特集 2019年4月19日

ゼロから観戦する「全国高校eスポーツ選手権」

近年盛り上がりを見せている、「eスポーツ」。

2019年3月にはeスポーツの高校生大会である「全国高校eスポーツ選手権」の第一回目が幕張メッセという大きな会場で開催された。

私はeスポーツには疎く、「eスポーツの大会ってどんな感じなの? どんなゲームが採用されるの? ゲームの勝敗、素人でも見て分かるものなの?」などわからないことだらけの状態だったが、記念すべき第一回目ということもあり興味を引かれて観戦してきた。

1986年生。大人げない大人を目指し、日夜くだらないことを考えています。ちぷたそ名義でも活動しています。(動画インタビュー

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近年耳にするようになった「eスポーツ」というのは、コンピュータゲーム(ビデオゲーム)を競技として捉える際の名称のことだ。

「ゲームでしょ?」とあなどるなかれ。eスポーツの競技人口は世界で1億人を超えており、オリンピックの種目に入るかどうか検討されていたこともある。

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世界中で大人気のeスポーツだが、ゲーム大国の日本で意外と思うかもしれないが日本はeスポーツ後進国だった。そしてやっと、この度めでたく高校生選手権が開催されることになった。

そんな経緯があったので、「これで日本でももっとeスポーツが盛り上がるかもしれない……」と高校生たちはもちろん、大人の関係者の期待や熱意もすごいのだ。

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会場は幕張メッセ(展示1ホール)という時点で「会場幕張メッセか~すごいな~」と思っていたが、実際さらにすごかった。

奥のステージでは試合を行い、フロアの手前には屋台や企業が出展していて、高校生選手権の観戦に来たというよりもゲームショーのイベントに来た気分だった。

わかんないながらも試合は熱い

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そして肝心の試合。私が参加した日は最終日で、リーグ・オブ・レジェンド部門のオフライン決勝部門を観戦した。ゲーム種目のゲームは「League of Legends」(リーグ・オブ・レジョンド 略称:LoL)。LoLは世界で一番プレイされているマルチプレイヤー オンライン バトル アリーナ(MOBA)ゲームだ。競技性が高く、自身の技術が問われるゲームでeスポーツの大会種目としてはメジャーなのだが、恥ずかしながら私は見たことも触れたこともないゲームだった。

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リーグ・オブ・レジェンド日本公式サイトより

「リーグ・オブ・レジェンド」は“競技性が高く、eスポーツタイトルとして世界中で認められていること。仲間と力を合わせて同じ目標に向かって努力する楽しさを体感できる競技であること”からゲームタイトルとして選定されている。今大会で採用されているのはサモナーズリフトというゲームモード。

ゲームは簡単にいうと“陣取りゲームみたいなもの”。それぞれが配置につき、ゲームのフィールドの中で敵を倒して得られるゴールドでチャンピオン(キャラクター)を強化し、敵の陣地にあるタワーや相手のチャンピオンを倒すことでゲームを有利に進めることができる。最終的に敵の本拠地であるネクサスを制圧した方が勝利となる。これを5対5で行う。

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キャラ数が多いけどみんなこれらを使いこなせるの……? 本当に……?

使役するチャンピオンにはそれぞれ役割があり、動きやできることもチャンピオンによって違う。チャンピオンは全部で143体(2019年4月現在)。ゲーム開始時、キャラ選択の際には相手の使用チャンピオンを5体封じることができる。なので、ひとつのチャンピオンに特化するのではなく、いろんなチャンピオンを使いこなせておくことがゲームの勝利につながる。

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ゲームタイトルで表示されそうなイメージをチームごとに!

オフライン決勝大会に出場する選手の高校生たちが登場。ステージのスクリーンに高校名とかっこいいイメージが表示される。アーティスト写真みたい。「一生に一度でいいからこういうのやってみたい」って思うやつだこれ……!

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格ゲーのセレクト画面的なやつ!

選手はゲーム名を呼ばれると、登場時になにかしらのポーズを披露していく。うわ~、これすごい格闘ゲームのセレクト画面っぽいし、自分だったら何にしようって永遠に考えられてしまう……!

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Q.決勝大会への練習で起こった、ハプニングがあれば教えてください。 A.上手くいかなかったときのチームの雰囲気の悪さと意見の相違(運動部ではよくあることだが今まで経験したことがなく少し混乱した)

試合開始前の選手への質問&回答コーナーでの、「練習で起こったハプニング」が文化系あるあるという感じで微笑ましかった。

応援席も熱い

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応援席も盛り上がっている

応援も熱いぞ。会場で渡される光る風船はよく目立つ。それとは別に、学校の旗やデコったうちわなど、応援方法が工夫されていた。

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選手の家族による応援

選手名の入ったうちわを使った応援が目立っていたので試合後に声をかけてみた。すると、優勝候補チームのCブロック代表・岡山県共生高校の注目選手・Akabuff(赤バフ)選手のご家族だった。うちわは全部デザインが違っていて凝っている。こちらはお父さんがひとりで全部制作したものだとか。

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選手のゲーム仲間も応援

茨城から応援に来ていた彼もAkabuff選手の応援者だった。彼はAkabuff選手のゲーム仲間で、「個人的な応援だったんだけど、試合を見て共生高校自体の応援もはじめた」と語ってくれた。

Akabuff選手はリーグ・オブ・レジェンドのランクは「チャレンジャー」と呼ばれる上級者で、アマチュアの大会にも出場した絶対的エースだ。Akabuff選手自身、ぜんそくで不登校がちになっていた時にゲームに救われ、勉強を頑張って生徒会長にもなったという漫画の主人公みたいな経歴を持つ。

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というわけでこの時点では共生高校「eスポーツ部」が推しだった。eスポーツ、申し訳ないけど見るまでもっと暗い感じを想像していたんだけど、めちゃくちゃ青春だった。早くドラマ化してくれ。

もうみんな主人公でいいよ

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そして最終試合。東京学芸大学付属国際中等教育学校のチーム「ISS GAMING」対岡山県共生高校「eスポーツ部」の試合。

「ISS GAMING」キャプテンのFlaw選手は高校2年生ながらLoLのプロチームに練習生として所属し、普段は大学生チームや社会人チームと対戦している注目選手。三か国語話せるのだとか。

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強豪・東京学芸大学付属国際中等教育学校「ISS GAMING」

「ISS GAMING」はもともと2年生と3年生で別にチームを組もうと思っていたところ、大会をきっかけに同じ学校にFlaw選手がいることを知り、合同チームの方が勝つ確率が上がるとチームを組み、それから団結力を上げてきたチームだ。

このエピソードもすごくマンガっぽい。「え、うちの高校にFlaw選手がいる……?」ってセリフからカーテンがフワッてなってシルエットが浮かび上がるシーン、絶対あると思うな。

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会場の実況で選手ひとりひとりそれぞれのストーリーを知ることができる。もうみんな主人公でいいよ……どっちも推したいしみんな優勝でいい……。だけど試合はそうもいかないから、全力で頑張ってほしい。

最終試合は、不利な状況から共生高校が一本を制した。これは無理ではないかという状況からだったので、見ているこちらもかなり盛り上がった。

しかし、次の試合相手の1キルを最初に奪ったのは学大、それからスタイルを崩さず、ずっと試合を有利に進めて2本目を制した。最終試合もやはりチャンスをしっかりものにして試合開始早々で1キルを奪ったのは学大。学大チームはチーム単位で堅実に試合を有利に進めていく……。

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盛り上がったシーンはリプレイで再度見られた

高校生の試合を見るなかで、素人目にもうまいとわかるプレイが見られた。サッカーやバスケも試合についてそんなに詳しくなくてもなんとなくどちらが優勢かわかって楽しめるものだが、eスポーツもそんな感じだった。

試合を見ていて、素人ながら学大「ISS GAMING」はチーム力が高くてチーム単位で優位に戦える場面を作っていける、チャンスをしっかり自分のものにすることができるチームだと感じた。

優勝チームが決まる

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決勝戦は2本先取で3試合。3時間以上にも及ぶ激戦を制して優勝したのは学大「ISS GAMING」だった。おめでとうございます!

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試合が終わると、それまで試合に集中していた時の大人びた顔立ちが高校生の顔に戻っていく。「気持ちいい!」「最高です!」「なんもいえねえ」「のど痛い」などいろんな感想が飛び出す。

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試合後に行われた「BURNOUT SYNDROMES」のミニライブでは、サプライズで選手たちをステージに上げた。選手たちは勝ったチームも負けたチームも関係なく盛り上がっていた。心なしか対戦相手のチームとの距離感も近づいている気がする。

実際に試合終わった後の選手のコメントで、「今回の大会を通じて人の輪が広がった」というのがあった。ゲームはコミュニケーション……!

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コーチ役の3年生、steelo選手が優勝トロフィーを持ち上げる! ゲームにかける青春、めちゃくちゃに尊い……!

「ISS GAMING」の選手たちが試合後に語った、「このチームなら最善を尽くしてくれるはずだと思っていた」というお互いに対する信頼の言葉が印象に残った。

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準優勝の岡山県共生高校もいいプレイを見せてくれた。

岡山県共生高校は中国人留学生を含むチームで、ゲーム中の指示は簡単な日本語や英語でやっていたという意味ではチーム内で言葉の壁もあるのだけど、きっと次回には団結したチーム力を見せてくれるはずと確信している。

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既にバリバリ感情移入してたからもはやオフショットが泣ける

エンドロールで当日のハイライトやオフショットが流れるのだが、さっきまで真剣な表情で戦っていた高校生たちの柔らかい笑顔に癒されたし、試合を通してそれぞれのストーリーなどを少し知って感情移入していたからなんか泣けた。選手たちは今日まで頑張ってきて、衝突もして、今日の日を迎えたんだ……。

eスポーツ熱いじゃないか!!! 試合に関わってくる人物全員が全員、主人公だった。

ゲームイベントのような試合会場

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ネスレ日本株式会社・キットカットのブース

ちなみに、ステージ以外の企業ブースもかなり大会の開催に浮かれている感じだった。まずはキットカットのブース。こちらのブースでは今日の大会に出場する高校生チームの写真入りチョコがもらえた。

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チョコを食べて応援! もうちょっとしたアイドルじゃん!! ゲームすごい。自分がチョコになる経験ってそうそうないなと思う。

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株式会社湖池屋のブースの「ドライカラムーチョ」

あとコイケヤブースでもらえた「ドライカラムーチョ」。これはすごかった。ゲーマーに特化したような菓子で、袋を破くとちょうど口に入れるのにちょうどいい大きさの穴が開く。「ゲームをしながらでも手を汚さずに食べられる菓子」なのだ!

袋から食べるのちょっとお行儀悪いかな?って思うけど公式が推奨してるから安心してできる。

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こちらはロート製薬株式会社のブース。コスプレしたコンパニオンさんもいる

広報担当さんはブース出展した理由について、「ゲーマーは目を酷使する人種ではあるものの、そこに対して目薬をさすというのは文化として定着していなかったので、まずはゲームを愛する人たちに目薬を啓発しようと決めたのがひとつ」と語ってくれた。

広報さん自身もプロゲーマーを目指していたこともある過去を持っており、自身の経験から若い世代に向けて目薬を文化として定着させられたら、さらにその中で自社の製品を選んでもらえたら、とも語っていた。実際ステージを観戦していた際には選手が目薬を使用する場面をたびたび見たので、きっと広報さんの熱意は伝わっているはず。

 

(C) 2019Riot Games, Inc. All rights reserved.


全員主人公だった

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ナチュラルに写真に写っているけど、会場にはケイン・コスギさん(ゲーム好き)がガレリアアンバサダーとして来ていた。

こんなにメジャーなeスポーツなのに、今まで自分の人生にはあまり関わってこないものだった……。ゲーム自体はやるのだが、少しでも趣味嗜好がずれていると情報って入ってこないものなんだなと思う。

全国高校eスポーツ選手権を機に、eスポーツを取り巻く環境はもっと盛り上がると思うし、そうであってほしいと願っている。

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