「orz」その1:まずコンセプトの変更を迫られる
まずはこのおもちゃの元ネタである「クタクタ動物」を紹介しよう。小さい頃に遊んだ方も多いと思う。
過去には、べつやくさんがこうした構造に目をつけ、ユリ・ゲラーになりまくっている(この記事:「どこでもユリ・ゲラー」)。いいなぁ、と思いつつ、胸の片隅にずっとクタクタをしまいこんでいた。
それを、最近3Dプリンタを買ったこともあり、思い出したのだ。今なら部品をプリンタで出力して、思い通りの形のものができるのではないか、と!
そこで、「orz」である。文字がこう、手と膝をついて絶望しているように見えるわけだが。
ガクッとうなだれるこの感じ、クタクタおもちゃに合うのではないだろうか?
押せばぴょこんとorzの文字が立ち上がり、絶望の淵から生還する。そんな希望に満ちたおもちゃを作れないものだろうか。
結論から言うと、より深い絶望へ続いていたのでした。はっはっは。
ともあれ、制作の様子をまずはご覧いただこう。
ケースの下部にバネがついていて、そこから伸びる紐が人形の各部につながり、ケース上部にしまいこまれている。その下部を押すと紐がゆるまり、人形もクタッとなるのだ。把握した。
「orz」その2:3Dでも手間省けず
把握はしたがどう「orz」をあてはめればいいかまったくわからない。わからないままに、3Dモデリングを開始してみた。「orz」の中に紐を通す穴を開けたいので、文字をパイプ状にする、というミッションは絶対こなさねばならぬ。
Blenderというフリーソフトでなんとか作ってみた。文字はデータでは中空になっている、これでいいはず。
これを3Dプリンタで出力すれば、中空のままできあがってくるはずだ。本当に、夢のようなマシーンである。
ソフトからデータをプリンタに読み込ますため、スライサーというソフトでデータを変換する。
高さ3.5cmほどの小さいものなので、3時間半くらいでできあがってきた。中空は、どうなっているかな。
おそるおそる台から外し、サポートを切り取ってアルコールで洗うなど手順を踏まえた後、中空がどうなってるか確認する。
あらかた穴は開いているようだが、中に詰まったレジンとアルコールを拭き取るのが面倒だ。ティッシュを細くして、こより状にして穴に突っ込む。いったいこれが夢に見た3Dプリンタ生活だろうか。
しかも3Dモデリングソフトの初心者でもあるため、文字の分岐点で明らかに穴が貫通していないのであった。
やっと「orz」が用意できた。これで完成です!
「orz」その3:構造把握が甘すぎた
全然完成じゃない。これからが大変なヤマ場である。こいつらを、シャキッとさせたりクタッとさせたりせねばならぬ。
本来なら、「orz」をシャキッと、先のラフ絵の左側のようなイメージで立たせたかったが、
どうも私の頭と技術とこの日数では無理なようだ…(なのでラフに大きくバツ印をした)。
予定を変更して、「orzさんがより深い絶望を味わうが、またそこから一歩踏みとどまる力を得る」というおもちゃを作りたいと思います!いろんな意味で前向き!
3日ほど「orz」ばかり見ていた。今後日常では絶対orz表現は使わないであろう。
過去の記事で何度も、作業真っ只中の描写で「私は今なぜこんなことをしているんだろう」と書いてきたが、その文章の集大成としてここにまた記したい。私、なんで毎晩「orz」を立たせようとしているんだろうか。
とうとうここに、「クタクタorz」が完成しました!
いったいなんだこれは。
動かしてみましょう。
驚きました。3日ほど徹夜して、これを作っていたのですから。
本来の目的である「絶望から希望へ」は叶わなかった。が、一条の光を見出したorz氏なのであった。
まとめ
少なくとも、クタクタおもちゃの原理はわかってきたので、次はこの方式で「LoL」を笑い転げさせてみよう。
【告知】
1)9月19日(木)、とんでもないタイトルのトークイベントにゲストで出演いたします。
「たいがー・りーの潔癖症を治さNight!」
たいがー氏の潔癖症を皆で治さんとするイベントです。
【出演】たいがー・りー、片桐仁、乙幡啓子(妄想工作家)、カルロス矢吹(作家)
OPEN 18:30 / START 19:30
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/126538
2)9月25日〜10月5日、松戸市にある「せんぱく工舎」というナイスな場所にて展示をいたします。C号室「星子スコーン」さんのカフェにて13時から17時まで。乙幡は25日と28日に在廊いたします。
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