頭が悪い
マンガの、擬音だけを音読するのだ。こんな感じである。
動画もある。
大変気持ちがいい。脳が溶けて、霧となって空気中に漂っているようであった。もし手間をかけずに自分のIQを下げたいと思っている方がいたら是非この方法をお勧めしたい。
マンガの読み方が分からない人みたいだ、とも言っていた。表現は違うがだいたい同じ意味だ。
21作品を読み比べた
こんな感じで歴代発行部数ランキングのベスト20を読み比べた。メジャーなマンガ、どの擬音を音読すると楽しいかが分かれば、他のマンガを考えるときにも応用がきくだろう。
20位が2つあるので、全部で21作品になった。なるほどなあ、というランキングである。読んだことがなくても何となく知っているマンガばかりだ。
この21作品を古本屋さんでザッと見て、擬音を読んで楽しそうなシーンを選んで買った。作品中の盛り上がるシーンとは違うかもしれないが、擬音の音読とはそういうものなのだ。
詳しい筋を知らないマンガもたくさんあったのだが、読んでみてもストーリーは頭に入ってこなかった。擬音しか読んでないからだ。
この日、読みきれなくて家でもよんだ。
全部読んでみて分かったことがある。日本のメジャーなマンガには「擬音の音読」という側面で4つのジャンルがある。発表します。
読むところが多いマンガ
単純に、読むところが多いマンガは楽しい。音読した時に最もIQが下がるタイプのマンガである。
いわゆるバトルマンガというものの山場に多い。もう言葉もなく主人公と強敵がひたすら戦う。
1コマの中で「ギュン!!」「ビュッ!!」「ドゴォン!!」と音がしているコマがあった。全部に「!!」が付いているのもいい。読み応えがある。
黙読していた時は気がつかなかったが、いろんな擬音が一箇所にかたまっていると「うひょー」と思う。短いスパンでたくさん音読できるのが楽しいのだ。
これは何の音なのか藤原さんと話したのだが、地鳴りにも主人公の心音にも思える。具体的に「ドドドド」という音のする物体があるシーンではないのだ。音読する者の好きな解釈で「ドドドド」と言っていいだろう。自由演技のシーンだ。僕は低い音で戦いのBGMが鳴っているような気持ちで音読した。
「ドォヒヤ」「グワッシィィーン」など、熱のこもりすぎた擬音を言えるのもいい。
あと多かったのがスポーツマンガである。試合中の歓声を表現するためにページ全体に同じ擬音が散りばめられていたりする。
以上が読むところが多いマンガの見所である。ストーリーを見てもクライマックスである場合が多いので、読む声にも熱が入る。とにかく楽しい。音読の醍醐味を感じられるマンガだと思った。
「ワー」がいっぱいあると紹介したタッチだが、試合のシーン以外の登場人物の心理描写が多く、結局擬音は少なかったので「△」。一番多くて楽しかったのはONE PIECEだった。発行部数1位のことだけはある。音読が楽しいのでみんな買うのかもしれない。
読むところが少ないマンガ
逆に、上の表で「×」が付いたのが、読むところが少ないマンガである。
ビルが爆破されたりスケボーでバンバン車道を走ったり、というイメージのある名探偵コナンだが、あれは劇場版のシーンで、原作ではそういうことはほとんどないんだそうだ。ジャイアンが映画でだけ優しいのと同じ現象がここでも起きていた。
あと、サザエさんや鉄腕アトムなど、今回の21作品の中でも昔に作られた作品には擬音が少ない。あってもかなり控えめな描かれ方だった。
字体も違う感じがする。きっとどこかに擬音のターニングポイントがあって、現在の形になったのだろう。
「上にスペース空いてますよね」とか言っていた。マンガの神様、手塚治虫先生の作品によくそんなことが言えたなと今になって思う。
そのシーンを読んだ動画。
擬音がないなあないなあと思ってめくっていったら、サザエさんの口から「ホント!」「ワー」と擬音みたいに声が出ているシーンがあった。その当時のマンガならではの表現なのだと思う。これを読むのも楽しかった。
敢えて無音を作るマンガ
明らかに音が鳴っているシーンなのに敢えて擬音を描かず、場面に強弱をつけているマンガがあった。
最後の試合の残り1分というクライマックスのシーンである。両者一歩も引かずシーソーゲームになった場面でいつの間にかマンガから音がなくなる。
ドリブルの「ダム」みたいな音はもう野暮なのだ。一瞬一瞬に集中しきる選手達の高揚感が伝わってくる。
この場合は音読するときもただ無音でいるのではなく、息を飲む音、息を止める音なども表現するべきだと思った。声を出すだけが音読ではないのだ。
こんな感じだ。
ただの熱中して読んでる人になってしまったかもしれないが、最後の「パスッ」で、音読してたんだな、ということが分かる。
擬音が読みにくいマンガ
最後に、擬音が読みにくいマンガである。音読は難しいが、反射神経を試すゲームをしているようでこれはこれで楽しかった。
敵を斬っているかっこいいシーン、勢いのある筆の線がビャビャッと描かれているのだが、よく見てみると「バン」と書いてあったりする。この擬音は、きっと効果線の役割も兼ねていて、この擬音の形が紙面に勢いを与えているのだ。言わば黙読する者のための「バン」である。音読する者はクイズのように楽しめばいい。
あと、発音できない、という意味の読みにくい擬音もあった。
敵が変身する時、ミに点々が付いた擬音が出てきた。ミに点々に続けて「ギギ」という擬音。「ビギギ」のような「ヴィギギ」のような音で読んだ。こういうところをいかに動揺せずスムーズに読むかが大事だと思う。
ONE PIECEは擬音がたくさんあるので音読すると楽しい
こんな感じだが、結局音読していて一番楽しいのは、読むところがたくさんあるONE PIECEだった。頭の悪い結論である。とにかく量が多ければいい。ONE PIECEの擬音にだって、量だけではない、独自の工夫やこだわりがあるとは思うのだが、読む側の頭が悪くなっているので敢えてこう言おう。
ONE PIECEは擬音がたくさんあるので音読すると楽しい。
ウイニングランとして、ONE PIECE 22巻「アラバスタ編」のクライマックスのシーンの擬音を音読して終わろう。