ちょっと聞いてよ 2022年11月30日

福井の「地がらし」がうまい

先日福井県に行ってきた。

そこで出合ったのがこの地がらしである。

茶色と黄色、2色の粒が混ざっているのが特徴的だ。練るときの工程にDIY感があるのが愉快でいい。ツンとくる香りもいい。

そして食べるとじんわりうまいのである。

1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

前の記事:はじめての発酵調味料づくり「小麦粉を1年寝かせて作った甜麺醤」

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はじめて見る2色構成にどきどき

地方に行くとまずその土地のスーパーをうろうろして、ふだん行くスーパーとの違いを楽しんでいる。旅行に行く理由の半分以上、この瞬間のためだと言っても過言じゃない。

で、福井のスーパーで見つけたのがこの地がらしである。

じゃん

香ばしそうな2色づかいが特徴的だ。

裏側の説明がとっても丁寧である

パッケージの説明によると、からしの種をそのまま丸ごと粗挽きしたゆえの色合いらしい。納豆とかに付いている黄色い和からしと洋風の粒マスタード、両方の色味を合体させたみたいなはじめて見る姿にどきどきして、思わず手に取った。

DIYを強いてくるところもたまらない。地がらしは、みずからの手で練ることで完成するのだ。

すり鉢に10gほど入れ……
その半分の量(5g)の熱湯を注いで
ぐわっと混ぜると……
無骨な感じの練りがらしができあがる。ちょっと腕に疲労感が残る

でもまだ終わりじゃない。

このあとの工程がちょっと不思議なのだ。

下の写真のように、からしが入ったままのすり鉢をひっくり返して、1時間くらい待つのである。 

こんな感じ。ひっくり返した状態で放置を行うのだ

「えっ!からしが落ちてきちゃわない?」 と心配になった方に向けてお伝えをしておくと。

こう。

ひっくり返してもびくともしないくらい、がっつりすり鉢にこびりついているのである

そんなこんなで、練った粒たちは重力との戦いののち、立派なからしになり、人間のお腹のなかに旅立っていくのだ。

たとえば餃子のつけ添えとして。お酢とともに。

製造元HPのレシピページに「香ばしい辛さが絶品です」と書いてあったので素直に試しました
からしをお酢に溶かして、餃子にじゃぶじゃぶと浴びせてみました

ほんのり辛さがあっておいしい。 なんというか、刺激がお上品なのだ。雅といいますか。

さらに、ホワイトビネガー少量と練り合わせるとマスタードとしても使えるとパッケージに書いてあったので試してみたところ……

スッと辛さがやってきて、あっという間に去っていった。昼ドラマのように展開が早い。だけどぜんぜんねちねちしていない。写真程度の量をつけた程度だと、暴力的な辛さに至ることはなく、あくまでも清涼剤のようなさわやかさ、という感じである。軽やかだ。

ほのかに胃がぽかぽかとあたたかい。スパイスが入ったカレーを食べたときみたいである。

しかし、福井の郷土料理「麩のからし和え」をレシピにならって作ってみたところ……
急に辛さがキャパシティを超えてきました。辛い!

調子にのって入れすぎたかもしれない。

とはいえ、辛さはあっという間に去っていった。あまりに引き際がスマートなので、すぐさま箸を伸ばしたくなってしまう。つまりこれ、中毒性があるのだろう。

あと。通年鼻づまりなのでちゃんと認識できているか不安なんだけど、普段使っている黄色いからしと比べると、 香ばしい香りが強い気がしている。鼻が喜んでいるのを感じるのだ。

この冬のおでんの友が決定いたしました。

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