みんなも作ってみよう、わら人形
いやあ、調子に乗ってたくさんわら人形を作ってしまいました。おかげで今、東京で一番わら人形を手際よく作れる男になってしまったんじゃないでしょうか(他にわら人形を作ってる人も少なそうだし)。
しかし、わらさえ手に入れられれば、わら人形を作るのは簡単でした! わらって加工するのも楽だし、みなさんも機会があったら是非作ってみてください、わら人形!
完成したわら人形が部屋に置いてあったら、遊びに来た友達のテンションがガクッと落ちることは間違いないと思いますが……。
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日本に古くから伝わる(ある意味)伝統的な人形「わら人形」。長い歴史があるだけあって、なかなか洗練されたフォルムをしていていいなと思うのですが、どうしても“呪い”みたいなイメージがつきまとってしまい、愛玩用の「人形」として扱われることはほとんどありません。
ならば“呪い”的な要素抜きで作ってみたら愛でる気になるわら人形ができるのはないでしょうか!?
※2010年10月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。
日本人だったらほぼ誰でも名前や形、さらには使用方法まで詳しく知っているのに、実物を見たり触ったり、使ったことがあるという話はまったく聞いたことがない“わら人形”。
まあ“呪いの”わら人形なんて呼ばれるように、思いっきり呪術用にしか使い道がない人形なので、実践レビューを聞いたことがないというのはなによりなんですが、ボク的には別に必ずしも呪いだけに使用しなくてもいいんじゃない? 普通に人形として愛でてもいいんじゃない? ……とも思うわけです。
偏見をかなぐり捨ててあのフォルムだけ見ると、シンプルかつソリッド、それでいて自然の暖かみも感じる、なかなかステキな人形だと思うんですけどねぇ。
最近じゃあ変わったフィギュアなんかも流行ってるし、なによりも、あのなんだかへんてこりんな形をしたボージョボー人形とかいうのが売れたんだから、わら人形だってもっと人気が出てもいいハズ! ……そう思いません?
……ということで今回は、呪いとかそういうのは抜きにして、自分でわら人形を作り、あのフォルムを思う存分愛でてみたいと思います。
さて、わら人形を作るに当たってまず用意しなくてはならないのは“わら”。まあ、そりゃそうだ。
泥で作ったら泥人形、菊で作れば菊人形、空気で作れば空気人形……イヤ、あれは中に空気が入っているだけで、外側はビニール製とかか。
……ま、とにかく“わら”で作るからこその“わら人形”。わらがないことにははじまりません。しかし、わらってどこで手に入るの!?
わら細工のガイドブックには、このように書かれていたのですが……。
「近くに農家があれば、きちんとお願いして、わらを分けてもらうのがよいでしょう」
まあ確かに、それが一番いい入手法なんでしょうけど、このコンクリートジャングル東京、近所に稲作をやっている農家なんてありませんからねぇ。
というわけで色々調べてみたところ、わらを売っているお店を見つけました。
ほい、早速やって来ました、こちらがわら屋さん! ……世の中、色んなショップがあるもんですな。
もちろん、わら専門店というわけではなく、縄、しめ縄、むしろなどのわら加工品や、梱包資材なども扱っているお店らしいです。
縄やむしろはその辺にドーン、ドーンと置かれているのですが、さすがにわらは店頭に陳列されていないんですよね。そこで店のおっちゃんに……。
--スミマセーン、わらってありますか?
「わら? なにに使うの?」
おっちゃんからの予想外の答え! ここで「わら人形を作るんで」って返事するのはアリなのか!? 頭がおかしい人だと思われないかな?
おっちゃんの親切心100%なアドバイスに、思わず「じゃ、ソレで」といってしまいそうになりましたが、どう考えても縄からわら人形って作れなそうなので、心を鬼にして「イヤ、わらから作りたいんで……」と返事。
すると、やっと持ってきてくれました、大量のわら!
「コレが一番お買い得だよ。一箱に5kg入って2000円!」
5kgで2000円……わらの相場ってまったく見当もつきませんが、パッと見ただけでも一生分のわら人形を作れそうなほどの膨大な量。それが2000円なら激安でしょう。でも……さすがにこんなにはいらない!
……というわけで、バラ(束)で売ってもらうことにしました。
「バラで買うと割高になっちゃうんだけどね。一束400円だよ」
確かに、尋常じゃない量が入った段ボール箱が2000円だと考えると一束400円って高いですけど、ちょろっとわら人形を作った後に、大量に残されたわらの使い道を考えたら、ちょっとくらい割高でもイイ! 毎日、納豆やカツオのたたきを作っても使い切れないですもん。
さて、わらも手に入ったことですし、早速わら人形をガンガン作っていきたいと思います。
実は今回、わら人形を作るに当たり、気合いを入れてこんな本まで買ってしまったんですが、冷静になって考えれば分かりそうなモンですけど、子供が読むような本に「わら人形の作り方」なんて載ってるワケないんですよね……。
まあ、いかにも簡単に作れそうな単純な形なんで、テキトーにやってもなんとかなるでしょう。
わら人形の基本的な構造は、「人」を「一」で貫いていて「大」の形にする、ということらしいです。
なんかこの辺にもイヤーな感じの由来がありそうですけど……気にしない、気にしなーい! 合体ロボ的な認識で作っていきたいと思います。
まずは「一」の部分、腕パーツを作ります。テキトーにわらを縛って。
完成! ……いやー単純な構造です。簡単!
つづいて、顔+体パーツを作っていきます。顔となる部分を縛りまして……。
腕パーツを胴体パーツでぐいっと挟み込みます。
おおっ、わら人形感が高まってきましたね。
さらに下半身のわらを二股に分けて縛れば……。
ジャーン、完成です!
まあ本来だったら胴体の中に呪いたい相手の髪の毛などを入れる必要があるんですが、今回は呪いレス・わら人形なのでコレでオッケー!
「わら人形ってどうやって作ればいいんだろう……」と考えていたのがバカバカしくなるくらい簡単に作れましたね。わらをほどよいサイズに切ってグイグイ縛っていくだけ!
まあ「アイツを呪いたい!」とカーッとなっている時に、ガンプラ・マスターグレード(細かーいプラモね)みたいなややこしいモンは作っていられないですからね。
カーッとなったイキオイでズバーッとわらを切り、ギュギューッと縛って作れる程度の単純なものである必要があったんでしょう。
それにしても、笑えるほどにシンプルないいフォルムしてますわー。キャラクターも立ってるし、フィギュアやぬいぐるみ的な感覚で愛でる人がいてもいいと思うんですけどね。
たとえば、くまちゃんのぬいぐるみの中に混じってても……
イヤ、ダメだわ。完全に違和感あり過ぎ。ただならぬ雰囲気が漂っちゃってます。
この状態ではまだ女子高生から「カワイー! カワウィー!」いわれるのは難しそうなので、ここからわら人形をアレンジして、もうちょっとポップにしてみたいと思います。
まずは、わら人形にどうしてもつきまとってしまう“呪い”のイメージを払拭してみたいと思います。
わら人形を木に打ち付ける時に「呪」とか書かれたお札を貼り付けてたりするイメージがありますが、そのお札が「祝」になってるというね……。ギャグですよ、ギャグ。
うーん、コレはポップというのとはちょっと違うような気がします。
つづいて、当サイト・デイリーポータルZにおいて、何かをかわいくしようとする時の常套手段、「目玉をつけてみる」というのをやってみたいと思います。
わら人形に目玉をつけてみるとどうなるのか……。
うん、グッとポップさが増した気がします! やっぱスゴイな、目玉のパワー。コレが「目力」ってヤツでしょうか。
コレだったらくまちゃんのぬいぐるみと並んでても……。
さて、次に試してみたいのが「体型を変える」という方法。ボク的には従来のわら人形のフォルムも好きなんですがポップさを求めるとすると、ちょっとシュッとし過ぎている気がするんですよね。
この体型をもっとポップ&カワイイ体型に変えたらいいんじゃないかという作戦です。
ほい、頭は大きく、ボディーは太く、手足は短めに……というカワイイキャラクター体型のセオリーにのっとって作ったわら人形がコチラ。
右のノーマルわら人形と比べると、かなり呪い感が減り、ユーモラスな雰囲気になってきましたね。
さらにコイツに目玉をつけてみたら……。
おおっ、コレはかわいくないですか!?
できた! 癒し系わら人形キャラ「わらにん」! よい子の悩みを呪いで解決してくれる的な……。
いやあ、金の臭いがプンプン するキャラクターができちゃったんじゃないですか!? 売れる、売れまっせ、こりゃ。
若干、水戸市あたりにありそうな納豆のゆるキャラっぽい雰囲気もあるのが気になりますが、まあその時はその時。納豆キャラとして売り出したいというオファーが来たらそれでもオッケーですよ! お値段次第でご相談に乗りまーす!
さて、つづいて考えていきたいのがサイズの問題。従来のサイズは、五寸釘でガッスンガッスン木に打ち付けていくのには向いているんでしょうけど、アクセサリ感覚でいつでもどこでも持ち歩いて愛でるのにはちょっと大きすぎるんですよね。
そこで、手のひらサイズのわら人形を作ってみたいと思います。
大体、ノーマル版の40%くらいのスケールで作っていきますよ。
小さいのを作る方が楽かなと思っていたんですが、小さければ小さいほど、わら一本一本が全体のフォルムに与える影響が大きくなってしまうため、最初に形のいいわらを選ばなければならなくて、なかなか面倒でした。
ほい、完成!
ああ、やっぱり小さいのはいいですね。ちまっとしててカワイイ! コレくらいだったら持ち歩くのにも困りませんよね。
ん、このサイズを見ていったら思いついたものが……。
……ということで再度制作。
まず、先をねじって丸めた針金を用意しておいて。
わら人形の頭部分からグサッとぷっさします。
さらに余った針金を、腕パーツに巻き付けて抜けないようにして。
あとは普通に作るだけ!
出来た、ヒモを通す穴つきのわら人形!
そうです、ストラップをつけると、このようにわら人形携帯ストラップとなるワケですな。
おお、アリっちゃあアリ! こんなストラップがあってもおかしくないですよね。
もちろん「わらにん」バージョンのストラップも作りましたよ!
いやあ、小さくすると、さらにカワイイですね。
おおっ、コレは売れる! 女子高生にバカ売れ……かな?
手元に異様な雰囲気を漂わせながら電話をかけることができ。
むかつく相手からの電話だった場合は、そのまま呪いをかけることも可能という非常に便利なこの「わら人形ストラップ」みなさんもおひとついかがですか?
いやあ、調子に乗ってたくさんわら人形を作ってしまいました。おかげで今、東京で一番わら人形を手際よく作れる男になってしまったんじゃないでしょうか(他にわら人形を作ってる人も少なそうだし)。
しかし、わらさえ手に入れられれば、わら人形を作るのは簡単でした! わらって加工するのも楽だし、みなさんも機会があったら是非作ってみてください、わら人形!
完成したわら人形が部屋に置いてあったら、遊びに来た友達のテンションがガクッと落ちることは間違いないと思いますが……。
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