過剰さの中にも節度を持ちたい
冷凍して、半解凍して食べる。
(完全に解凍されるとフルーツの水分が出てべちゃっとしてしまうため)
それを3~4日繰返して、美味しく食べきることができた。
もう当分いいかな、となることもなく、毎日フルーツサンドのある生活を送りたいと思っている今日この頃である。
ここからが一番あがる作業である。
フルーツを思う存分積み上げていくのだ。
この作業、ちょっと建築っぽくて楽しいのだ。
海外のDIY動画とかで、レンガと粘土を積み上げて家とか作っちゃう、ああいう楽しさにすこし近い気がする。
また、上から切ることを考えて断面を想像しながら作るのも楽しい。
思った通りの断面になるか、ならないか…ドキドキしながら作るところに、工作的な楽しさがある。
パンの大きな穴の中にフルーツと生クリームがどんどん収まっていく姿は、なんとも言えない多幸感がある。
カラフルな宝箱なのだ。
これがやりたくてイギリス食パンを買ったのだ。
星の王子さまに『砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているから』という一節があるが、いまは『パンが美味しそうなのは、どこかにフルーツを隠しているから』と言いたい。
断面をきれいに作るには、ここでいったん冷蔵庫で休ませる必要があるらしい。
はやく食べたいけど、作るのに時間がかかった分、生クリームがゆるんできているのだ。
こうして、実制作時間1時間半、やっとフルーツサンドをたらふく食べられる時間がやってきた。
思った以上にスッと刃が入る。奇跡的に果物の隙間を抜けていなければよいけれど…
バランスやちょうどよさとは無縁の全部盛り。これぞ一度は食べたかったまるごとフルーツサンドだ。
ひとつひとつ、味わう暇もないくらいに飛び込んでくるフルーツたち。
口の中で次々と果汁が爆発していくのだ。
みずみずしさとクリームのコクが脳天に直接響いてくる。
美味しい。
洋菓子の洒落た面をとっぱらった、美味しさの根っこがここにある気がする。
フルーツサンドって本来はペロリといけちゃうものだ。柔らかい食感のまま、フルーツの香りを残して気づいたら雲のようになくなってしまうのだ。
しかしこのまるごとフルーツサンドはどうだろうか。
いつまでも手にかかる重量感。
どれだけ食べてもなくならないという安心感。
体験したかったのは、この終わりなき三つ巴の狂宴である。
ああ、生きてるって感じがする。
夢はかなった。
今日はもういいです、と自信をもって言えるくらい、果物と乳脂肪と炭水化物を堪能できた。
夢中になって食べたからか、終わってみるとあっという間だった。
経験としては一瞬だったのだ。
そして我にかえると半分以上のこるまるごとフルーツサンド。
記事的には大食いした方が見映えするのだけど……美味しく食べるために切って冷凍した。
ちなみに、この日はこれが夕食だったのだが、いつも以上にずっしりと残る満腹感とともに就寝したのだった。(あと、乳脂肪の匂いがどこかにずっとつきまとっていた)
冷凍して、半解凍して食べる。
(完全に解凍されるとフルーツの水分が出てべちゃっとしてしまうため)
それを3~4日繰返して、美味しく食べきることができた。
もう当分いいかな、となることもなく、毎日フルーツサンドのある生活を送りたいと思っている今日この頃である。
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