フリーマーケットは売っている人の趣味が出て楽しい
商店街を目的もなく歩くのは楽しい。普段の生活にはない発見があるからだ。
フリーマーケットも店主がどんな趣味をしているのか、好きなものは何かなど、商品から生活を想像するのが楽しい。また、近いうちにヤミ市へ来たいと思います。

町の商店街を歩くのは楽しい。にぎわっている様子を感じているだけでも楽しいし、知らないお店をながめながら、気になったお店に入ってみたらテンションがあがる。
そんな知らない町の歩いてみたら気になるものを見つけることができました。
※編集部より
この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です。
今回行ってきたのは東急東横線の白楽駅の六角橋商店街。駅からも近く地元の人たちでにぎわっている。
安藤さんは一度、すごい辛いカレーパン、その名も「地獄」でこの商店街に来たことがある。この記事を見れば商店街の雰囲気はわかるが、おすすめの場所を教えてもらいながら歩く。
六角橋商店街は大通りにも色々なお店が立ち並ぶが、安藤さんのおすすめは一本入った仲見世通りである。
うす暗く入りづらい雰囲気があるが、人通りもありちゃんとした通りである。この日は夜ということもあって閉まっているお店も多かったが、開いているお店は思わず足を止めてしまうような魅力がある。
手造りのかまぼこ、おでんのお店。店先では上機嫌なお客さんが店主と話していた。こういうお店にふらっと入れるなぎら健壱のような大人になりたい。まだ、躊躇してしまう年頃である。
どうだ、味があるだろう。本屋やおもちゃ屋、ギターショップもあって、エンターテインメントが詰まった商店街だ。
そんな中、安藤さんのおすすめの場所を紹介してもらった。
おすすめの場所がトイレ。全然お腹なんて痛くないし、トイレに行きたいなんて言ってない。しょっぱなから冗談かと思い、うろたえていると「のぞくとわかるから」ということなので、不安になりつつのぞいてみる。大丈夫?おばけとかいない?
路上でしたら怒られるだろう。酔っぱらっているおじさん以外で見たことない。おそるおそる入ってみると、
なにしろ通路が狭い。横綱だったら通れない狭さだ。
ここの商店街、トイレがものすごく多い。30歩歩いたら次のトイレがあるぐらいの感覚である。漏らさない安心がある。利用者に優しい商店街だ。
安藤さんのおすすめを見たあと、お腹が空いてきたのでご飯を食べた。
カップラーメンにもなったことのある神奈川県がほこる有名店「つけ麵くりやま」。お店には近くの学生や仕事終わりの社会人が並んでいる。
待っている間、記事の相談などをして過ごした。最近、職場でデイリーポータルで書いていることがばれて、「〇〇が使えなくなったので確認をお願いします。ドラムを叩いてましたね。よろしくお願い致します」というメールが来たことなどを話した。本職は技術系である。
安藤さんには「よかったじゃん!」と言われたが、そんなよろしくお願いできないことないなと思った。
しばらくすると店内へ案内された。
たまらない。太い麺に、鶏ガラと豚骨、そして魚介で作られたスープが絡み合って、口の中はうまさであふれる。ずっとこんな味を味わいながら生きていきたい。
そんなぶらぶらしているときに気になるポスターを見つけた。
戦後の時代、非合法なお店が立ち並ぶお店たちの市場、通称ヤミ市があったという。そんな刺激的な市が六角橋にある。大丈夫だろうか。合法?
ヤミ市当日、昼間の様子を見てみたいと思い、ヤミ市が始まる前にやってきた。先日来たときは夜だったが、やはり明るいと気づかなかった風景に気づくことができる。
明るい仲見世通りもいい。歩いているだけで昔の日本を歩いているような気がする。そんな中、かわいらしい絵が目の前に飛び込んできた。
実は昔、1972年頃まで横浜市電という電車が町の中に走っていたそうだ。市街地の拡大化による交通渋滞やJR根岸線の開通による財政悪化により、廃線になってしまったらしい。
これほど魅力的で雰囲気のある商店街なので、ジブリ作品の舞台になっているのかもしれない。サインがかざられているカバン屋に聞いてみると「息子の友達が親戚だから書いてもらったんだ」と。ジブリ作品関係なかった。
「とんかつ ど~んとこい」という名前のお店。どんとこい。思わずぶつかり稽古をしたくなる名前である。
「白宝豚(はくおうぶた)」というブランド豚を使っているこちらのとんかつはかんだ瞬間に甘い脂がジュワっとあふれ出し、ソースと香り高い味と合わさって、ご飯がすぐになくなる。3杯ぐらい食べてしまった。最近食べたとんかつ、いや今まで食べたとんかつの中で誇張なしでベスト3位に入るおいしさだった。
予定では20時から開催とされているヤミ市だったが、19時過ぎからお店が出始めた。仲見世通りは通れないほどの混雑である。
変な薬や見たことのない道具が売っているかと思ったが、法律に触れるような怪しいものは売っておらず、フリーマーケットが行われていたり、仲見世のお店からはオリジナルメニューを店頭販売していたりと地域のお祭りの感じである。
しかし、それがめちゃくちゃ面白い。様々な場所でライブをやっており陽気な曲が流れる中、販売されているお酒を飲みつつ、店頭で食べ物を買って食べ、フリーマーケットで自分の好きなものを買う。まるでフェスのようだ。
もう、ご飯がおいしいのだ。全部おいしい。そして、それらを食べながらビールを飲み、どこからか聞こえてくる音楽に耳を傾ける。まるで外国にいるような不思議な気持ちになる。
ただ、ご飯だけではない。フリーマーケットもあるのだ。そこで安藤さんと自分と、それぞれ予算3000円分で気に入ったものを買っていいことにした。
安藤さんは3000円分で何を買ったのか。
おもちゃ屋の店頭にはフィギュアが激安で販売しており、1個250円などで様々なキャラクターが置いてある。
国民的アニメのドラゴンボールやキン肉マンなどが店頭のケースには多く置いてあり、あの頃の子どもがいたら3時間ぐらいはずっと見ているだろう。
安藤さんが見ているうちに色々と聞いてみると、元々は戦後のヤミ市から発展して作られたのがこの六角橋商店街の始まりとされており、このフリーマーケットのようなヤミ市は20年以上前からやっているそうだ。
安藤さんは今でもレコードを買って聞くらしい。色々なレコードを手に取りながら「うわーいいな」、「これもいいな」とお店ごと買いそうな勢いだった。
「残り2000円ですよ」と伝えると、さらに悩んでいた。どうしても欲しいのが3枚あるらしい。1000円オーバーである。「それはルール違反ですよ」「いや、でも状態がかなりよくて…」。さっき2人で決めたルールが早くも破られそうになっている。
あまりにも悩んでいると店主から「4枚で3000円でいいですよ」と言われ、「買います!」と即決していた。企画が破綻した瞬間だった。
計4000円で安藤さんの買い物は終わった。
続いては私の買い物。
財布は有名デパートでも取り扱っているもので、区切りがたくさんついており使いやすそうだ。デパートでは置けなかったパッと見ただけでは目立たない傷がついた財布を安い値段で置いているそうだ。
また、お仕事ヘルプ券も自作で作られたもので、肩たたき券やマッサージ券なども売っていた。
新年度明けで仕事が忙しくすぎるのでお仕事ヘルプ券を即決で買った。明日、社長の机の置いておこう。
あっという間に残り800円である。さて、何を買おうか。ながめながら歩いているとかなりいいものを見つけた。木彫りの熊である。
木彫りの熊が800円で売られている。果たして800円が安いのか全く分からないがめちゃくちゃほしい。
ただ、木彫りの熊と同じぐらいほしいものが売られている。
ネットで調べたら5000円ぐらいするので半額以下である。オリンピックのメダルがお得で売られている。
買ったらすぐにメダリストになれる。そんなの売っていいのだろうか。明日からメダリストとしての人生が始まろうとしている。
どうやって手に入れたのか聞いてみると、柔道部の後輩がリオオリンピックで銅メダルを取った羽賀選手で、そのつてで手に入れたらしい。ヤミ市、なんでもあるな。
ちょうど3000円で買い物ができた。その後、近くのお店に入って買ったものを改めて見せあった。
写真集は全体的にかわいい感じの内容だった。
中学生の頃、モーニング娘。が流行ったが、もし、そのときにこれを買っていたら「写真集はエロいって聞いたのに全然エロくないじゃん!」と泣くと思う。
普段、絶対に買わないものだが、楽しい気分で思わず買ってしまう雰囲気がある。今思うと銀メダルも欲しかった。
「家にあるかもしれない」と言っていたが、改めて家で探したところこの日買ったレコードはすでに全部持っていて、ビートルズにいたっては同じレコードを持っている上にCDで2枚あったらしい。在庫過多である。
ヤミ市の感想として、安藤さんから「どのお店もフレンドリーで楽しかった。こっそり来週また行ってフィギュアを買いそうです」と楽しそうな感想をもらった。
六角橋商店街のヤミ市は4月から10月まで毎月第三土曜にやっている。(8月はお休み)
興味がありましたら是非、お越しください。帰りの電車で同じ車両に乗っていた酔って上機嫌なおじさんも「こんな楽しい場所初めてだよ」と言っていたので本当に楽しいと思います。
商店街を目的もなく歩くのは楽しい。普段の生活にはない発見があるからだ。
フリーマーケットも店主がどんな趣味をしているのか、好きなものは何かなど、商品から生活を想像するのが楽しい。また、近いうちにヤミ市へ来たいと思います。
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