ブランデーグラスといえばあの形、だが
というわけでさっそく、ふだんはめったに買わないメロンを張り切って買ってきた。夕張産、ではないが山形は庄内砂丘産の鶴姫という品種だ。
かたやブランデーはV.S.O.P.とまではいかず、近所のオオゼキ(スーパーのことです)で千円ほどのものを買ってきた。しかし生涯初のマイブランデーである。
さて次に、グラスのデザインだ。ブランデーグラスといえば、あの金魚鉢みたいなものだろう。
うろ覚えでラフを描いてみるに、どうもあの曲線を果物で表現するのは難しそうだ。足をつけるのも不可能だろう。よって足無しの、本来ならオンザロックに使われるオールドファッショングラスを作ってみることにした。まあグラスっぽいものを作れれば満足なのだ私は。
包丁を入れ、中の種やあのグジュグジュをかき出す。
あのグラスを頭に描いて、そのとおりの形が現れるように包丁で削っていく。メロンを片手に持って作業するわけだが、意外とメロンはしっかりとした重みがあるので、手が非常に疲れる。つりそうだ、手のひらが。
この削った果肉は、あとでこのグラスの中に沈めて食べることにしよう。
北海道の人はメロンを半分に切って、そこにドバッとブランデーを注いで黒田節のように豪快に飲むという。郷土の名産を器代わりにして酒を飲む、というのはイカ徳利もそうだし日本全国にけっこうある(あまり調べてないが)。
そうなると、わが故郷群馬はどんな器が考えられるだろう。キャベツ?漏れそうだ。こんにゃく?テーブルに置けないな。
などとつらつら考えているうち、完成した。さあ、気になるお味はいったいどんなものだろう?
ジェットストリームでも聞きながら
部屋のあかりを落として・・・メロンのささやきに耳を傾けよう・・・。
うーん、やっぱりあの「裕次郎がくゆらせていそうなグラス」を再現したい。お金持ちの就寝前のステレオタイプなイメージ「ガウンにブランデーグラス」の、あの人差し指と中指で挟み持つあの様子を再現したい。
ネットで検索したら、ブランデーグラスの側面は「金魚鉢」ではなく「アニメのサザエさんキャラの顔」のようだった(この辺、各自で検索しといてください)。アールを描いているのでなく、しゅっと直線でよかったのだ。
再度オオゼキへと走ってもう1個メロンを買ってきた。
肝心の味を書くのを忘れた。イメージフォトなんて撮ってる場合じゃない。すっかりグラス作りばかりに気をとられた。
えー、お味はと言いますと・・・ブランデーをふだん飲みつけないので、「より味が深まった」とかそういうことは言えないのだが、ふつうのグラスのと飲み比べてみると飲み口が少しやわらかく感じられた、ように思う。
メロンとブランデーが喧嘩しないでしっくり合っている、のかな。ブランデーを少し身近に感じることもできた気がする。
酒に合うものをグラスにして飲む、という試み、他にも何かやってみたくなった。次はなんだ。泡盛に・・・豚足グラスか?