待つことで生み出す喜び
今回8時間待つことで、「すごい人気店に来た」という気持ちにもなった。待つという行為を挟むと、気軽に食べられないという付加価値が生まれるのだ。
早さを売りにしているファストフード店なども、あえて数時間待ってみると、違う喜びが生まれるのかもしれない。
並ばない店にあえて並ぶという、新しい娯楽を発見した。
昭島の名物パビリオンといえば、モリタウンだ。
入った瞬間、急に万博ということを忘れて、普通に無印良品で買い物してしまった。無印良品のお菓子、別に万博内で買わないよな……。
未来感のあるマッサージチェアを見て、そういえば万博だったことを思い出した。気を抜くと万博に来ているということを忘れてしまう。
万博の気持ちを維持するべく、本屋でガイドブックを購入することにした。
現在夕方の16時。くら寿司まであと5時間だ。長い、長すぎる。もう食べに行きたい。
ちょっと疲れてきたので、カフェで休憩することにしよう。
一人でデパートに来ることはよくあるが、一人で万博にいると思うと急激に帰りたい気持ちになった。もう夕方だし。
この時ふと、ディズニーランドで漢字検定の勉強をしていたという知人の話を思い出した。当時年間パスポートを持っており、家も近いので、よくディズニーランド内で勉強していたらしい。
遊園地にそんな使い方あるんだ……、とその時は驚いたが、今なら少し気持ちが分かる。非日常の空間で日常的なことをするというのが、一番の贅沢なのだ。今こそ、私もそれを実践するときじゃないのか。
ということで再び本屋に行き、読みたかった本を買ってカフェで2時間ほど読み耽った。
くら寿司まで残り2時間を切った頃、急激にお腹が空いて来て、くら寿司に行きたい気持ちのピークがやって来た。でも、お土産を探しつつ、あと2時間頑張って待とう!!
時間になり、ついにくら寿司へ。
8時間待ちに待ったくら寿司!!
くら寿司だけ来たいと言っていた友人がここで合流し、一人万博の寂しさもかなり軽減された。
よし!好きなだけ食べよう!!
8時間かけて作られた、くら寿司でしか埋められない心の穴が満たされていく……!!うまい、うまいぞ!!普段よりも何倍も!!
「うまい」という感覚と、「嬉しい」という感情が混ざり合って、体の隅々まで染み渡っていく。
ちなみに閉店が近いということもあり、店内はかなり空いていた。予約なしでもスムーズに入れただろう。
でもそんなことは関係ない。待つことでしか得られないものを享受しているのだ。
絶叫マシンが苦手なのだが、2時間ぐらい並ぶと乗れる時がある。ここで乗らなかったら、今までの2時間なんだったんだ……という気持ちになるからだ。逆に空いている遊園地では乗れたことがない。「待つ」という行為が、自分の背中を押してくれるのだ。普段のコンフォートゾーンを抜け出す1歩の勇気、それをくれるのが待ち時間である。
それぞれ2人ずつの相性はいいのに、3人揃うとどこか相容れない三角関係のような味だった。海外の謎お寿司の気分も味わえて、さすが万博である。
万博のお土産が欲しいと思っていたが、まさかくら寿司で買えるとは!
自分としては、かなり万博感を味わえた1日であった。気持ちさえ作ることができれば、どんな場所だって万博なのかもしれない。
でも本当の万博がどういうものか知らないからこそできる技なので、いつか答え合わせに大阪万博にも行こうと決めた。
今回8時間待つことで、「すごい人気店に来た」という気持ちにもなった。待つという行為を挟むと、気軽に食べられないという付加価値が生まれるのだ。
早さを売りにしているファストフード店なども、あえて数時間待ってみると、違う喜びが生まれるのかもしれない。
並ばない店にあえて並ぶという、新しい娯楽を発見した。
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