ゴルフクラブがメカっぽい。エンジンもないし電気も使わないのに。昔恐竜がメカになったゾイドというおもちゃがあったが、ああいう「なんでメカに?」な違和感がある。
話を聞いたのはゴルフクラブの販売では国内有数のメーカーらしいダンロップの広報であり前はゴルフクラブを作る部署にいた浅妻肇さん。
中の人はメカっぽい自覚がない
大北:ゴルフクラブって全体的にメカっぽいなと内部の方思ってらっしゃってたんですか?
浅妻:どうでしょう…意外とそこに気づいてないかもしれないですね。
広報西尾:そうですね、見慣れてしまっているので…
だれがメカっぽくしてるのか?
安藤:こういう、デザイナーさんがいて、デザインしてるんですか。
浅妻:3Dデザインなので工業デザインなんですけど、クラブのヘッドを専門的にデザインしてる方は日本では少ないんですね。内作もありますがそういうデザイナーと相談しながら作ったりします。ここが何ミリで機能も変わってきたり、その量産に適したデザインであるとか、そういうののせめぎ合いですね。
大北:浅妻さんは実際にゴルフクラブの開発に携わったことがありますか?
浅妻:以前の仕事でデザイン企画というところにいたことがあるので
大北:デザイナーさんとどうやって作るか話し合うわけですか
浅妻:どういうクラブにするかイメージを相談しながら、絵にして今度は絵を立体にしなきゃいけないので、うちの技術がそれを見て3Dプリンターでまず作って。そんな工程ですかね。
大北:もっとメカっぽくしてよって言ったりすることってあるんですか?
浅妻:あります、あります。
大北:ありますか!
浅妻:ありますね。
大北:その時「メカっぽく」っていう言葉を使うんですか?
浅妻:なんていったかな…「メカニカル」という言葉は使いましたね。
大北:言ってるんだ! 確信犯だ!
浅妻:「ガンダムチックに」とかね。
大北:ガンダム! そうか~、確かにロボットっぽい感じはありますね。
急にメカになることもある
安藤:急にメカっぽくなったってわけじゃないんですね、徐々に。
浅妻:そうですね、一気に変えるとブランドコンセプトもありますし。うちだと最初からテクニカルなスリクソンだとブランドコンセプト内の変化に収まりますが。 ゼクシオというブランドは、何十年もずっとつるんとした感じので来てたんですけど最近のもので一気に(メカっぽい方に)振った方です。
安藤:これは思い切ったなあ。
大北:ゼクシオはXって書いてますけど、よく使うアルファベットありますか?
浅妻:ありますね。x、z、vその辺が多いですかね。
大北:やっぱりあるんだ!? QとかPなさそうですもんね。
浅妻:QとかPはウェアとかボールでありますかね。結局うちもzを使ってるのは「究極の」とかね。xも「エクストラ」とかそういう意味で。でもゴルフクラブに限らずどこもそうですね。フェアレディZとかね、xつく車も多いです。
安藤:確かに中途半端なアルファベットないですもんね。
大北:メカニカル化した年代ってなんとなくわかりますか?
浅妻:ガクガクしてたのかな。2006~8年くらいですかね。そこからまたちょっとシンプルに戻ったんですけど、また最近ガチャガチャってしてて
大北:あ、それくらい細かくゆりもどしが。
浅妻:そうですね、商品サイクルが他の工業製品より早いので。
安藤:消耗品なんですか。
浅妻:消耗品ですね。ゴルフやる方なら、ドライバーに3年に1回ぐらいで買い替えますね。傷がついたり、飽きたりするんですよ。
大北:好きだと買い替えたくなりますよね。
浅妻:性能でいうと新しい方が絶対良いです。
安藤:あ、そうなんですか、へえ、
ゴルフクラブは金属になった
大北:ゴルフクラブはもともと木製だったと聞きましたが今金属なんですね。それもメカっぽくなった要因ですかね~。
浅妻:そうですね、今でもウッドってなぜか言うんですけどこれがウッドクラブというタイプ。パーシモンという硬い柿の木を削ってヘッドにしてたんです。大きさもこれの半分以下ぐらいで小さくて。元々大昔はシャフトも木だったんですけど、ヘッドは30年前ぐらいからだんだん金属製になってきた。
大北:30年前だとそんなめちゃくちゃ前というわけではないんですね。
浅妻:木のクラブは今ほとんどないですね。飾り用とか記念用ぐらいですかね。
安藤:飛ばないんですかね
浅妻:飛ばないですね。木なので中が詰まっている。クラブもボールも詰まったもの同士でガチンってやるから弾きは良くないですよね。金属になった今は中が空洞なので、たわむわけですよ。
大北:ぺこって
安藤:高校野球の金属バットとプロ野球の木製バットみたいなものですかね
浅妻:そうそう。あの原理と一緒です。僕も始めた時、パーシモン(木のクラブ)だったんですけど、まあ上手くもないにクラブもボールも今より曲がるものだから全部OBですね。
大北:全部!?
浅妻:全部右にしかいかないからボールいくつあっても足らない。でも最近はボールやクラブの進化で、初心者の方でもあんまりOB打たなくなってきてる。もう全然ちがいます。
ギアの進化がすごい業界だそう
安藤:ギアの進化があるんですね。
浅妻:ものすごくあります。ギアの進化の恩恵が顕著なのは女子プロですかね。昔は身長150cmぐらいの女性が250ヤードはなかなか飛ばせなかった。アメリカのタイガー・ウッズを始めとするプロもその恩恵はすごく受けてて、考えられないぐらい飛んでます。
大北:一般の人でも「最近の道具は進化したな~」ってわかるんですか?
浅妻:一般人も長くやってると、2、30年前と体力は落ちてるはずなのに二打目を打つ場所が変わってないことがよくあります。自分の力だと思っちゃうんですけどね(笑)。ギアの進化で曲がらなくなったのが1番大きいです。結果的に飛んでいる。
大北:ずっと進化しつづけてるんですか?
浅妻:2006、7年ぐらいにルール規制があったんですけど、そこまではぶわ~っと、そこからはじわじわ伸びてますね。30年前からすると劇的に変わってます。
アメリカのイノベーションから金属化
大北:金属化はどう始まったんですか?
浅妻:アメリカのメーカーで初めて鉄、スチールでウッドクラブを作った会社があって、そっからですかね。それを日本のトッププロが使い出して、日本でも一気に広がった
大北:鉄という素材はどこがよかったんでしょうか?
浅妻:木だと削ることしかできないですが、金属だと飛ばすための設計の自由度が増す。今では金属の中でもスチールからチタンへ変わったり。ゴルフクラブは航空宇宙の技術からくることが多いんですけど飛行機やロケットのようにチタンを使いますね。
ゴルフクラブはなにで作ってもよい
大北:鉄なんていきなり使ってよかったんですかね?
浅妻:多分そこまでのルールはなかったと思うんです。そこはメーカーさんの技術というか、発想の転換ですよね。
大北:今例えば、ゴムとかでクラブ作ってもいいんですか?
浅妻:登録さえあれば。公式のルール内であれば、何がダメというのは特にないです。R&Aというイギリスに協会があるんですけど、そこで認められたらオリジナルだろうとなんだろうとOK。
大北:今始めたら結構まっすぐ飛んで楽しいわけですね。
浅妻:そうですね、多分、僕が苦労したようなことはあまり体験することはない。
安藤:始めどきですね。
日本のゴルフは会社でやるものだった
浅妻:昔は服も綿素材が多かったですから、汗かくとびちゃびちゃですよね。
安藤:襟がないとダメなんですよね?
浅妻:ダメというコースが多いだけで。マナーとしてやってるんですよ。今はTシャツ短パンOKのアメリカンスタイルのコースができたり。
大北:アメリカはカジュアルなスポーツなんですね~。
浅妻:元々のゴルフは、イギリスの羊飼いの遊びだったと言われているので庶民のものという感じなんですけどね。そこからクラブという形で同じような階層の人たちだけで楽しんでたので紳士の決まりみたいなのがある。日本だとゴルフはお金持ちのステータスみたいな形で広まって、社用族というか、会社のお金でゴルフをする人が多かった。もう50年前とかですか。
大北:あ~そっか、私たちは大人だけどゴルフ行ってないなと思いますけど、あれ会社のお金だったんだ。
浅妻:1回回ると3万円4万円するんで自分の金だとなかなかサラリーマン無理じゃないですか。会社がどんどん伸びてる時代なんで、接待でお客さん連れてく形で発展しちゃったんで日本では高いイメージ。
アメリカとかはそういうコースもあるけど、基本的にカジュアルで家族で行ったり。スポーツというよりゲームとして楽しんでますね。日本はどっちかっていうと、社交の場みたいな感覚。
安藤:接待ゴルフっていう文化は今でもあるんですか。
浅妻:多少ありますよ。昔ほど派手じゃないですけど。
大北:業界としてはお金持ちのスポーツとして押してるんですか?
浅妻:メーカーとしてはいろんな人にプレーしてもらいたいのでカジュアルでもやっていきたいっていうのはあります。ちょっと乙にすましたのがゴルフというスタイルもあるので様々ですね。だいぶ変わってきてますけど。
メカっぽいのはスポーツ性を求めた結果
大北:こういうメカっぽいものって、カジュアルな部分に入るんですか?
浅妻:こういう性能を自分でチューンできるようなやつは、高級品には少ないかもしれないですね。ゲーム性というよりはスポーツ性を求めるというか、うまくなりたい人が使うのが多いかもしれません。社交とか健康のためにやってる方はシンプルなものが好まれたり。まあ人の好みなんで一概には言えないですけど。
大北:カジュアルにどんどんやっていこーってことで高級品のシンプルなものではなく普及帯のメカニカルデザインが流行ってるっていうのはありますか?
浅妻:カジュアルを訴えたくてメカニカルっていうことはないですね。一概に言えませんがつるんとしてた方が比較的楽に作れるので。どっちかというと逆、専門的に取り組みたいとか、自分の球を操りたいとかいう人の要求を叶えてくるとなると、機能をビジブルに 見せてあげた方がいい。あ、もしかしたら俺いつも右にしか行かないけど、ウエイトを前後させることで、もっとこっちに行くかなとか、イメージしやすくなるんで。
パーツをカスタマイズする流れがある
大北:これってウェイトなんですね。
浅妻:ウェイトでこれも取り外しができるんですけど、こっちが重いこっちが軽いとできたら弾道は変わってくるんですね。六角のこれはバッチなんですよ。
大北:例えば、ここの線とかは飾りですか?
浅妻:飾りって考えていいです。
大北:飾りなんだ!
浅妻:この溝はたわませるための少しだけ技術っていうか、テクニカルなところもありますけど、基本的に他のラインはもうデザインですね。
大北:こういうこれも装飾ですよ。これ。
浅妻:転写、平たくいうととれないシールを貼るみたいな。ここはもう完全にデザインなんで見かけの問題ですよね。
10年ちょい前からカスタマイズがスタンダードに
浅妻:これとか元々はこういうシャフト(棒部分)とヘッド(ふくらんだ部分)って接着して一体化してたんですけど、付け替えられるようになったんですね。
自分の好きなシャフトを選んで、フェースの角度を変えて自分の好みの弾道を打てるようにする。今、右にしかいかないから微調整したりっていう機能が付き出したのが12、3年前ですかね。ゴルフメーカーではもうスタンダードになりましたね。実際ほとんどの方が最初に買った時の調整のままなんですけど。上級者の方はその日の感じでちょっと変えたりして。
メカメカしいのは裏だけ
浅妻:でもゴルフクラブを構えたときはメカメカしい部分はそんなに見えないんですけどね。
安藤:上から見てメカメカしてるのはあんまりないんだ。
大北:ほんとだ、なんか面白い世界ですね。裏側をこる、みたいな。
浅妻:お店でも装飾がある側を見せて売ってますし、例えば、プロの写真もこってる側を見せて撮る。シンプルな側は見せても面白くないじゃないですか。 タイガーウッズが使えばみんなタイガー・ウッズの気分になりたいので流行る。そういうのもありますね。
大北:プロがメカっぽいのを使っておれもメカっぽいの使うぞと。
安藤:野球のバットやテニスのラケットってそんなメカメカしくないじゃないですか。
浅妻:そうですね。ゴルフクラブは小さいんですけど、この中でいろんなことができちゃうんですね。
ゴルフクラブ全般がメカメカしい
大北:ウッド以外もメカメかしくなってるんですかね?
浅妻:アイアンもメカメカしいんじゃないですかね。こういう感じなので。
大北:エンジン積んでそう。
安藤:かっこいいですね。機能性なんですか。
浅妻:ここはバッチなのでデザインで、スリットが中にぐっと入ってるのは機能面。アイアンでも反発を上げたり、球を上げやすくしてあげたりとか、今は色んなことをしていますね。
大北:遠く飛ばすよりも球を上げやすくする。
浅妻:最後はグリーンがあっては、ボールを止めないといけない。球を高く上げたほうが止まりやすいですよね。
大北:ああ~そういうことか。ファミコンのゴルフやってるときに全部ドライバーでいいじゃんって思ってましたが、高い方が前に転がらないか。
上手くない人のために機能がもりだくさん
浅妻:上手い人にとってはアイアンはこういうシンプルなもので十分。でも初心者か打つとちょっとでも芯からずれると球が全然上がらなかったり。
安藤:そんなに微妙なものなんですか。
大北:変わったデザインの方が打ちやすい何かがあるんだ
浅妻:そうなんですよ、まず厚さ違いますよね。薄い方が難しいですけど、これだと例えば手前にボールが来ちゃっても、ずずっと滑っていくので球に当たりやすい。これもスリットを入れることで、スイートスポットを広げてるので多少ずれてもそこそこ球が上がったりする。シンプルなのはもう何もないので、芯がほんと1か所しかない、みたいな。
浅妻:コントロールするクラブなので打てる人はもうシンプルで小さい方がいいですね。 タイガー・ウッズなんかは、アイアンなんか小さければ小さい方がいいって昔は言ってましたからね、とんでもない話ですが。
安藤:上手い人には邪魔だけど、大きい方が打ちやすい。
男の子のおもちゃ的世界がある
安藤:なんかベイブレードみたいな世界ですね。ベーゴマが進化して組み合わせて遊べるようになったやつ。
浅妻:大きな意味ではそうかもしれないですよね。
大北:レギュレーションを超えたクラブがあるとかも、ミニ四駆の違法改造みたいな話ですし。男の子のおもちゃ要素ありますね。
浅妻:クラブも自分で改造はできないのでウェイトなんかも、まさにそれで、自分に一番合うようにカスタマイズするというのは今の流れ。
大北:カスタマイズするということに関してはいつ頃から?
浅妻:特にこの10年ぐらいですかね。最初の頃とかね、自分のスイングが上手くなってはじめてクラブのカスタマイズという段階になっていくんですけど、技術ってなかなか向上しないので。一般の人も最初からクラブを自分で合わせましょうという時代になった。この店のように試打をする機会が増えて、調整して、フィッティングをしてお店の人と相談しながらデータ測って販売するような形も増えてますね。
カスタマイズを見せることでメカニカル化
大北:そのカスタム化の流れがメカニカルデザインに結びつく。
浅妻:それはありますね。ウェイトを変えるのは元々プロ用のフィッティングさせるためのサンプルでやってたんですけど、それを製品にした。一般の人も自分にあったものを使ったほうが楽しく回れますよ、ということですね。
実際使わない人もいるかもしれないですけど、何十万円も出したのにその機能がないと寂しいですよね。所有感という観点からもあった方がいい。
安藤:その気持ちはわかるなあ。
大北:せっかく車買うならサンルーフもついておいてほしいみたいなことかなあ。
大北:パターは地味ですかね?
浅妻:パターもね、たまたまうちのやつはド派手にしないですかね。これとかはウエイトなんで。ブレを減らす。このフェースの素材が打感が柔らかいというかフィーリングが良くなったり。
大北:やっぱりいろんな理屈があるんですね~。ゴルフクラブは理屈山盛りになってるんだな~。
ゴルフクラブにはメンズとレディースがある
安藤:レディースの道具もメカっぽいんですか?
浅妻:……そうでもないですかね。レディースのモデルとなるとこういう感じなんで。
大北:比較的スッとしてる。
浅妻:上手い人になると、男性用っていうモデルを使い出すので。
安藤:Xって入ってないもんね、かわいいというか。
浅妻:色とか基本的には同じなんですけど。
安藤:優しい、アメ車っぽくない。
大北:バッチが丸くなりましたね。
浅妻:ラインが男性は直線的なのとか多いんですけど、曲線にしていたり丸めにしたり。
大北:昆虫のオスとメス見てるみたいだ、おもしろい…
浅妻:女性専用で設計してるっていうメーカーも意外と少なくて、メーカーによってはメンズをそのままレディースの色にするだけみたいな。パワーも嗜好も違うので、うちは女性専用に機能も含めて設計してます。
大北:ほんとだ。この訴えかける感じもちょっと違いますね。おもしろいなあ。
浅妻:根本の機能は一緒なんですけどね。
メカっぽさはアメリカから来た流れ
安藤:どこが作ってるんですか?
浅妻:特にウッドと言われてるのは世界中の9割以上が中国です。
大北:デザインは?
浅妻:デザインはアメリカ、日本。
安藤:こういうメカニカルな流れはもう世界的なもんなんですか。
浅妻:そうですね。やっぱり世界的な流れがあって。
大北:アメリカの方がよりメカメカしいんですかね?
浅妻:アメリカのゴルフクラブの方がよりメカメカしいです。アメ車っていかついイメージですよね。対してヨーロッパ車はシンプル。あの違いが顕著に出ていて、日本のメーカーはどっちかっていうと、ヨーロッパ寄りのデザインに寄る感じもありますけど。今主流がアメリカのプロが使ってるアメリカ製なので、ガタガタとした「男の子はメカニカルが好き」みたいなところと近い流れがあったりしますね。
大北:売れ行きでわかりますか? デザインでこっちの方がいいなと。
浅妻:かっこいいから売れたとはなかなか言いにくいんですけど、色んな要素の中ではやっぱり出てくるので。
日本はゴルフ大国だそう
大北:じゃあこのメカニカルさはアメリカから来た流れである?
浅妻:そうですね、そうでもないとこもありますが。最初はアメリカ人の発明力。スマホにしてももそういうのがありますよね。そういうことを考えるアメリカ人はすごいし、一方アレンジ力は日本人強いですし。日本で生まれたようなものもちょっとずつ世界には 広まったりしていますけどね。
大北:ダンロップさんの製品は世界でも売ってるんですか。
浅妻:はい、今世界中で売ってます。
大北:ヨーロッパの製品ってのはあるんですか?
浅妻:ヨーロッパのゴルフメーカーを見ることはないですかね。世界中、ヨーロッパにもプレイヤーは当然います。でも、ゴルフの市場は、アメリカが1番で2番が日本なんですよ。3位が韓国。で、韓国と同じぐらいの市場がヨーロッパ全体なんですね。
大北:えー!
安藤:日本韓国ってゴルフ強いんですね。
浅妻:アメリカと日本でほとんど占めるんですが。韓国って英才教育の国なのでスポーツにおいても日本の部活みたいなものがあまり盛んではないんですよ。高校生でスポーツやってる人は「プロになるんですか?」みたいな世界。なので強い人が出てくるんでしょうね。
世の中の流れ全体からメカメカしさが
大北:プロダクトデザインやってる人に聞いたら、たとえば工具とか他の業界もこのメカニカルカは顕著で「この線いるの?」っていうのが結構増えてるそうです。
浅妻:デザイン全体の流れだと思います。しかもデザインって繰り返すんでこの後にシンプルがまたやってくるんですよね。
大北:あ、そうなんですか!
浅妻:車のデザインもそうですけど、カクカクしたのから丸くなって、今はまたちょっとカクっと入ってますよね。
安藤:プリウスとかそうかもしれない
浅妻:わかりやすいですよね。今は昆虫みたいな、全体のフォルムは流線型だけど部分的には結構カクカクしてたり。その全体の流れがあります。クラブのデザインから世の中のデザインが変わるってことは、そうそうないんですけど、車だとか家だとか大きいデザインから影響を受けるというのはありますよね。
普及してくるとメカニカルに寄っていって、でも一部の人しか使わない機能は要らないということでシンプルになったりとか、これからシンプルに振り直す可能性がありますね、
大北:ゴルフクラブ界隈ならではのデザイン的なゆりもどしもあるってことですね。
私たちはどうやってゴルフを始めるのだろうか
大北:なんか新しいギアを買うと、まっすぐ飛んで気持ちいいっていう知見がありましたねえ…
浅妻:全部まっすぐにいくわけではないですが、コツをつかむのは多分昔より分かりやすい。
安藤:初心者がこんな最新のもの使いやがってみたいに思われたりしますかね。
浅妻:そういう風に思うおじさんたちもいるでしょうね。人間がまるまる出るんですよね、ゴルフって。でも汚いクラブでやるよりは見ていてもなんか気持ちいいですよね。昔はお古を使って中古を使ってっていうステップがありましたけど、もうそういう時代ではなくて。
大北:どういう流れで入っていく人が多いんですか。
浅妻:会社の上司からって流れは減ってるんで、今は友達や先輩が始めてたりとか多いですよね。
大北:一人でやってみる時ってお店で相談して買って、そのままゴルフクラブに行くわけですか。
浅妻:最初はゴルフクラブではなく練習場に行くんじゃないですかね。
大北:ああ、練習場ってありますね。
浅妻:練習場なんていうのがあるスポーツはゴルフだけじゃないですかね。練習だけで楽しめる人もいっぱいいますからね。昔は練習場1年、2年頑張んなきゃダメだみたいな世界ありましたけど。最初コースに行くとドキドキしちゃうんですよね。とにかく一生懸命やろう、完走しようで十分ですね。その姿勢は後ろの組の人も見てくればわかるんで
大北:いきなりコース行ったりあんまなめない方がいいんですね。
浅妻:上手い人でも、下手な人でも、ゴルフなめた瞬間に叩くんですよ。
大北:叩くっていうのはミスをしてスコアが悪くなるってことですね。
浅妻:そうです。ナイスショットをしたいがためにギアを買うんだけど、実際にやるべきことはミスを最小限にしていくことなんですね。ミスを最小限にしていかないと良いショットなんて出ないですから。でも良いショットを夢見てギアを買って練習するんですよ。この矛盾が永遠のテーマで。だからみんなやめらんないんですよね~、ミスしたら悔しくて。
大北:楽しそうだな~(笑)
浅妻:もう二度とゴルフやらないってみんな三千回くらい思ったりしてるんですよ。
大北:変わった世界ですよね。すごい落ち込むって面白い
浅妻:夢見て朝起きて期待していって絶望に変わる、そして反省する。「もう来なきゃよかった」って言うくらい。でも中毒性があるんです。ゴルフとサーフィンって人生ダメにするスポーツワンツーじゃないですか。
大北:安藤さんたしかサーフィンを…
安藤:……
技術的進化が著しい業界
YouTubeでプロゴルファーが40年前のクラブでコースを回る動画があった。まっすぐ行かない、なんでこんなに右に行くのか、と不思議がっていた。どうやらゴルフというのは道具の進化が著しいようだ。
その進化をもたらしたのはiPhoneのようにアメリカのイノベーションであり、アレンジ上手な日本ではカスタマイズ化があったりそれら盛りだくさんの機能を見せていくのにゴルフクラブはさらにメカニカル化する。ましてやプロダクトデザイン全体がメカっぽくなっているそうである。
こうしてゾイドみたいなゴルフクラブが出来上がったのである。
ライターからのお知らせ
明日のアーvol.8
本人コント公演『カニカマの自己喪失』
「本物とニセモノの間に見世物がある」
********************************************
【作・演出】大北栄人
【出演】
藤原浩一、八木光太郎、花池洋輝(左右)、桑原美穂(左右)、よシまるシン、7A、濱野ゆき子、高木珠里、岡部ひろき
【日程】2022年8月5日(金)~7日(日) 全6回公演
8月5日(金) 19:00★
8月6日(土) 12:30★ 15:30 19:00
8月7日(日) 13:00 17:00
【会場】吉祥寺シアター
(〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目33-22)
劇場TEL: 0422-22-0911 (9:00-22:00)
▷JR中央線・京王井の頭線「吉祥寺駅」北口から徒歩5分
※駐車場はございません。(自転車専用の駐輪場あり)
【チケット料金(整理番号付き全席自由・税込)】
[前売券]
一般/3,800円
U25/2,500円
高校生以下/1,000円
ペア券/7,000円*1
アルテ友の会会員・武蔵野市民(在勤・在学可)3,300円*2
*1 前売のみ、ローソンチケットで取扱い
*2 前売のみ、・武蔵野文化事業団で取扱い
[当日券]
各種500円増し
********************************************
【チケット取扱い】
ローソンチケット https://l-tike.com/asunoah
********************************************