………お米、足らなくないですか?
そんなわけで、ここ数日ずっと幕の内弁当ばかり食べていた。さすがに飽きるかと思ったが、杞憂だった。
ただ、2日連続3食全部食べ続けると、量の多さゆえにおなかがぱんぱんになる。にも関わらず、食べているうちに、おかずより先に米がなくなってしまい、「米が足りない」と焦った。
おかず供給過多である。
なんと贅沢な弁当なのだろう。今までごめん。もっと積極的に食べていきたい。
幕の内弁当を積極的に選んだことのない人生だった。
食べたことは何度もある。だが、その98%が「誰かが買ってくれた幕の内弁当」なのである。
幕の内弁当は、団体向けの弁当として選ばれやすい。おかずの種類が多いからだろう。食べられないものがあったとしても、一切食べられない……という事態になりにくい。安全圏のお弁当といえる。
ただ、それゆえか、無難という印象が先行してしまい、自分から手を伸ばすことがなかった。
今こそ能動的に買い集めてみたい。
そう思ったところで、気がついた。そもそもなぜ「幕の内」なのか、そこからわかってない。ごめん。幕の内弁当。今まで知ろうともしていなかったことを謝りたい。
調べたところ、
・起源は江戸時代といわれている
・由来には諸説あり、「観客が芝居の幕間に食べていたから」「役者や裏方の人たちが幕の内側で食べていたから」などの説が有力
ということがわかった。つまり、芝居文化に密接に関係しているお弁当なのだ。
そしてそもそも、幕の内弁当の定義ってなんなんだろう……という壁にもぶち当たった。想像するに、
・おかずがたくさん入っている
・肉と魚が同居しがち
・主菜が明確じゃない(もしくは2つ以上ある)
・お弁当箱に仕切りがついている
・白米が入っている
……というところだろうか。図にするとこんな感じだ。
で、実際はというと「ごはん」と「数種類のおかず」以外には厳密な定義がないようだ。ごはんは俵型で……という話もあるが、令和の世には、俵型じゃない幕の内弁当も多数あるので、ごはんであればOKとしたい。
そのうえで、自ら「幕の内弁当」と名乗る弁当のみを探し、できるだけたくさん買い集めてみようと思う。
なお、当初「飲食を扱ってるお店なら、どこでも売っているでしょう」くらいの雑な発想だったのだが、そうでもなかった旨、先にお伝えしておきたい。
確実に手に入れるなら、弁当屋に行くのがベストだとわかった。少なくとも、「ほっともっと」「オリジン」「本家かまどや」には幕の内弁当が置いてある。
品目が多い。あたたかい。そしてなんといっても安い。幸せってこんな近くにあったのか……!と空を見上げてしまう勢いだ。
個人経営のお弁当屋さん……いわゆる「街のお弁当屋さん」にも行ってみた。幕の内弁当がメニューにある店もあれば、ない店もあった。比較的、昔からある店のほうが、置いてある確率が高かった。
当初、大概のスーパーに幕の内弁当が置いてあると思っていた。が、全然そんなことなかった。
幕の内のような「おかずがたくさん入っている弁当」はたくさんある。でも、だからこそ、それぞれの弁当を差別化させるため、より具体的な名称をつけているようだ。
デパ地下もまた、おかずの種類が多いお弁当が大量にあった。ただしスーパー同様に、全部が全部「幕の内弁当」と名乗っているわけではない。
芸術作品へと昇華されていくかのようだ。
我らがコンビニには、ばっちり置いてあった。
ただ、ローソンに関しては、公式サイト上には存在しているものの、わたしは巡り合えなかった。レア商品なのか、運が悪いのか、どちらなのかを知りたい気持ちでいっぱいである。
というわけで12種類の幕の内弁当を食べたのだが、おかずの総計を数えたところ計61種類あった。割と重複していなかったのだ。
ちなみに最も頻出したおかずは「筑前煮」「卵焼き」。次点は「からあげ」。お弁当っぽい。なかなか手堅い感じの結果である。
そんなわけで、ここ数日ずっと幕の内弁当ばかり食べていた。さすがに飽きるかと思ったが、杞憂だった。
ただ、2日連続3食全部食べ続けると、量の多さゆえにおなかがぱんぱんになる。にも関わらず、食べているうちに、おかずより先に米がなくなってしまい、「米が足りない」と焦った。
おかず供給過多である。
なんと贅沢な弁当なのだろう。今までごめん。もっと積極的に食べていきたい。
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