デジタルリマスター 2022年8月17日

その辺の葉寿司(デジタルリマスター)

もともと押し寿司は美味しいものだが、そんななかでもひときわ輝きをはなつのが柿の葉寿司だ。

柿の葉で巻かれていることで、普通の押し寿司よりもぐっと美味しく特別なもののように感じる。

あれ、なんで柿の葉なんだろう。柿の葉じゃなくってその辺の葉で包んでみたらどうよ? 今回はそういうお話です。

2006年8月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1979年東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:ファーストキッチンの謎デザート「ポッフェルチェ」がうまい

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

葉っぱと寿司

00_photos_v2_x2.jpg
本物の柿の葉寿司。こちらは有名な奈良のお店のもの

葉っぱは寿司業界では重宝されている。

柿の葉寿司の他にも、葉をフィーチャーした寿司は全国にある。岐阜の朴葉寿司や福井の木ノ葉寿司がそうだし、笹に関しては地域に限らない。バランなんてわざわざセロファンで作ってまで使ってる。

柿の葉寿司に関してはその葉のさわやかな香りや殺菌効果を期待しての登用という話もあるが、実用度以外に葉の彩りが美味しさに貢献しているのは間違いない。

今日はそこら辺に生えている葉っぱで寿司の美味しさを引き出したいというわけだ。雑草で寿司の美味しさが引き立つなんて夢みたいな話じゃないか。

葉っぱを採るのは楽しいよ

というわけで、早速その辺へ。

趣旨的にも遠出は無用だ。ちょっちょっとそこいら辺に生えてる草を摘んできて使いたい。

01_photos_v2_x2.jpg
近所の駐車場のすみっこで葉っぱ大漁

寿司を包めるほどの大きさの葉がその辺に生えているか家を出るまでやや不安だったのだが、意外にも普通の顔をして生えていた。種類もいろいろある。

あ、こっちのは実がついてるぞ。こっちのは葉がやわらかいなあ。こっちの葉は表面がざらざらしている! そうだ、後で図書館に行って葉の種類も調べよう。

02_photos_v2_x2.jpg
フェンスに絡まってたツタも今日は友達だ

葉をつむ私の脇を子供がかけていく。おまえら、自由研究終わったか? 私は今やってるよー。

テーマがうっかり「自由研究・身近な葉を調べよう」になりそうになってますが、大丈夫、寿司のこともわすれてないよ。その証拠に、葉の裏に虫が付いているのを見て

「わーっ! スシ!」

と声を上てしまったぐらいですもの(「わー! ムシ!」って言いたかったのだろう)。

05_photos_v2_x2.jpg
「わー! スシ(ムシ)!」

最終的に30枚ほどを採取した。自宅では すし飯用のご飯が炊けているはず。

いよいよ その辺の葉寿司の制作スタートです。そして思わぬ障害の存在もあきらかに。

21_photos_v2_x2.jpg
お!
いったん広告です

有毒植物ってなんだっけ

帰ってきたらすぐに葉を洗い、炊けていたご飯は酢飯にした。うちわであおいでしっかり冷ます。

06_photos_v2_x2.jpg
集めてきた30枚は種類も形もばらばら。祖母宅から観葉植物や庭に植えていた植物の葉もゲット

と、ここで問題が持ち上がった。

酢飯を冷ます間に葉っぱの種類を図鑑で同定しようと、植物図鑑を眺めていたときだ。パッと「ドクウツギ」という植物の説明が目についた。

「果実はもう毒です」

09_photos_v2_x2.jpg
もう毒

もう毒! 思いも寄らない言葉に釘付けになる。そういえば私は有毒植物というものの存在をすっかり忘れていたのだった。思えばかぶれる心配だってあったわけだ(あれだけ採取しまくったのに何にもかぶれなかった)。

07_photos_v2_x2.jpg
酢飯を冷ます傍らで葉の種類を血走る目で調べた

このドクウツギの葉は今回採取していないし、そもそも毒の部分は果実なので全く大丈夫なのだが、調べを進めると、採ってきた葉にも有毒植物らしきものが混ざっていた。いつか聞いた言葉が頭をよぎる。

野生のキノコは素人判断では絶対に食べるな

いや、今私が扱っているのはキノコではない。それに単に寿司を包むだけなんであって葉を食べるわけでもない。だが今日私は野生のものを扱っているのだ。重々気をつけねば。

11_photos_v2_x2.jpg
葉の裏にトゲがあっていかにも毒っぽかったがその名もワルナスビ。葉は大丈夫だが果実に毒が
03_photos_v2_x2.jpg
こちらは ヨウシュヤマゴボウ。根を中心に葉にも微量の毒素が含まれているそうです。わー。寿司を包むのにちょうどよさそうな葉の大きさだったので残念
10_photos_v2_x2.jpg
祖母宅から採ってきたアジサイも つぼみ、葉、根が有毒らしく除外

その後インターネットなどの有毒植物照会サイトなどを震えるからだで丹念に見、有毒性のないことがはっきりした葉だけチョイスした。盛り上がったり、心配したり感情の起伏の激しい寿司作りだ。

いったん広告です

その辺の葉っぱで寿司を巻く

さて、紆余曲折を経つつもここまでくればあとは巻く作業。包む葉の大きさがまちまちなので一つづつ握って包んでいくことにした。

12_photos_v2_x2.jpg
その辺のすし屋、開店

包むと思ったよりも葉っぱが小さく感じる。そういえば柿の葉寿司の葉っぱって広げると結構大きいのだ。葉によっては親指の頭ぐらいの小さな寿司になってしまったが、それも「その辺の葉寿司」の魅力と思おう。

具は鯛に鯖の酢漬けとスモークサーモン。これを酢飯に乗せるわけだからとりあえずマズいわけはない。包んでいる様子からして既に柿の葉寿司みたいでおいしそうだ。

13_photos_v2_x2.jpg
自宅近所のガレージに生えていた葉っぱにくるまれる鯛寿司
14_photos_v2_x2.jpg
サーモン寿司は祖母宅の玄関脇の葉っぱで。巻きにくい

 

15_photos_v2_x2.jpg
サバ寿司はフェンスにからまってたツタの葉で。小さすぎ
16_photos_v2_x2.jpg
むりやりシダのウラジロも登用

 が、実は息を吸い込むとものすごい青くさい。この青くささは葉の採取時から感じていたのだが、知らんぷりしていたのだった。

あとは重石を載せて冷蔵庫で寝かせる。さて、味はどうなんでしょうか。そして問題の青くささは。

17_photos_v2_x2.jpg
なんとかかんとか巻けたら
18_photos_v2_x2.jpg
きゅっと箱に詰めて重しを置いて冷蔵庫へ

その辺の葉寿司、試食です

susi01_photos_v2_x2.jpg
おーいみやげだぞーい

本来だったら重石を乗せたら一晩寝かせるものらしいのだが、張り切って朝に作ってしまったのでその晩に食べることにした。

パッケージもそれらしいものを用意。撮影時は気づかなかったのだが、これまるで飲んで帰ってきたお父さんのお土産みたいだ。頭にネクタイ巻くべきだったか。

susi01on_photos_v2_x2.jpg

寝かせる前に心配だったあの青くささはどうなっているだろう。柿の葉寿司は柿の葉のさわやかな香りが寿司にうつってなんともいえない味わいをかもし出すのだが……。

おそるおそる、開いていこうじゃないですか。

 

これが、うちの「その辺の葉寿司」だ!

ハマヒルガオの葉寿司

susi02_photos_v2_x2.jpg

susi02on_photos_v2_x2.jpg

ノブドウの葉寿司

susi03_photos_v2_x2.jpg

susi03on_photos_v2_x2.jpg

ムラサキサキゴケの葉寿司

susi12_photos_v2_x2.jpg

susi12on_photos_v2_x2.jpg

トキリマメの葉寿司

susi05_photos_v2_x2.jpg

susi05on_photos_v2_x2.jpg

タチドコロの葉寿司

susi11_photos_v2_x2.jpg

susi11on_photos_v2_x2.jpg

ノブドウの葉寿司

susi07_photos_v2_x2.jpg

susi07on_photos_v2_x2.jpg

ドラセナ・スルクロサの葉寿司

susi08_photos_v2_x2.jpg

susi08on_photos_v2_x2.jpg

ヤマグワの葉寿司

susi09_photos_v2_x2.jpg

susi09on_photos_v2_x2.jpg

ニワトコの葉寿司

susi10_photos_v2_x2.jpg

susi10on_photos_v2_x2.jpg

ウラジロの葉寿司

susi13_photos_v2_x2.jpg

susi13on_photos_v2_x2.jpg

 

※植物名の同定は古賀によるもので、やや推測の部分もあります。植物って種類多いですよね!

いったん広告です

ふつうのお寿司です!

食べた。もぐもぐ食べた。具はもちろん、酢飯も塩梅良くしあがっている。重石のおかげでよく押され、味も馴染んだ。うん、美味しい。この味は……そうだ、押し寿司だ!

19_photos_v2_x2.jpg
森の収穫祭か

ええと、はい、普通の押し寿司の味がしました。肝心の葉の効果なのだが、かおりが移るというようなことはなかった。心配していた青くささは、むいた葉に顔を近づけてかいで野原の匂いがする程度で、寿司自体にうつることもなかった。

ただ、やっぱり雰囲気がある。葉をはがして食べるというのが楽しいし、緑が目にきれいだ。たいしたことない私の寿司が美味しく感じられたのは間違いない。

やっぱり寿司には葉っぱなのだ!

柿の葉ででなくてもある程度の雰囲気はその辺の葉でまかなえるということが分かった。

今日のお昼、押し寿司だけじゃちょっとさびしいわねえなんてとき、2品目を用意するのもいいけれど、その辺の葉っぱで巻くなんてのもいいんじゃないかしら。というご提案でした。

matome_photos_v2_x2.jpg
この手の葉っぱ1枚で数個の寿司をまくってのはどうだろう

 


そういえば、柿の葉も実家の埼玉の山のほうへ行けば柿の木が民家の庭先に植わっており、あれも言ってみれば「その辺の葉」なのかもしれない。

その辺の草を採ってきて寿司を巻く。21世紀の今やるべきことなのか正直迷いものこりますが、案外普通にすてきにできてしまって うっかり言うことはなにもない状態です。

20_photos_v2_x2.jpg
あとで冷蔵庫の大葉を見て一瞬食べて大丈夫かとまどった
▽デイリーポータルZトップへ

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓

 

今日のみどころ