CASE1:石川さん 渋谷
まずは当メディア、デイリーポータルZ編集部の石川さんに会いに行った。
デイリーポータルZは今でこそ独立運営となっているが、以前は渋谷にある東急メディアコミュニケーションズ株式会社の事業だった。つまり、編集部にとっては渋谷が「前の職場まわり」ということになる。
デイリーポータルZっていつからいつまで渋谷にいたんでしたっけ?
デイリーポータルZが東急メディアコミュニケーションズに入ったのは2021年4月。そこから2024年1月にデイリーポータルZ株式会社として独立するまでの約3年弱の間、職場は渋谷にあったことになる(Wiki調べ)。
ああ、確かに2021年といえばコロナ禍真っ只中だ。そして今でもリモートワークという働き方が定着していることを考えると、「職場周りに思い出のお店がある」という状況も少しずつ無くなっているのかもしれない。
シンガポール料理 獅天鶏飯
そんな石川さんの「前の職場の飯」は会社から徒歩数分のところにある、「獅天鶏飯」である。
石川さん 家で食べてから出社することも多かったから、わざわざここに行くのは日常というよりイベントでしたね。記事の撮影で休日に出勤した時も「ここまで仕事を終わらせたら行ってもいい」みたいなご褒美として行ったりしてました。
すごいわかる。「お昼にあそこに食べに行こう」とかそういう気持ちで仕事って頑張れるんだよな。
石川さん ここのねえ、バクテーがおいしいんですよ
バクテー。聞いたことない料理だ。一体何の何なんだろう。
ちょっと上まで見てきますね、と石川さん。少し待っていたら上からすごいにこやかな顔をしながら戻ってきた。
当時はとくに行列のできるお店ではなかったらしい。
石川さん 自分の好きな店が行列店になってるとうれしいですね
石川さん 豚骨ラーメンとは全然違う、スパイスが効いた胡椒味のスープです。これが本当においしいので食べてください
へえーっ。じゃあ絶対にこれだ。これを食べます。
バクテーはていねいで落ち着く、おうちに帰りたくなる味
着席即バクテーを2人前注文。思えば私はスープがメインの定食を食べることが全然ないので、そういう意味でも楽しみだ。一体どんな感じなんだろう。
へえーっ、ほぉーっ!
かなりシンプルな構成である。煮込みに煮込まれた豚骨スープとジャスミンライス、そしてタレ。とにかくバクテーを食ってみろ、という威風堂々としたたたずまいだ。
まずは石川さんから実食。
石川さん いや~これなんですよ。また来たいと思っていたのでかなり嬉しいです
八角やらなんやらのスパイスがかなり効いており、目の覚めるような味である。ガッツリ異国。もう、全然海外旅行先で食べるご飯だこれ。
それでいてほっと落ち着くような、じんわりとした温かさがある。ああ、これはうまいぞ。
石川さん 普通のお昼休みとかに来ちゃうと戻れないですね。なんか、一息つきすぎちゃって。散歩とかしたくなる味。
いや本当にそうだ。散歩かお昼寝か、少なくとも時間に余裕が欲しい。現世に帰ってくるための時間が。
これはうまい、これはうまいぞと言い合いながら夢中になって食べてしまった。職場のまわりのご飯屋さんって思ったより「とっておき」が出てくるのかもしれない。この企画、もうすでに成功です。

