今度はゲロルシュタイナーの生まれた町に行きたい
「ペットボトルの水」で最初に思い浮かぶのは「南アルプスの天然水」ではないだろうか。南アルプスの天然水を販売しているサントリーによると山梨県北杜市にある南アルプス国立公園から採取しているらしい。
採取地に行ってみたいがグーグルマップで行き方を案内してもらえないほど、気軽には行けない場所のようである。だが、あきらめてはいけない。山梨県には南アルプス市という地域がある。そこの水もきっとおいしいだろう。南アルプスの水道水を飲んでみたい。
昔からあり、全国的に販売されている水だと思っていたが、調べてみると南アルプスの天然水を売っているのは関東だけで「奥大山の天然水」や「阿蘇の天然水」だったりと地域によって名称が変わっているそうだ。
他の水にも興味があるが、昔から知っている南アルプスに行ってみたい。
新宿からバスで1本で行けるらしい。こうしちゃおられないの気持ちで仕事終わりに急いで向かう。
夜遅くに知らない自宅へ「すみません、水道水を飲ませてください」と訪問するのは事件の始まりになってしまうので、公園の水道水を飲むことにした。
誰もいない広場である。誰にいなくて安心した。こんな時間に人がいたらお金を取られるタイプのからまれが発生するだろう。東京から来てお金を取られたくない。夜は人を不安にさせる。
初めての南アルプスの水道水。透明できれいな水である。早速飲んでみよう。
東京の水道水に比べて変な臭みがない気がする。やはり南アルプスの水が違うのか。あと、夜に撮影すると全体的に事件が起こる感じでてしまう。ホラー映画かなと思われてしまうかも知れない。夜明けまで撮影しようとしたが一度寝てから朝から撮影しよう。
朝、起きてから水を飲みに行く。寝起きにおいしい水を飲みに行くなんて素敵な朝である。ティファニーで朝食を取るぐらい素敵である。
自然をあふれている南アルプス市。自然があふれすぎていて花粉症がすごい。くしゃみが止まらない。ハクション、ハクションと歩きながら気になっていた「南アルプスのコンビニには南アルプスの天然水が置いてあるのか」を見に行ってみよう。
地元でも南アルプスの天然水が置いてある。「これが本物の南アルプスの天然水です!」とポップを出して売り出しているのかと思ったが、普通に売っていた。あと、コンビニの店員さんとおばあさんが楽しく会話をしていたのも日本百景にしたいですね。
夜だったのでわからなかったが、広くそして景色がよい広場だった。水を飲むのに最適な場所である。そして、主観だけではなく、おいしさの目安として水の硬度を調べる道具を買ってきた。
さっそく測ってみる。30秒ぐらいで結果がわかるらしい。
そして、次に飲むのは水道水。硬度はどれくらい違うのか。隣の家の人がすごく見ているが気にせず飲んでいく。
水道水もおいしいが、天然水に比べると少し後味に変な風味が残る気がする。ただ、東京で飲む水道水よりはおいしい。
そんなことをしていたら、広場の隣の家に住むおじさんがやってきた。なんだ、怒られるのか。「なにをしているんだ」と言われる気持ちの準備しながら、おじさんはこういった「山の写真、きれいに撮れてますか?」。
「はい」と答えた。
そう言っておじさんが一度家に帰った。そして10分後、またやってきた。
多分、怪しい者だと思われている。正直に伝えよう。
「実は水のおいしいところの水質検査をしているんです。南アルプスの天然水ってあるじゃないですか。だからおいしいかなと」と伝える。それはもう早口だった。
そして、そのおじさんはこの地域の水について色々と教えてくれた。
「ここは富士山とか南アルプスの雪解け水だから東京なんかと違って、水のおいしさが違う。お水もうまいからお米もお酒もおいしい。甲府市からお酒を作りにこっちに来た人もいるほどだから」
おじさんが言うには「山の水を飲めるところがあるよ。水道水よりもおいしい。」と言っていたので、「そこに行きたいんですけどどちらですか?」と聞いたが、車で2時間ぐらいのところにあるという。レンタカーを借りられる場所がなく、借りれても運転ができない。自動車学校を卒業してから運転してない。おかげでゴールド免許だが、運転したらすぐに免許がはく奪の危険性がある。タクシーも見当たらないので、ちょっと行けない。
「他に水でいい場所ないですかね?」と聞くと「湧き水が飲めるところもある」と教えてくれた。行ってみたい。どこにあるのか聞いたら「ここから車で3時間ぐらいのところだな。でも、家の中とかに湧いているからから気軽に飲めない」と言われた。もうだめだ。
あとはおじさんの愚痴を聞いて解散した。おじさん、合計3往復くらいしていた。
おじさんに別れを告げて、公園の水を色々と飲んでみよう。
水のおいしさはほとんど変わらない。そのときの状況が味に関係してくる。
また、水を求めているうちに変わった水道を見つけた。
最近、水を吐き出すふぐが話題になったが、南アルプスには水を出すカエルがいる。
キャラクターの水道水はなんだか気分が楽しくなる。もっとこういう水道が増えてほしい。
「南アルプスの川」というときれいな水が流れるイメージがないだろうか。その水もきっとおいしいのではないか。
一応、硬度も調べてみよう。これが見たことない赤になったらそっと捨てようと思う。
異常な色にはならなかったので安心して飲める。科学的には安心できるかもしれないが、こういうのは気持ちの問題なので、気持ちを強く持たないと飲めない。
人生で初めてビールを飲んだときのことを思い出した。どんな味なのか、飲んでいい物なのかというドキドキ、どうなってしまうのだろうという恐怖。
ヘドロみたいなにおいはせず、少し磯っぽいにおいがする気がする。塩水みたいな感じかもしれない。
打ち上げられて2週間放置したわかめぐらい磯の臭さ、なにかわからないケミカルな味、そして何よりも水の生ぬるさが体をふるえさせる。毒って感じの味だ。
※編集部注:清流に見えても川の水を飲むのはやめましょう。
どんなに水がおいしい地域でも川の水は飲めないらしい。さきほど、この川に生活排水が流れこむのを見たが、見ないふりをした。今後は現実とちゃんと向き合っていこう。
水は公園だけで飲めるものではない。お店でも飲める。地元にしかないお店が時間外でどこもやっておらず、なら行ったことがチェーン店の水を飲み比べようと思う。
ハンバーグやステーキで有名なチェーン店である。ステーキでもごちそうなのだが、この店はなんと惣菜やご飯が食べ放題のお店なのだ。
水も気になるが、やはりハンバーグも食べたい。お店で押し出していたメニューを注文する。
そして、一番気になる水。セルフ方式だというので取りに行ったところ、驚きの光景が広がっていた。
おいしい水をすぐにでも飲みたいが、ご飯を食べたあとに飲む水ほど、おいしく、そしてほっとするものはないだろう。
ハンバーグを食べたあとに飲んでみよう。朝から水しか飲んでいないので。
おいしかった思い出が残る口の中を水がサッパリさせる。小学生の頃に感じた夏休みの終わりに感じた楽しかった記憶と終わってしまう悲しさ、食後の水にはそんな短パン少年のまぼろしが見える。
1日中水を飲んできた。その結果がこちらです。
川水が0、ビッグボーイ、くるまやらーめん、バーミヤンが9ポイントで同時優勝である。
食べたあとの落ち着く感じが、水を単独で飲んだときには味わえない感覚である。とくにしょっぱいものを食べ終わったあとに飲む水はおいしい。南アルプスはなんでもおいしい。
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