甲子園球場の敷地内やその周辺には、他にもたくさん土はあった。
ただ、持ち帰りの許可を得られたのは今回ご紹介した4つだけだった。
世界中どこにでも当たり前にある土だが、それを持ち帰ることができるというのは想像していた以上に貴重なことだった。
今回の4つの土、胸を張って「貴重な甲子園の土だぞ!」と持ち帰りたい。
甲子園の土。
高校野球で敗退した球児たちが泣きながらかき集めて持ち帰るあれだ。
見ていていつもうらやましいなと思う。
自分が立った夢舞台の土を持ち帰れるなんて、思い出の品としてものすごくプライスレスだ。
できることなら僕もやりたい。
でも大人なので分かっている。野球はできないし、高校生でもない僕が甲子園の土を持ち帰ることはできない。
ならばせめて、球場周辺で一般人でも持ち帰ることができる「甲子園の土」はないだろうか。
という訳で、兵庫県西宮市にある阪神甲子園球場にやってきた。
球場周辺をさがした結果、持ち帰ることができる「甲子園の土」を4つ見つけることができた。
さっそくご紹介していきたい。
全て管理者に確認をして持ち帰りの許可を得た土なので、安心して持って帰ってほしい。
最初におすすめするのは、球場北側の阪神高速道路の高架下を走る、国道43号線沿い、歩道の植え込みの土だ。
この場所のおすすめは、何といっても球場からの距離が近いこと。
特に、選手たちが土を集めるホームベース周辺やベンチ前からの距離が、他のどの土よりも近いのが高ポイントだ。
球児たちに一番近い場所で、汗と涙に思いをめぐらせたい人はこの土を持ち帰ろう。
せっかく甲子園の土を持ち帰るなら、球児たちと同じように膝をついて豪快に土をかき集めたい。
そんなあなたにおすすめなのが、甲子園球場のライト側入り口から徒歩3分ぐらいの場所にある「月見里公園」だ。
こちらの公園には野球やサッカーをして遊べるような広場があり、そこで思う存分球児たちの土集めを追体験することができる。
球児たちと同じように、負けてしまった悔しさを胸にやってみようとしたが、自然と笑みがこぼれてしまった。
他の場所での土取り作業が地味だったこともあって、ワサワサっと土をかき集めるのは思っていた以上に爽快だった。
またここなら、土を集めている姿を写真やビデオに撮るとそれっぽくなるので、人に自慢するのにも最適だ。
今回ご紹介しているものは全て、いわば甲子園の土の代用品。カニで言うところのカニカマだ。
しかし、例え代用品であってもなるべく本物に近いものを選びたい。大好物はカニ味のカニカマ。
そんな本物志向のあなたにおすすめなのが、球場バックスタンド側に伸びる市道沿いの植え込みだ。
ポイントは色。
甲子園の土というと黒っぽい茶色のイメージが強いと思う。この土、他のどの場所のものより圧倒的にその色に近いのだ。
せっかくだから本物っぽいものを持ち帰って、甲子園に出たような気分に浸りたい。
そんな人はこの土を持ち帰ろう。
ちなみに、球場の東側を走る県道沿いの土は持ち帰りNGだったので要注意。
甲子園の土は欲しいけど手が汚れるのは嫌。
そんなシティー派のあなたは、阪神甲子園駅前の商業施設「Corowa甲子園」に向かってほしい。
ここの1階には「houseDECO」というLOFTとニトリとホームセンターを足して3で割ったようなお店があり、その園芸コーナーに行けば、掘らずして甲子園の土を手入れることができるのだ。
2kgでお値段162円。あの憧れの甲子園の土だと思えばかなり安い。
園芸用の土なので、シティー派らしく甲子園の土でガーデニングなんてオシャレなこともできる。
甲子園の土で育てれば、それだけでもう「ど根性野菜」だ!
ここまで4つの「甲子園の土」をご紹介してきたが、やはり気になるのはこれらの土が実際のところどれぐらい本物っぽいのかということだ。
そこで、甲子園出場経験のある知人にお願いして本物の土を見せてもらった。
甲子園に出たことがあるということしか知らなかったが、当日聞いたらなんと数年前の夏の優勝校メンバーだった。
負けたチームの球児が泣きながら土を集める姿が注目されるが、優勝したチームも人知れず土は持ち帰っているのだそうだ。
これが本物の甲子園の土!
土だというのにすごくきれいで、思わず「うわぁ、きれい〜」と夜景を見た乙女のようなセリフを発してしまった。
美しさの要因は、そのキメの細かさ。
色だけで言えば③の市道の土は似ているが、粒の細かさ、バラツキのなさ、小石などの混じっていなさは別格だ。
その色とサラサラ具合は、土というよりココアパウダーのようだった。
そしてその均質さから、手触りもすごく気持ち良かった。
②の月見里公園で土をかき集めた時、小石も含まれていてけっこう手が痛かったのだが、この土は集めても全然痛くないそうだ。
ということで、球場周辺の「甲子園の土」はどれぐらい本物っぽいのか?に対する答えは「全然違う」だった。
当初、自分が持ってきた土も負けてないぞ、似ているぞ、というところを少しでも見出したいという意気込みで臨んだが、本物の土のレベルの高さを目のあたりにし、ただただその美しさと手触りを愛でる時間となった。
この土を好きなだけ袋に詰めて持ち帰ることができるなんて、甲子園球児はものすごい参加賞をもらっている。
僕の甲子園の土に対する憧れはますます強いものとなった。
甲子園球場の敷地内やその周辺には、他にもたくさん土はあった。
ただ、持ち帰りの許可を得られたのは今回ご紹介した4つだけだった。
世界中どこにでも当たり前にある土だが、それを持ち帰ることができるというのは想像していた以上に貴重なことだった。
今回の4つの土、胸を張って「貴重な甲子園の土だぞ!」と持ち帰りたい。
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