特集 2022年10月19日

僕は、見頃が終わった曼珠沙華まつりを見たことがある

満開の曼珠沙華(彼岸花)。本来は広い公園の随所で赤い絨毯が見られる。(撮影:日比明美)

埼玉県の日高市に巾着田という場所があり、そこは秋になると曼珠沙華(彼岸花、リコリス)が満開になることで有名です。いま、時はまさに10月。きっと曼珠沙華が咲き乱れているはずと思い込んで出かけてみたところ、なんか思ったのと違った光景が広がっていました。

その顛末。

あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

前の記事:川越の東京、東京の川越(デジタルリマスター)

> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内

巾着田はこんな形

巾着田は周囲をぐるっと川に囲まれた形をしていて、上から見た形はまさに巾着。かつては田んぼが広がっていたそうですが、現在は日高市管理の公園として整備されています。最寄り駅は西武池袋線の高麗駅(こまえき)となります。

この巾着田、秋になるととてもたくさんの曼珠沙華が咲くことで有名で、満開の時期には巾着田曼珠沙華まつりが開催されます。まずは、僕が出かける少し前に友人が撮ってきた写真を御覧ください。

現実の光景とは思えないくらい真っ赤ですね。(撮影:日比明美)

これは、本当にすごいですね。こんなに彼岸花が群生する場所ってなかなか無いのでは。

いっぺん死んでみるとこういう景色を見られるのかも?あの世?(撮影:日比明美)

赤と緑は補色(色相環で反対の色)の関係にあるので、森の緑と花の赤が映えます。すごい。

彼岸花の形がまた雅で良いですね。(撮影:日比明美)

中には白い彼岸花なんてのもあるんですね。これは是非見たい。 

友人の写真を見て、僕も実際に見たくなってきました。(撮影:日比明美)

巾着田の曼珠沙華まつりは、台風やコロナ禍の影響で中止が続き今年は3年ぶりの開催となりました。

中止している間は、人が来ないようにわざわざ花を刈り取っていたそうな。今年は待望の開催だったわけです。

いざ高麗へ

10月初旬のある晴れた日、僕は紆余曲折を経て16kmくらい歩いたすえに巾着田に着きました。紆余曲折は後で書くとして、まずは高麗駅スタート。

駅前にいきなり謎のトーテムポール。

高麗と書いて「こま」と読みます。どことなく朝鮮半島っぽい雰囲気がありますがその通り。1300年前、朝鮮半島で高句麗(こうくり)、新羅(しらぎ)、百済(くだら)が争っていた三国時代に負けた高句麗の人たちが渡来人としてこの辺に移り住んだのがルーツなのだそうです。歴史の授業で習いましたね。

駅前のトーテムポールは「チャングンピョ(将軍標)」というもので魔除けの意味があるのだそうな。

駅から巾着田までは徒歩で10分ほど。

案内に従って歩いて行きます。

途中には史跡があって説明の看板も立っています。下の写真は干ばつや水害に悩まされた人たちが建立した水天の碑。今も昔も人は自然災害に悩まれてきたんですな。

特に水運が盛んだった頃は川が荒れると困ったのだそう。

道端にはコスモスが咲いていて、すっかり秋の雰囲気。

巾着田でもコスモスが咲いているようなので、種が運ばれてきたのかな。

コスモスの近くで、別の花が終わって枯れていました。咲く花あれば、散る花あり。なんの花か分からないけど。

なんですかね?これ。

同じ様に終わった花の茎だけがけっこう生えていました。

茎だけまっすぐ立ってるこの感じ、見たことないですね。

巾着田に到着だ

そうこうしてるうちに巾着田に着きました。案内板を見ると、地図の赤い部分が曼珠沙華の群生地のようです。高まる期待。

この日は平日、きっと休日は曼珠沙華まつりを見に来た人で混んでいるのでしょう。

それにしても、この枯れた花の残骸の多いことよ。ずいぶん密集して咲いていたんですね。なんでしょうね。 

まだ気づかない。

群生地に向かって巾着田の道を進んでいくと1枚の看板が見えてきました。ん?なになに?

なんの看板ですかね。

ふむふむ。

ほほう。

 へー。

あらー。

おやおやおや。

あらまぁ。

ほぉー、こうなるのかー。 

なるほどねー。

そうかー。 いちめん緑になるのかー。

9月で終わってたんだなぁ、リコリス。

……………。 

あああああああああああ。

リコリス(曼珠沙華)終わってた

そう、正体不明の終わった花は僕が満開と信じて見に来た曼珠沙華で、すっかり終わっていたのでした。

道中で見た終わったアレら、ぜんぶ曼珠沙華!いやー、参った。こんなキッパリきれいに終わるものなんですね!!「見頃が終わった」って看板、今思えばとても親切!早めに希望を刈り取ってくれて親切!

はぁ…。

それでも、園内をよく探したら少しだけ咲いてるのを見つけました。

尊い…。赤い宝石のようだ。

 む、むしろ、満開よりもこうして数輪がたくましく咲いている方が生命の尊さを感じることが出来るかも?

健気!がんばれ!がんばれ!

花を応援したのは初めてかもしれません。頑張れ!俺も頑張れ!

初めての感情を知ってしまった。

見比べて分かる、圧倒的な敗北

強がってみたところで、満開のときの圧倒的赤さと比べると敗北は一目瞭然。次回こそは、満開の時期に見に来たいと思います。

コロナが終息して、曼珠沙華まつりが開催されたときの話だけどね。

はい、きれー!!!(撮影:日比明美)
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紆余曲折の16km

結局満開の曼珠沙華は見られなかったので、そこに至るまでのトホホな16kmについても少しだけ書きます。ある日、地図を見ていたら青梅(東京の西の方にある街)のすぐ北に飯能(埼玉の西の方にある街)があることに気が付きました。ハイキングコースで繋がっているっぽい。

ふむ、歩けそうだな?

東青梅駅を出発して飯能の方へ歩き、途中にある塩船観音寺なども見ながら霞丘陵という丘を歩くのも楽しそうだなと思って出かけたんです。

初めて降りた、東青梅駅。いつもは青梅駅の先の奥多摩方面に登山で行くことが多い。

途中にある吹上しょうぶ公園にも寄ってみたけど、当然しょうぶの季節ではないのでなんにも咲いてませんでした。

シーズンオフの吹上しょうぶ公園。誰もいない。

塩船観音寺では茅葺きのお堂などが見られて、ここは良いお寺でした。 

苔むした屋根が素晴らしい。

本堂の屋根も茅葺きで、とても趣があります。 

良い!と言いながら写真を撮っていた。
塩船観音寺という名前の通り、奥には観音様。

塩船観音寺は春にツツジが咲くそうですが、こちらも季節外れで咲いてませんでした。ツツジと言ったら5月とか6月ですからね。 

今回は、とことん花に縁がない。

立派な観音様でした。登山の安全を祈願。

観音様の先がハイキングコースになっていますが、広くて歩きやすい道が続いていました。 

すっげー歩きやすいためか、おじいちゃんやおばあちゃんが散歩してました。

霞丘陵を歩いていると、首がありました。

は? 

なにあれ?首?と思った。

首でした。首?なんで? 

説明もなんもなく、なぜここに首なのかは不明。

七国山の先で県境を越えて埼玉に入りました。 

となりのトトロに七国山病院って出てくるけど関係あるんですかね?

飯能にはムーミンのトーベ・ヤンソンにちなんだ公園があるって、いつだったかのアド街でやっていたので行くことにしました。 

飯能方面の街並み。青梅から飯能って本当に歩いて行けるんだなぁ。

山道が終わって、少しだけ舗装路を歩いたら「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」に着きました。わくわく。

案内板を見てたとこがピーク。

休園日でした。

マジカヨ。

からの、西武線に乗って移動して、終わった曼珠沙華まつり。

あー。

こんな日もありますね、たまには。


下調べなんてしない!

こんな日もあるっていうか、少し下調べをすれば全部回避できたような気もするガッカリではありますが、いいんですよ、オンサイト(現場処理)で適当にやってみるのも楽しいものです。

僕らは事前に楽しい場所やおいしいお店を調べ尽くしてしまうことが多々あります。調べた情報を確かめに行くような、そんなレジャー。それはそれで否定はしないけど、分からない状態で突っ込むのも楽しいんじゃないでしょうか。

レビューサイトを捨て、街に出よう。

飯能の道端に生えていた、火の鳥宇宙編に出てきそうなデカいアロエ。

 

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