筑後川のすごい蛇行
藤田:これは筑後川です。写真は右が山間部で左が平野ですが、ちょうど境目のところで川が大蛇行してます。もうあと「こんだけ」で繋がりそうな感じ・・
会場:笑
藤田:で、実は奥に発電所があるんです。
会場:見た感じ、高低差そんなになさそうですけどね(注:水力発電のためには高低差がほしい)
藤田:そこなんです、じつは絶妙な位置にダムと発電所を作ることによって高低差を稼いでいるんです。
会場:どういうこと?
つまりこういうことらしい。
まず、ふつうのまっすぐな川で考える。川は一定の勾配で下っていく。いっぽうダムで取った水は、山の中を貫通させた別の水路を引いて、高さをなるべく保ったまま川の下流まで持って行き、高低差がついたところで一気に落とす。
いまの場合、ダムと発電所は900mほど離れている。川がまっすぐに進んでいるとすると、このあたりの勾配だと約7mの落差にしかならない。
ところが川は実際には蛇行しているので、まっすぐ進んだ場合に比べて2倍以上の距離を進んでいる。なので下った落差も2倍以上になり、実際の落差は約18mになっている。
逆に考えたほうが分かりやすいかもしれない。もし川がまっすぐ進んでいたとすると水路も約2km掘らなければいけない。ところが川がムダに遠くまで行ってから帰ってきてるおかげで、水路としては900m掘るだけで2km分の落差を獲得できているのだ。
藤田:立地をうまく使っていて、よく見つけたなというところですね。
会場:あの蛇行がなくなる日を見てみたいな、真ん中の部分が島になる日。
藤田:真ん中の部分は果樹園になってるみたいですね。
会場:硬い岩盤があるので曲がってるんでしょうから、土質としては果樹園とかになるのかもしれませんね。
自然堤防がすごい
藤田:これは新潟県の西川っていう川です。地理をやってる人にはもう典型的な、自然堤防と後背湿地というやつですね。
会場:地理で習うやつですね
藤田:西川は信濃川の支流です。小さな川なんですけど土砂運搬能力が大きくて、川が流れると川の周りに自分で高みを作っていくんですね。自然に川のそばに堤防みたいなのができるんで、自然堤防と言います。
藤田:この白いのは畑です。川の水面の方が低いんで、水を汲み上げるのに大変な労力がいるんで、水田にはできず畑になったり、あるいは集落になったりしてます。
藤田:じゃあ自然堤防の背後(図中の「後背湿地」のあたり)はどうなるの?って言うと、低い土地のままなんですよ。ここの水を排水しようと思ってもこっちの川まで自然には持ち上げることはできないんで、周りは湿地帯になっていく。後背湿地といいます。ここまでが自然のプロセスです。
藤田:この湿地になったところを人間は、田んぼにして稲を植えようとするんですが、湿地で水を抜けないんでどうやって抜くのっていういろんな苦労があります。
藤田:これはまた別のアングルから撮ったものです。周りは水田になってます。湿地の部分っていうのは人が住めないんで。といつつ手前のところ(学校ぽい建物がある部分)は最近造成しちゃったんですけど。
会場:持ち上げられてますね
藤田:それ以外の昔からの集落っていうのは、高いところに作るんで、川沿いの高みのところにグーッと作って。で、この人たちが一生懸命周りの土地を開拓してって水田に作り替えたりという感じです。
荒川の自然堤防跡
藤田:これは埼玉の川島町です。川越の北のあたり。
会場:ありますね!航空写真にもくっきり出ててなんだろうと思いました。
藤田:ここはもう自然堤防の跡がまるーい感じで出てます。
津軽の灌漑水路がすごい
藤田:青森がすごいんですよ
藤田:水路が別々に通ってます。それぞれ水利権が別なんです。ふつうは太い幹線が通ってて枝分かれさせるんですけど、ここはもう上流でそれぞれ分けて、それぞれの水路で持ってくる。
会場:すごー!なんで?
藤田:なんですが、ここをよく見てください。
会場:おー・・!切れてる。
藤田:融通してるんです。学者の人もどう解釈していいかなかなかわからなくて、今言ったように基本は水利権をそれぞれ持ってるんだろうと。ただ何かあった時に水を融通させるっていうメリットもあるんじゃないかみたいな、そんな解説がされたりしてます。
藤田:で、すごいのがここなんです。
会場:まじかー!
藤田:これ道路を通すのも大変で、12本の水路のそれぞれに計12個の橋がかかってるんですよ。
会場:悲鳴
藤田:これ地籍図とかどうなってるんでしょうね(笑)