ミニチュアフードは自由
安藤:ミニチュアフードの世界ってみんな決まった縮尺で作っているんですか。
黒坂:ドールハウスに合わせて1/12とか1/6とか、オーソドックスな縮尺はあるみたいですが、わたしはアクセサリーにした時に収まりのいいように自由にちっちゃくしてますね。
安藤:自由!
黒坂:はい!好きな物を好きに作ったらいいと思います!
安藤:見ている方としては小さいだけですでに面白いんですが、黒坂さんがミニチュアフードを作るにあたって魅力というか面白いなと思う点ってどの辺りなんでしょう。
黒坂:これだけ小さいのに同じモチーフを作っていても作者によって雰囲気がまったく違ってくるのが面白いですね。あとはもう理屈じゃなくて、小さくて精巧なものに単純に惹かれるというか。
安藤:それはわかるような気がします。腕時計の中身とか、覗くとずっと見ていられますね。
黒坂:そうそう、もう趣味というか性格的なものなのかもしれないです。
ミニチュアフードの作り方
安藤:明かせる範囲でかまいませんので、ミニチュアフードの作り方をざっくりと教えてもらえますか。
黒坂:ではバナナのミニチュアを作りながらご説明しますね。
安藤:まず材料には何を使うんでしょう。
黒坂:素材はいろいろあって、透明感の高いものを作りたいときには「すけるくん」という素材を使ったりするんですが、わたしはほぼ「レジックス」という樹脂粘土を使っています。このバナナもレジックスです。
安藤:これは実物のバナナを見ながら作っていくんですか。
黒坂:そうですね。なるべく実物を買ってきて横に置いてじっくり観察しながら作ります。手に入らないものは写真を集めて資料にしたりもしますが。
安藤:色付けは何を使うんですか?
黒坂:わたしはアクリル絵の具で着色していますが、水彩絵の具でも大丈夫です。このあたりは好き好きだと思います。
安藤:おお!一気にリアルになった。これは最後だけ本物のバナナに入れ替わったわけではないんですよね。
黒坂:ミニチュアです!1円玉が巨大なわけでもありません。
安藤:改めて1円玉を置かれるとその小ささに戸惑いますね。急に小さくなった(ように見えた)バナナに頭が追いつかないというか。
黒坂:作り方は基本的に他も同じで、まず形を作って色を塗って、接着して完成、という流れですね。
安藤:どれも細かくてたいへんだと思うんですが、とくに難しかったものってどれですか。
黒坂:あさりは同じものを7ペア作ったので途中でおかしくなりそうでした。
安藤:同じものをたくさん作るときも同じ工程の繰り返しなんですか。
黒坂:アサリみたいな同じ形のものを大量に作る場合は「おゆまる」という材料で型を取ったりしますが、基本的にはどれも一つずつ最初から作っていく感じですね。完全に手作業なので大量生産にはむかないです。
ツヤの有無で美味しそうさが決まる
安藤:食べ物を美味しそうに作るコツってありますか。
黒坂:やはり実物をよく観察して質感を正しくとらえることですかね。食べ物って全部にツヤがあるわけじゃないんですよ。ツヤのあるものとないものとの差をちゃんと出すと美味しそうに見えます。