特集 2020年1月27日

誰でも簡単にペンが回せてミサイルも撃てる中華ペン

どんなに不器用な人でも簡単に回せるペン、ゲットしました。

以前、ペン回し世界チャンピオンへのインタビュー記事というのを書かせてもらった。

その取材時にとんでもない超級テクニックの数々を目の当たりにしたこともあって、それ以来ペン回しにあこがれを抱いているんだけど…ただ、何度練習してもうまくペンが回せないのである。

とはいえ、僕も文房具の専門家としての意地がある。ペンも回せないようで文房具ライターが名乗れるはずもないのだ。

そこで、どんなに不器用でも簡単にブン回せるペンというのを試してみることにした。

1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

中国では玩具もアニメもペン回しがアツい

そんな夢のようなペンがあるのか?と問われれば、ちゃんと手元に存在する。

実は、以前に知人から「中国製の、誰でもペン回しができるペン」というのを譲ってもらったのを思い出したのだ。そう、これこれ。

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それを持てば誰でもペンが回せるという、ガンダーラのような玩具『転戦之超旋斗士』

こちらは、中国のペン回し用玩具『転戦之超旋斗士』セットである。

ペン回し世界チャンプのKayさんも言っていたが、いま、ペン回しの世界は中国がど真ん中。競技人口数も、ペン回し関連商品の数も、中国が圧倒的ナンバーワンという。

この『転戦之超旋斗士』も中国の玩具/文房具メーカー、智高(zhigao)の製品なんだけど、なんと2018年にはこの玩具が戦うペン回しアニメも制作・放映されていて、ものすごい人気だったらしい。日本で言えば「ベイブレード」みたいな感じだろうな。

ちなみにチャンプKayさんが愛用しているペンも智高のものだそうで、なるほど、そう聞くと、これもすっごいブンブン回せそうな気がしてきた。

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外箱を開けるとこんな感じ。メインはどうみてもペンじゃなくてロボだな。

日本人の感覚で言えば「変形ロボ」玩具のパッケージぐらいのサイズの箱を開けると…変形ロボっぽいものが中心にドーンと入っている。うん、外箱のイメージ通りで安心した。

ドラゴンっぽい見た目のロボと、長い棒(これがたぶんペン。ただし筆記機能はないバトン的なもの)、あとはなんか円盤みたいなのと、馬っぽいミニフィギュアが2つ。内容はこんな感じである。

中身は外箱通りで安心したけど、ところでこれ、誰でもペンが回せる的な要素が見当たらないぞ。

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中に入ってたものフルセット。まだどうペンを回すのか見えてこない。

…と焦るのはまだ早い。ペン以外に用途不明なものがいっぱい入ってるじゃないか。これをひとつひとつ確認していけば、いつかは確実にペン回しにたどり着くはずだ。こういう未知の文化に触れるときは、丁寧に進めるのが鉄則なのだ。

「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」という格言もある。まずは馬(っぽいフィギュア)からだ。

説明書を読みながら脚の部分をいじってると、こういうフォルムになった。

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さっきまで馬だったやつ。もうこの時点でどうなるか、なんとなく見えてきた。
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これをペン先端の透明な筒にガチャッと押し込む。

ほうほう。で、これをペン回し用(と予想される)ペンの先端に押し込む。

続いては、円盤に付属の輪ゴムを巻き付けて、立てるようにセットする。

あとは、そこめがけてペンの先端にあるボタンを押す。

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発射すると思ったよね。

なるほど。

今のところ、作業しながら「たぶんこうなるだろうな」という予想を確実にトレースしている状態である。ズレがなさすぎて気持ちいいぐらい。あと、馬ミサイルに当たった円盤ターゲットが、輪ゴムの反動でパーンと吹っ飛ぶのも爽快だ。

ただ、まだペンは回ってない。ミサイルが出ただけだ。

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いよいよ回るぞ、ペン

お待たせして申し訳ない。いよいよこれからペンが回ります。

説明書によれば、ペンを回すためにはロボの胴体から頭をもぎ取れ、とある。もいだら、次はその口(わに口クリップみたいになってる)にペンを咥えさせろ、とのこと。

このとき、できるだけちゃんとペンの中心を咥えさせるのがポイントのようだ。

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ゴリッと引っ張ると、わりと簡単に取れるロボの首。
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そしたら、ペンを口にはみさこむ。
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これで準備完了。お待たせしました、ペンがすごい勢いで回ります。

そしたら、ロボの首に当たるくびれたパーツを人差し指と中指で挟むようにして握りこむ。これで準備完了のようだ。では、華麗に回転するペン回しの美技をご覧いただこう。

まぁ、途中から「そうなるんじゃないかな」と思っていたし、ここまで読んでくれた皆さんもそうだと思う。なので、これも予想通りということでオーライにしておかないか。「期待していたペン回しとは違う」と言われても、とにかくしっかり回ったんだから良かったね、でいいじゃないか。

確かに回転方法はいわゆるペン回し的なものではなかったが、あれはしっかりと練習を積んでこそ可能となる技術の粋だ。それが誰でも玩具ひとつで達成できるなら苦労は無いわけで、ノー練習・ノー才能ならこれぐらいで充分じゃね?という話かもしれない。

これを買っちゃった自分を慰めるために書いてるので、同意は不要だ。

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ペンを回してアプリで攻撃だ!

なんとなくしょんぼりしちゃったけど、説明書を改めて見ていくと、どうやらこれ、スマホアプリ連携機能があるらしい。ペン回しでスマホをどうするというのだ。

こんな機能はさすがに予想外なので、おっかなびっくりアプリをダウンロードして、そこからロボの首の裏に貼ってあるQRコードを読み込む。

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ここが各ロボ(このドラゴン入れて6種類ぐらいいる)の固有QRコード。これをアプリから読み込む。

すると、いま手元にある2.5頭身のドラゴン風ミニロボが、10頭身ぐらいのやたらダークな雰囲気になって画面に現れた。

ちょっとこれ美化しすぎではないかという気もしたけど、調べてみたら、アニメの方でもバトル中はミニロボの頭身が伸びてかっこよくなる設定らしい。

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画面の中で10頭身ロボがバサバサ羽ばたいたり、クルッと回ったりしてる。

で、このアプリでは敵ロボと対戦できるんだけど、そのバトルの方法というのが、スマホの前で実際にペンを回し、その回転を検知して(ペン内部のマグネットをスマホの磁気センサーで読み取るっぽい)攻撃を行うというもの。

おお、そのスマホ連携は完全に予想外だし、めっちゃ楽しそう。よし、バトルだ!

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ペン30回転につき1回ぐらい、なんか攻撃らしきものをする感じ。その間にも敵は延々と攻撃してくるし、たまに必殺技まで出すしで勝負にならない。

駄目だった。

どこが原因かは不明だが、ペン回しの回転を読み取ってる気配がやたら薄い。

こちらがペンを必死に回しても、自ロボは戦闘中はほぼ棒立ち。スマホとの角度や位置を変えたり回転数を調整したりとあれこれやってみたが、思ったようにバトルはしてくれなかった。

ただ、ごくたまーに攻撃モーションらしきものを発動するので、まったく回転を検知してないわけじゃないっぽいが、とにかく検知成功の条件が分からないのだ。

もし『転戦之超旋斗士』の玩具に詳しい人がいたら、教えてください。

分かるまでは、ただボーッと回し続けてますので。

 

なんか結果的に、思ってたペン回しじゃないしアプリ連携も不発だし、というモヤッとした流れになってしまった。ミサイルは出たけど。

このままモヤモヤしたままではなんなので、スカッとする動画へのリンクをつけておきます。ペン回し世界チャンプ記事のときに見せてもらった日本最高峰のペン回し動画「JapEn」の最新版で、2019年末に公開された「JapEn 15th」が鳥肌立つぐらいにカッコイイので、ぜひご覧ください。

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