ブーツグラスのガポっとはなにか
むかしのドラマで、ブーツグラスのつま先を上にして飲んでしまい、ビールが顔にかかるシーンがあった。
「男女七人夏物語」というドラマである。
ブーツ型のグラスはつま先を下に向けて飲まないと急に中身が出てきてガポっとなる、ということをこのときに学んだ。
そうか、大人になって飲みにいくようになったら気をつけよう。未成年だった僕はそう肝に銘じたが、ビールをブーツグラスで出す店にいくことなく僕は酒をやめて片岡鶴太郎さんはヨガの人になった。
そんなグラスを会社の近所の食器店で見つけたのだ。
片岡鶴太郎さんのグラスが家に来た。
店の主人はちょっと前まで定価1300円だったのがいま2000円になっているとぼやいていた。
「なんでも値上げで嫌になっちゃいますね」「もう国内生産に切り替えているメーカーもあるそうですよ」「そういう流れなんですかね」
大人になった僕はこんな会話だってできちゃうよ。鶴ちゃん。
ガポっ、いってみよう
ではさっそく片岡鶴太郎さんになってみよう。
あのドラマでは「ぐっと飲みなさい、ぐっと」と今だったらハラスメント相談窓口行きの発言に促されて鶴太郎さんは飲む。
……ガポッではない。たぷ~ん、である。液体が波打つが顔にかかるほどではない。このあとお茶を1リットル飲んだが、ガポっという感じにはならなかった。
こんなものなのか。
記憶のなかであのシーンがオーバーなものになっているのだろうか。
コップの形状が進化しているのではないか
ひとつ考えられるのは、コップの形状だ。
ガポっとならないようにブーツ型のグラスが進化しているのかもしれない。確かにドラマに登場するブーツ型のグラスはもっとずんぐりしている。
ドラマに登場したグラスにかなり似たものがメルカリに出てたので購入した。
「まさにこれを探してました!」と取引メッセージに書いたので、出品者は僕がこのキャラクターのファンだと思っただろう。ごめん、いま夢中なのは鶴ちゃんなんだ。
ドラマのグラスで挑戦すると意外なことが分かった
ではこれで再度試してみよう。
顔にかかるタイミングは、飲んだあとだ
つまさきに空気が入ったときに顔にかかるのではなく、飲み終えて戻すときに顔にかかった。
コップだけ持って撮った映像がこちら。
コップを縦に戻すと、つま先に入った空気が抜ける。そのときに液体が大きく波打ってコップからしぶきが飛び出るのだ。
男女七人夏物語を一時停止しながらよく見ると(Paraviで配信中!)、確かにびしょびしょになる直前、片岡鶴太郎さんがコップを戻したときにビールが飛び出している。
つま先のビールが一気に出てきたとしたら、飲みきれずに顎が濡れるはずだ。
だが、片岡鶴太郎さんは鼻にビールかかってしょんぼりしているのは戻したときのしぶきがかかったからと考えられる。