黒子オシャレ道はまだまだこれから
以前、「マスクの下でドキドキお歯黒ライフ」という記事を書きました。コロナがかなり流行していてマスクが必須だったころ、1週間お歯黒をして過ごしました。
その時、「私は見えない所で大胆なことをしている」というワクワクを感じたのですが、今回の黒子オシャレもそれに通じるものがありました。
「黒子オシャレ道」は学生服改造と共通点があったように、スーツなどほかの服にも応用可能です。黒子でないときも、黒子オシャレ道を歩いていきたいと思います。
黒の衣装をまとい、ササッと舞台で仕事をこなす黒子。「目立たない」が黒子のモットーですが、黒子も舞台人、やっぱり少しはオシャレを楽しみたいのではないか。
黒子の「見えないオシャレ」を考えてみました。
アイデアを出していく中、脳内で架空の「黒子の先輩」が登場し、先輩から目をつけられないように知恵をしぼることに・・・
先日、デイリーポータルZのあまった備品の配布会があり、そこで
「地味ハロウィン」のときに編集部の橋田さんがスタッフとして着るために購入したそうです。しかし、いつも当日もっていくのを忘れて、実際に着用したことはないそう。しかも毎年、去年買ったことを忘れて新たにもう1着買っていたらしいです。熊手と同じペースの購入です。
早速黒子の服に着替えてみました。
役者の邪魔にならぬよう、影のようにササッと仕事をこなす訳ですから、地味なのは当たり前です。
ふと、
黒子だって舞台人、見えないところでもいいから、オシャレがしたいんじゃないか。自分だけのアレンジ加えて周りと差別化したいはず。
私は黒子をやったことがないし、今のところやる予定もないですが、黒子の気持ちになってオシャレをしてみましょう。私的黒子オシャレの花道がはじまりました。
(歌舞伎などでは「黒衣」が正しい表記ですが、一般的な「黒子」と書いております)
オシャレ大改造が終わりました。
襟をめくると、
見えないおしゃれといえば裏地。裏地が工夫されている黒子の衣装を着ているだけで「私ってばシャレオツなんだから」というルンルンがわきあがりました。黒い頭巾の下は半ニヤケです。
オシャレを考えるとき、
なので、裏地も
チラッと見えてもわからないようにという意識がはたらくのです。黒子として舞台に立った経験ゼロでも、黒子のプロフェッショナルって芽生えるんですね。
裏地のアレンジとして、
目立たない黒子の仕事に誇りはあるわけで、
このように「お客さんが気にならないようにする」、これは舞台に立つ黒子として当然の心配りですが、
私にはそんな黒子の先輩はいないのですが(そもそも黒子やってないし)、なんかどうしてもその架空の先輩が気になるのです。
どれだけお客さんに見えない小さなアレンジでも、舞台上で一緒に動く先輩には気付かれる可能性大。もし気づかれたら、
先輩はきっと「お客が舞台に不満を持たないように注意しているのだ」と「お客さん第一」の衣をまとってくるので、反論の余地はありません。
また、「そうやってアレンジする態度がよくない」と、オシャレ行為がエスカレートする前に芽を摘もうとする論調でくるはずなので、「お客さんから見えない」という口ごたえもできません。
さらに、
オシャレアイデアを考えていると、いもしない黒子の先輩が言ってきそうなことの妄想が際限なく膨らんできます。
先輩は、
せっかくのたのしいお酒に水をさされたくありません。
私の中で、黒子オシャレ道の輪郭が見えてきました。
お客さんからも、そして先輩も絶対見えないアレンジ、それは
袴の内側なので、たとえ先輩にバレたとしても「お客さんから見えたらどうするの」という釘をシュッと回避できるのです。
ハッと気づいたのですが、
黒子も制服も規則があり、「目立ってはいけない」「華美に流れてはいけない」というお題目があります。ユニフォーム・制服のアレンジはどんどん裏にもぐっていくし、そんなとき、ボタンは色んな形や色があるから手軽なデコレーションとしてもってこいです。
私が学生だったときは、上に羽織るカーディガン、靴やカバンが自由だったためか、制服アレンジ熱は広がっておりませんでした。ガチガチのルールから細かな改造が生まれるのでしょう。
学生服改造魂が宿ったあとにすること、それは刺繍です。中学時代、やや古風なタイプのヤンキーの同級生がおり、制服をプチ改造していました。卒業式、彼らはバーンと背中に刺繍が入った特攻服を着てきました。コツコツお小遣いを貯めて刺繍をいれてもらったそうです。「カツアゲじゃないんや」とほっこりしました。
私は黒子という役柄、目立つ刺繍は入れられませんが、
あこがれの歌舞伎役者の紋です。こっそりマークを身につけることで、いつでもその役者を感じられ、連日の舞台仕事にもハリがでるってもんですね。
これこそが「見えないオシャレ」の真骨頂です。外にアピールできないからこそ、自分だけがそのオシャレを知っているからこそ、内なる輝きが増していきます。
日頃、シワッシワの服を「俊敏に動いてたら目立たんやろ」と外に着ていくような私が、こんなオシャレ境地にたどり着けるとは思いませんでした。
黒ずくめなので、肩がしっかりしてた方がかっこいいかなと縫い付けました。
しかし、黒子は基本的に体を小さくせねばなりません。ギュッと縮こまる姿勢をとることも多いです。肩パッドを入れると、気持ちが大きくなって自然と背筋が伸び、胸を開いてしまいます。そんな堂々としすぎている黒子はいません。
なので、肩パッドは十中八九先輩に見つかって怒られるでしょう。
それを承知の攻めのオシャレです。たまには先輩から怒られるのも一興です。「悪い人じゃないけど、ねちっこいなあ〜」と思いながら、飲み会で蒸し返されるのもいい思い出にしてしまいましょう。
以前、「マスクの下でドキドキお歯黒ライフ」という記事を書きました。コロナがかなり流行していてマスクが必須だったころ、1週間お歯黒をして過ごしました。
その時、「私は見えない所で大胆なことをしている」というワクワクを感じたのですが、今回の黒子オシャレもそれに通じるものがありました。
「黒子オシャレ道」は学生服改造と共通点があったように、スーツなどほかの服にも応用可能です。黒子でないときも、黒子オシャレ道を歩いていきたいと思います。
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