地引き網の構造
地引き網にはいろいろな方式があるらしいのだが、ここの地引き網はいたってシンプル。
高さ2メートルほどの長い網を海に向かって逆Uの字に張って、網の両サイドと繋がったロープを引っ張りながら中央に近づいていき、網の大きさを小さくしていく。
網の先端は袋状になっていて、追い込まれた魚がそこに入っていく。
目の前の海に魚がたくさんいれば大漁、いなければ不漁というわかりやすいギャンブルだ。
地引き網、スタート
参加者は左右半分ずつに別れて、漁師さんの合図を待つ。
合図に合わせて、網が繋がったロープを全員で引っ張って地引き網がスタートだ。
この地引き網という漁は、ドッシリ構えて、ただ力任せに引っ張ればいいように思えるのだが、実はなかなか難しい。
まず網を引っ張る速度を両翼で合わせなくてはならず、それも「魚を追い込むのにちょうどいい早さ」というのがあるらしく、漁師のオバチャン達から「早すぎる!」「そっち遅い!」「もっとゆっくり!」などと指示がバンバン飛んでくる。
さらに後ろに引っ張り続けると海からどんどん離れていってしまうため、ロープを引っ張る一番後ろの人は、ダッシュで一番前まで移動して、また後ろに引っ張っていき、一番後ろまで来たら、また最前列へと移動しなければいけないのだ。
地引き網は運動会っぽい
ただでさえ引っ張ったり海側に移動したりと忙しい地引き網なのだが、さらに網を引っ張る両側が近づいていかないといけないので、これをゆっくりと前に進みながらやる必要がある。
全員の息をぴったりと合わせて、縦と横の移動ををスムーズにやってこそ勝利へと結びつくのだ。
地引き網、漁というよりは、なんだか砂浜でやる運動会っぽい。
「チャンチャーンチャラララチャンチャンチャラララ」と運動会のテーマソングが頭の中を流れていく。
だんだん網が小さくなってきた
今年は参加者が少なめだったために、やたらと重く感じる地引き網。
「なんでお金払って労働しなくてはいけないんだ!」という至極真っ当な声が飛び交う中、網がだんだん小さくなっていく。
ロープが終わり、今度は網を引っ張っていく。
ゆっくりと、ゆっくりと。
網の両サイドがくっついた
漁師さんの話では、昨日やったグループの網には、1.5キロもある大きなアオリイカやスズキなどが掛かったらしい。
きっと今日は昨日を上回る大漁に違いない。根拠は一切無いけれど。
網の前方では、本気モードになった漁師さんが頑張ってくれている。
これは遊びであって遊びではない。
果たして、網に魚は掛かってくれているのだろうか。