーム、ウェイト、キャラクター。BANGは基本的にこの3つを組み合わせることで作られる。
20年以上前に私だけが知っていた玩具が目の前にある。圧倒的ノスタルジー。
そしてこの感情は決して誰にも、少なくとも目の前の江ノ島さんには伝わらないのである。こんなにも心が揺さぶられているのに。
なんだこれ。泣いちゃうぞ。
戦略的なメンコバトル「BANG!」
ずっと懐かしがっていても仕方がない。ここらで「BANG!」のルールを確認しよう。
どうやら6枚を1セットとし、順番にメンコのように相手のBANGに打ちつけ、最終的に表になっていたBANGから勝ち負けを判定するようだ。
ここでポイントになるのは表で残ったBANGの枚数ではなく、「ポイント」の合計で勝敗が決まるという点である。
つまり、BANGによって強さに強弱があるということだ。
ならばポイントの高いBANGばかり使えばいいという話になりそうだが、そう一筋縄ではいかない。ポイントの右に書かれた小さい数字は「リミット」を表しており、金色のウェイトをつけられる数が決まっているのだ。
ポイントが高いBANGはウェイトをたくさんつけられず、ひっくり返りやすい。一方でポイントが低いBANGはウェイトをたくさんつけられるので、攻撃で活躍しやすいしひっくり返りにくい。ポイントが低いBANGがメンコとしては重くて強いのがなんか意外だ。
さらに言えば対戦時、投げたBANGもひっくり返されたBANGも、順番に6枚投げ終わるまでは場に残り続ける。よって、相手にひっくり返された自分のBANGを再度ひっくり返し、表に戻すことも出来る。
そのため「あえて得点の高いBANGにウェイトをつけず、終盤に自分で表に戻すことで高得点をかせぐ」というプレイングも可能なのだ。
堅実に得点を重ねることも、一発逆転を狙うこともできる。あれ、もしかして結構戦略的なゲームなのか?
デッキ構築の時間が地味だし長い
さて、ルールも分かったのでBANGを2つに分け、それぞれ思い思いの戦略でウェイトをつけていくのだが。
そう、組み立てがなんだか難しいのである。ここまで黙っていたが、私のBANGに対する一番大きな記憶は「組み立てに時間がかかるしめんどう」なのだ。
次にキャラクターを差し込む。これが結構フレームぎりぎりの大きさで、なんかこう、
特に曲者が最後のプラスチックのシート。ちょっとたわませながらむりくりフレームにはめていくので、爪の間にシートが入りそうになったりする。というか、20年前に入った記憶がある。痛いんだこれが。
そしてこれを6枚分。さらに言えば、対戦ごとにカスタマイズを変えたりするはずなので、毎回この大変な作業が入る。
いざ尋常にBANGバトル
ともかく準備が整ったので、いざ対戦。
最初に一枚ずつ場にBANGを置いたうえで、デッキの中から好きなBANGを選出。
思ったよりひっくり返らないな!
ポイントだのウェイトだの言ってきたが、相手のBANGをひっくり返すという点においては純粋なメンコ勝負である。
つまりはパワー。メンコを真剣にやるのは人生で初めてかもしれない。
ルールが発展途上のゲーム「BANG!」
「上から叩きつけるといい」「角を狙うとひっくり返りやすい」など、おそらく車輪の再発明どころか車輪の再々々発明くらいの発見を繰り返しながら勝負は進んでいく。
場外に出たBANGの扱いがルールになかったのでそのままにしていたところ、すごい取っ散らかった終局となった。
これはいかがなものだろうと思って調べたところ、後年になって説明書に「場外に出たBANGは場内の好きなところに裏面で戻しましょう」と追記されていたことが分かった。
期せずして初期ルールで遊んでいたらしい。そういうとちょっと玄人っぽさがあるな。