イリュージョンのような白ワイン
年の瀬である。なのに仕事が納まっていない。
むしゃくしゃして思わず「ワインでも飲み干してやろうかなぁ」という気分になったくらい納まっていない。
だけど今ワインを飲み干したら絶対やばい。
ああ、せめてこの気持ちをどうにかするために「ワインを飲んでいるって感じ」だけでも味わえないんだろうか。大事なのは気分。気分次第。自分さえ騙せれば、だいたいのことはどうにかなるのだ。
そんな夜におすすめなのが幻のワインである。
ちゃんと目にうつる、幻のワイン。
でもこれ、ワインじゃないしなんならお酒じゃない。
正体は下記である。
水で満たしたワイングラスに、しょうゆをそっと1滴くらいたらすとできあがる。料理の撮影現場で教えてもらった方法だ。
なんとも立派に擬態をとげている。すごいなしょうゆ!
おさしみにつけてもおいしくて、あらゆる料理の調味料として大活躍なうえに白ワインにまでなれるのだから。
だが、わたしはひとつ大事なことに気がついてしまった。
とても残念なお知らせである。
どんなに見た目が白ワインだろうと、味までは白ワインになれないのはわかっていたけど、飲み物としておいしくないのは悲しい。
だってせっかくなら飲みたいじゃん。完飲したいじゃん。
で、思いついたのが下記である。
どう見ても白ワインである。心の目を駆使しなくても、あなたの目はきっと今、上の写真を白ワインと認識をしているはずだ。
私の目も、いや心ごと、まるごと全部、もうすっかりこの飲み物を白ワインだと認識している。10分くらい持ちつづけていると、この飲み物は昔からずっと白ワインだったんじゃないかなーという気がしてくるのだ。自分を騙すのって意外と簡単だ。
ちなみにこの飲み物の正体はレモンティーの水割りである。しょうゆと比較すると100倍おいしい。香りがよくてさわやかだ。
なお、そのあと1時間くらいかけて自宅にある液体を調査した結果、レモンティー以外にも、ありとあらゆる黄色〜茶色あたりの色合いの液体を使えば、いとも簡単にイリュージョンが起こせることがわかってきた。あまりの幻のたやすさに眩暈がする。
だんだん世界のことがわからなくなってきた。ある意味酔っているかもしれない。それならそれで、もういいや。
なお、試してみておいしかった順番は下記だ。参考にしてほしい。
はやく仕事を納めて本当のお酒が飲みたい。