特集 2022年6月14日

教室みたいなスピーカーを部屋につけてチャイムを鳴らすと最高

教室でおなじみ、あのスピーカーが部屋にあるとテンション上がる

学校を卒業してから長い時間が経った。なので、マンガやアニメの学園風景を見ると、ああこんな時代もあったなぁと、昔の記憶を思い出したりもする。

あるときアニメを見ていると、教室に描かれている「スピーカー」に目がとまった。黒板の上に設置されている、どことなく無骨で、チャイムや校内放送が流れたりするアレだ。

あれが家にあったら懐かしくもあり、面白いんじゃないか? 実際に設置してみたところ、想像以上に気分がアガったのでお伝えしたい。

1983年徳島県生まれ。大阪在住。散歩が趣味の組込エンジニア。エアコンの配管や室外機のある風景など、普段着の街を見るのが好き。日常的すぎて誰も気にしないようなモノに気付いていきたい。(動画インタビュー)

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教室のスピーカーという共通認識

教室にあるスピーカーって、こんな感じじゃなかっただろうか。

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四角くて、真ん中に丸い穴が空いていて、黒板の上に設置されている
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形は決まって、こんな台形型だ。これを見ると「教室だな~」って思いますよね

ステレオタイプな教室のスピーカー像って、完全にこれである。統計を取ったわけではないので、もしかしたら世代差や地域差があるかもしれない。けど写真やイラストのフリー素材を調べてもだいたい同じものばかりだったので、かなりの人にとっての共通認識だろう。そう思って話を進めたい。

私にとって、このスピーカーに関する記憶は、もれなく学生時代の記憶となっている(職場にもあったかもしれないが、あまり印象にない)。スピーカーを見るだけで懐かしい! って思えるし、なんなら当時の教室の雰囲気までありありと思い出すことができる。何気に学生時代のキーアイテムである。

耳をすませば、聞こえてくるチャイムの音。昼休みには、放送部がリクエストに応じて音楽を流したりしていた。職員室への呼び出しなんかもあったよな。

家ではいつもイヤホンをしているので、大勢に向けて音を鳴らすあの感じって、長らく味わってないなあ。味わいて~。

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気持ちが高ぶった結果、自室に召喚してみることにした。いらっしゃい

少し細工をすることで、思いっきり部屋に馴染むことが分かった。あれが家にあったらどうなるのか、これからお話したい。

教室のスピーカーにAlexaを仕込む

自室に設置してみたと言っても、実は本物のスピーカーではない。

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自作の教室スピーカー風「箱」

あのスピーカー、調べてみると新旧いろんな機種があった。その中でも見るからに「これぞ教室スピーカーだ!」と思えたのは、少し古めのナショナル製。すでに普通に買うことはできなかったものの、オークションサイトを見るとたまに出品されている。

それを手に入れるのが手っ取り早かったのだけれど、今回は既製品のスピーカーを使うよりも、もっといいアイデアを思い付いたのだ。なので、木を切って自分で箱を作った。

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裏はフックを引っかける穴があるだけで、あとは空洞になっている

何をするかというと、ここにAlexa(スマートスピーカー)を置くのである。

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声をかけると、いろんな動作をしてくれる便利なやつ
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それを箱の中に入れて、転がらないように固定する
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壁に貼り付けたフックに
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箱を引っかけてやると完成だ
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自室に設置された教室スピーカー。なんかもう、この光景が見られただけで満足である

こういうインテリアだとしても十分「あり」だと思える。さすが大勢の目にふれるデザインなだけあって、いやらしい感じがまったくない。鹿の剥製を壁に飾ったりするのと同じように、教室のスピーカーを壁に飾るムーブメントがあってもいいと思う。

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シュッとしていて、素直にかっこいい

しかも、である。このスピーカーはただのスピーカーではなく「スマートスピーカー」なのだ。なんせ中にAlexaがそのまま入ってるからね!

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教室のスピーカーから定時にチャイムを鳴らす

教室のスピーカーとスマートスピーカー、この二つが時を超えて出会ったとき、化学反応が起こるのだ。アーティスト風に言うと、教室のスピーカーmeetsスマートスピーカーである。

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Alexaのスマホアプリで、毎日決まった時間に実行するルーチンが設定できる

ルーチンとして、「毎日xx時、学校のチャイムを再生する」というような設定をする。するとどうなるかと言うと……

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定刻になると自動でチャイムが鳴らせてしまうのだ

しょぼい! と思うなかれ。これが意外とバカにできない。

私はほぼ毎日在宅で仕事をしており、ずっと一人で机に向かっている。そのため、あんまり生活にメリハリがない。そこで、毎日12:00や17:30にチャイムを設定しておくのだ。すると、ちょうどいい頃合いで「♪きーんこーん かーんこーん」という音が鳴り、それを合図に作業がひと区切りできる。

これが案外気持ちいい。たぶん長年の学生生活で、チャイムのリズムが体に染みついているのだろう。

思えば学校に行っていたころは、チャイムが鳴るのが待ち遠しかった。その頃の気持ちが想起されて懐かしさも感じるし、なにより「家にいるのに教室のスピーカーからチャイムが鳴る」という事実が強い。もうそれだけでいい。

動画にまとめたので、こちらも合わせてどうぞ

他にもいろいろできる。radikoが再生できるので、「教室のスピーカーでラジオを流す」ことも可能。これを昼休みにやると、放送部の校内放送を聞いている気分が味わえる。もちろん「音楽を流す」ことも可能だし、「ラジオ体操」もいける。とにかく音を鳴らすことに関しては、これ単体である程度なんでもできてしまう。

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動画にすることもできないので、雰囲気でお伝えする

イヤホンで聴くのとは、まったく違った体験である。もちろん普通のスピーカーでも同じことは可能だけど、それよりも壁に掛かっている教室のスピーカーから鳴る方が気分がアガるじゃないですか。

よく知っているもの、身近にあるもの、でも普通は家にないもの。この条件を満たすものが家にあると、無条件で面白くなってしまうところがある。さらに今回は、懐かしさというフィルターもかかっているので、じわじわと込み上げてくる良さがある。作ってよかった。

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ちなみにこの箱、ちゃんとスピーカー用のネットを張って、
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どこかで見たことがあるようなエンブレムを付けている。こういう小道具に凝るのも楽しい

Bluetoothスピーカーを仕込んでもいい

先ほどはAlexaを仕込んだが、代わりにBluetoothスピーカーを仕込めば無線化できる。

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何の変哲もないBluetoothスピーカーが、
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教室のスピーカーの箱に入ることで、
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完全無線のスピーカーとなる

中に入れたのは、ダイソーで1100円のBluetoothスピーカー。それを教室のスピーカー風の箱に入れるだけで、良さがグッと増した。最初からこういう見た目のBluetoothスピーカーを売っていてもいいんじゃないかと思える。音質の悪さも、逆に味わいになっている感じだ。

スマホとつなげば、自由に音楽が流せる。ラジオやPodcastなどを作業用のBGMとして使ってもいい。頭上から音が降ってくるので、なんとなくカフェみたいなお店でBGMを聞いている感覚に近い。あまり音に集中しすぎず、ほどよい距離感で音楽に触れられるよい機器なのではと思った。

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部屋に教室のスピーカーがある喜びを噛みしめる

なんで今まで、このスピーカーのことを忘れていたんだろう。机、椅子、黒板、教卓といった、教室をかたちづくる猛者たちの影に隠れているけど、これも教室が教室たるには欠かせない要素である。

固定観念にとらわれず考えると、こういう業務用機器を部屋に置いたら意外と便利~! というのが世の中にはたくさんあるのかもしれない。また何か思い出したら、随時部屋に追加していきたい(そして部屋が乱雑になる)。


教室のスピーカー風「箱」の作り方

ただの木工工作なので作る過程は省略したけれど、この箱を作るのに大活躍だったのが「ソーガイドF」というツール。今回はじめて使ってみて、これは手放せないなあとなった。

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ガイドにノコギリを沿わせて切ることで、切断面を直線かつ垂直にできるという優れもの
 
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すごいのは角度を自由に付けられるのだ。人間の能力だけではとても無理がある、45度の斜めカットも可能
 
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こんなキレイな斜めカットが手作業でできるとは思わなかった。文明の利器~
 
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そんな作業を経て完成したのがこちらなのである
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